第6話


 ――これまで、自分より強いに出会ったことは、一度しかない。

 本気で勝てないと思ったのは、口惜しいが、人類のダメなところを凝縮したようなあの男……村長ウロノスだけだ。

 それ以外の相手であれば、誰を相手にしようと負ける気は一切しない。

 驕りでもなんでもない、ただの事実として、そう認識している。


 ――そのフェルエルが初めて、村長以外の人間を相手に、もしかしたら負けるかも知れない、という覚悟をした。

 その覚悟を、諸共焼き尽くさんと放たれる魔術の閃光――ミリエはその熾烈な魔素の猛りを、こう呼ぶ。



「【赤き灼熱の魔導クレイジーファイア】」









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【TIPS】


魔法言語ルーンゲイジ

 魔素マナを特定の形に組み合わせることで発現する、ただ魔素を操るだけでは成し得ない超常現象を引き起こすための特別な魔素の配列。これを利用して書き起こす術式を、魔法定式と呼ぶ。

 アミノ酸みたいなもん。


魔法定式スクリプト

 魔法言語によって定められた命令を、魔素を介して実行するプログラム。起動すると、術式に組み込まれた魔法言語が魔素の輝きと共に展開され、美しい幾何学模様を描く。いわゆる魔法陣と呼ばれ、これが複雑で巨大なほど魔法の威力は高いと言われている。

 タンパク質みたいなもん。

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