第30話

「恐らくもうフェルエルが仕掛けてるはずだ。ゴールド級以上のメンバーでサポートに回る。出来るだけすばしっこい奴が欲しいんだ。頼む」

「で、でも……」


 ――少し前の海産物シマモノとの戦いで、やどりに重傷を負わせてしまった過去が、判断を渋らせる。

 やどりは行きたがっているけれど……。


「ご主人……」

「…………。分かった。どうせこれでダメならみんな助からないもんね……。お願いやどり、セイバーズに協力して!」

「任せろですにゃっ!! もう前みたいなヘマはしないですにゃ!」



**************************

【TIPS】

◆禁足区『慟哭の樹海』

 森林区を超えた先に広がる広大な樹海。木々は不気味に変質し、空気も淀んでおり、そこから見上げると空さえも赤く見えるという。

 ところどころに呪われた黒土が露出し、探索は困難を極める。さらに赤いシマモノの棲息数も多く、極めて危険。

 そして森の中ではずぅっと『何か』がないている。故に、慟哭の樹海。正体は不明である。



 その奥には何もないわ。

 だってそこは彼らの住処。特別なことなんて何もなく、彼らにとってただ平穏と安息の地であるというだけのこと。

 なのにあなたたちは、それを荒らすの?

 だったら、殺されても仕方ないわよね。

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