第19話


「まるで高級旅館みたいで、テンション上がっちゃうよねぇ」

「ご主人、田舎者丸出しみたいなはしゃぎ方はしないで欲しいですにゃ」

「田舎者じゃないよ! 都会っ子だよ! 東京タワー登ったことあるもん!!」

「都民はその程度のことを自慢しないんですにゃ……。そんなだから都会に住んでるのに性根が田舎者だって笑われるんですにゃ」

「そんなことないもん都会人だもん」

「渋谷で有名なお店10個言ってみろですにゃ」

「え、えっと、ま、マ〇クと……スタ〇と……」

「それはどこにでもあるですにゃ……」







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【TIPS】

◆かもめのなきどころ

 過酷な孤島生活において最も重要な娯楽である『飲食』を目的とした場所の中では、シマ最大級を誇る料亭風居酒屋である。

 『せっかくなので可能な限りそれっぽく』という店主の強いこだわりを実現した、かなり高級感の溢れる仕上がりとなった内装は必見。あまりの出来栄えに初見ではつい身構えてしまうが、中身は至って庶民的なお食事処なのでご安心いただきたい。

 客席数は実に百を超え、忙しい日でもちょっとした隙間時間に空席待ちすることなく小腹を満たすことができるのが、個人的には最大の魅力。

 また上の階には個室や宴会場なども用意され、このシマでは団体客の受け入れが可能な数少ない店となっているのもポイントが高い。

 また海に近い高台の一等地だけあって、非常に景観が良いというのも見逃せない。一階フロアの大窓から望む壮大な夕焼けは、是非その目で確かめて欲しい。


 ちなみに一部の食通の間で有名な噂だが、秘密の地下席にて特別な裏メニューが振る舞われているというのは真実だ。その方法は、各席に用意されたメニュー表に隠されている謎を解くことでのみ知ることができる。しかし普通に眺めているだけでは、それが謎解きになっていることさえ気付けないだろう。

 ヒントとしては、まずメニューの左端に描かれた赤エビのイラストから(以下、検閲)


(月刊シマグルメ第43号 特集『プラチナ級セイバーに聞く! イチオシレストラン!』より抜粋)





◆海の守り神

 呪神メロウは海の神である。海より来る脅威を防ぎ、人を守ってくれている。

 海底に棲む凶悪なシマモノが地上に上がってこないのも、彼女のお陰。

 シマモノ以外の海産物は普通に浅瀬に来ることもあるため、彼女は何らかの方法で、選択的にシマモノだけを封じ込めているということだ。

 その方法が恐らく、彼女らの口にするところの、【Law】なのだろう。


 つまり【Law】に影響が与えられれば、海底のシマモノは地上に上がってくることができるのかも知れない。

 試してみる?

 くすくす。


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