第28話


「おいアーティ、てめぇの仕業か?」

「だったら何でオイラもかごの中にいるんだよ」

「……。全員逃げられないように閉じ込めてブチ殺すため――とか」

「そうして欲しいなら今すぐやってやろうか」


「ふたりともやめて下さい。ワタシのために争わないで!」


「「いやおまえのためでは断じてない」」



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【TIPS】

◆呪われた黒い土

 シマの地中深くには呪詛を含んだ黒土が眠っており、穴を掘ってその黒土に触ると速やかに呪われてしまうため、村では原則、穴掘りが禁止となっている。一応高台であれば多少掘っても問題はないが、セーフティラインは場所によってムラがあるため、地下室を作りたい場合には事前にセイバーズに申請を行い、しっかりとした現地調査をすることが重要である。

 尚、黒い土は強めの魔力防御と水洗いで落とせるので、うっかり触れてしまっても慌てず相談にしよう。放置しておくと一晩眠っている間にシマモノになってしまったりするが、適切な処置を行えば基本的には無害化は可能である。

 かつてはセイバーズでもその黒土を採取して持ち帰り、呪詛の仕組みやシマモノの持つ呪殻の強度に関する研究が行われていたのだが、概ね満場一致で『人類には早すぎる』『この土から分かることは何もない』と結論付けられ、この危険な研究は凍結されることになった。


 無理もあるまい。

 呪われていようがいまいが、黒土は所詮、あくまでもただの黒い土。

 ニンゲンに分かることなど何一つとしてあろうはずもない。くか、くかかかか……。

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