第11話 薬草採取
ララさんに教えて貰ったおすすめの薬草採取場所に行くために南側の門に進む。その門はちょうど鳴海が入ってきた門だった。
「あっ、そういえばあの門番今日もいるかな?」
ちょっとだけ期待しつつ歩いて行くと門がはっきりと見えてきた。
少し歩くスピードを早くしながらもんに近ずいて行く。
「……あ、昨日の門番さん!」
「ん?ああ、昨日のやつか。冒険者登録はできたか?」
「ええ、ありがとうございます。」
「いい、いい。門番として当たり前のことをしたまでだ。」
流石!イケメン!有能門番さん!
「あ、そうだ。門は出る時金はかからないが入る時は身分証があっても必要だ。まあ、銅貨三枚だがな。」
「なるほど、ありがとうございます。」
身分証はそんなとこでも使えるのか。ランクが上がって行けば場所によった色々恩恵が得られるかもな。
色々想像してると門番さんが鳴海の顔を観察しながら疑問をぶつけてきた。
「……ふむ、もしかしてお前、貴族の坊ちゃんか?」
「……へ?」
い、いきなりどうしたんだ門番さん?俺のどこをどう見たら貴族と間違えるんだ?リラちゃんにも間違われるしなんか心臓に悪い。
「な、何言ってるんですか。貴族なわけないでしょ!ていうか、なんでそう思ったんですか?」
「ふむ、ただの旅人としては言葉遣いがいいなと思っただけなんだが……。ふむ、どうやら勘違いのようだな。」
ふぅ、どうやら誤解は解けたようだ。でもそうか……、言葉使いがいいと貴族として勉強したから〜、みたいな感じに見えるか……。これは少し訂正しないとな。
「あ、あ〜……。えーと、こんな感じでいいかな?じゃあ門番さん依頼してくるんで、また後で。」
「ふむ、ああ、気をつけろよ。」
ここら辺の常識も合わせていかないとなぁ、と思いつつ。あの人「ふむ」が口癖なのかな?っと、考えながら薬草の群生地へ進む。
「……え〜と、この辺りかな?……あ、あったあった。これが薬草のはずだ。」
ララさんに教えて貰った特徴をちゃんと見つつ、貸してもらった薬草の標本も見て確信する。
(むむむ、薬草は簡単に発見出来て簡単に採集できるから低ランク
すぐに閃き即座に行動に移す。
「『鑑定』!」
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名前:ヒール草
通称「薬草」。そのまま食べることでも回復できるが少量。大体の環境でも育つ。
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おお、『通称「薬草」』ってことはあってるな!この調子で取っていくか。そういえば、ララさんは似てて分かりずらい草があるとかあんまり言ってなかったな。注意はするけどこれなら簡単だ。
それから1時間、鳴海は薬草を取り続けた。
「……ハッ!ちょっと薬草取りに夢中になりすぎた。え〜と、何本取ったかなぁ……。げっ、37本も集めてる。……やべぇなぁ、ララさんにあんまり取りすぎるなって言われてたのに……。あ、そうだ!アイテムボックスに入れればいんだ!『アイテムボックス』!」
鳴海は目の前にできた穴に入れた。
「『ステータスオープン』、……うん、入ってるな。あ、一応貰ったカゴに10本入れておこう。」
カゴに薬草を入れ、ポケットに銅貨を3枚用意して門に戻る。
門に戻ると例の門番さんもいた。
「どうも、無事帰ってこれましたよ。」
「ん?ああ、君か。おつかれさん。さっき言ったが銅貨3枚だぞ。」
「はい3枚っと。じゃ行きますね。」
「ああ、いいぞ。」
門番さんの横を通り、街に入っていく。そういえば門番さんの名前聞いてないなと思いながら冒険者ギルドに向かった。
「え〜と、確か左にある納品場に納品するんだったな。」
鳴海はそういうとララさんに教えてもらった納品場に行く。そこにはいかついおっさんがいた。
「あの、依頼の物納品しに来なさたんですけど。」
「ん?ああ、その様子だと薬草の納品だな。それをこっちによこしな。」
おっさんはチラッと鳴海の持っているカゴを見てそう言った。特に反論する意味もないのでそのまま素直にカゴを渡す。
「ほい。この程度数分だが一応持っとけ。」
そう言いながらおっさんはこの世界の数字が書かれたカードを渡してきた。見当はつくが一応これがなにか聞いておこう。
「あ〜、これってなんですか?」
「ん?ああ、お前新人か?そいつぁ『番号版』つって、そのまんまそれ持ってるやつの鑑定順番が書かれてんだわ。まあ、簡単に言えばそれに書いてる番号が小さければ小さいほど早く終わって大きければ大きいほど時間がかかる。何時間もかかるやつは例外だがな。そろそろお前みたいに納品しに来るやつが多くなって来るから一応渡しておいた。後、壊したり紛失来たら弁償だからな。前に何回言っても壊すし無くす奴がいたんだが、そいつぁ番号版所持が禁止になって名前で呼ばれてたなぁ。最初は笑ってたけど途中から恥ずかしくなって来てた奴の顔は今でも笑えてくる。」
おっさんは慣れた手つきで薬草を調べながら話した。鳴海は意外と饒舌なんだなぁと思いながら話を聞いていた。
おっさんは最後に「まあ、今はあいつも慣れておもしろくなくなったけどな」と、言いながら今度は緑色の板みたいなのを渡してきた。
「ほれ、鑑定終わったぞ。これは『鑑定終了板』ってんだ。他の奴らは換金版とも言う。受付に持っていけばそれと交換で報酬が貰えるぞ。色によって追加報酬が変わるからな。ちなみに緑はは『普通』、良くも悪くもないってことだな。あ、バカにしてる訳では無いぞ。新人ベテラン関係なく適当に取ってきて保存状態も悪かったり、違うもんがはいってたりするからな。新人にしては上出来だ。」
「なるほど、ありがとうございます。」
鳴海は鑑定終了板を受け取り、番号版を返し受付に行く。
「あ、ナルミさん。鑑定終わったんですね?お疲れ様です。では換金しますね?」
「ああ、お願いするよ。」
ララさんは鑑定終了板(以後、換金版)と冒険者カードを受け取り、何やら魔法道具のようなものに入れたりしている。
「はい、完了しました。これ報酬の200ユルです。」
「ありがとう。」
やっぱり少ないが仕方ない。どんどんランクをあげるしかない。そう思いながらララさんに挨拶してからギルドを出る。宿屋に戻って昼ごはん食べるかなぁ。
2時間後、昼ごはんも食べて、物運びの手伝いに来た。
他の手伝いの人達もいて、同じ冒険者で同じ低ランクの人もいれば、こういう仕事を手伝う専門の人とか小遣い稼ぎに来ている冒険者じゃない若者もいた。
休憩を挟みながら物運びして移動してを繰り返していると大体3時間ほど働いた。
解散したあと鳴海は冒険者ギルドに向かった。
(今回は納品することもないし、そのまま受付に行けばいいな。)
依頼人さんから貰った証明書を持ちながら受付に進む。今回は以来から帰ってきた人も多く少し並んだ。少し思ったが、異世界物のテンプレで酔っ払った男に絡まれる〜なんてことは無かった。まあ、あったら困るんだが。
もしかしたらこの世界の冒険者は素行が悪くないのかもしれない。まあ、魔物から街の人たちを守るっていう理由があるにせよ、一般市民を傷つける奴らを国が許すわけないか……。
そんなことを思いながら並んでいると、自分の番がきたようだった。
「あ、ナルミさん。お疲れ様です。依頼完了の報告ですね?」
「うん。お願いするよ。」
前と同じように冒険者カードと証明書を渡した。
少し待っているとララさんが満面の笑みで少し色が変わった冒険者カードを渡してきた。
「おめでとうございます!今日からナルミさんはFランクです!今後も頑張ってください!」
「おお、ありがとうございます。」
どうやら本当に簡単に上がるらしい。
その後、報酬を貰い宿屋に帰り、夜ご飯を食べて就寝した。
やっぱりいっぱい働いた後にベットに寝転んだ時が1番幸せ……。
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ここまで来てララさんもリラちゃんもメインヒロインでは無いという……。(笑)
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