World Building 8 緑の民と灰の民

●はじめに:

 この世界の主な民族である『緑の民』『灰の民』の解説を行います。


☆緑の民:

●緑の民の肉体的特徴:

 種族的には妖精族に分類されエルフ族と呼ばれる彼らは、その身長が男性は156cm前後、女性144cm前後の比較的低身長の人類です(黒の部族とほぼ同じです)。

 体重もまたほぼ黒の部族と同じく痩せ形であり、脂肪はほとんどなく筋肉質な肉体を持っています。その髪は金髪、瞳は碧眼で、肌は白く一見すると青の民にも見えますが、その長い耳と、尻から生えた尾によって区別することが可能です。その視覚に関しては黒の部族ほど優れてはいませんが、種族的に魔法の残滓を知覚する直感を有していて、それを独自の方法で鍛えて危険回避に利用しています。

 身体能力的にもほぼ人間族と変わらない程度で、人間族との差は外見以外はほぼないと言っていいでしょう。


●文化:

 緑の民は深い森の奥に、樹木と一体化した家屋を作って、都市単位で小国家を築いて生活しています。

 緑の民には樹木に家屋を組み込む魔法建築家が存在し、彼らによって独自の家屋が作られており、その見た目は絵本に出てくる妖精の家に見える少し幻想的なものです。その都市国家の頂点に立つのは、アークエルフ化を行って永遠の寿命を得た長老たちです。その治世は短いのでも100を超えており、伝統を重んじる社会です。それは逆に言えば、新しい考えが否定されやすいということでもあります。村の若者は、そのことに悩んで村を出て旅をすることも多いようです。

 緑の民には一応貨幣の概念があります。これは元は、人間族との交易をきっかけに長老たちがエルフ社会に導入したもので、ほぼ人間社会と同じ制度で運用されています。

緑の民は女系社会であり、女性の方が何事にも前面に出て活動します。このため、エルフ族の男性を見たことのない人間族もたまにいます。

 ただ、男性が特に地位が低いというわけでもなく、家長が女性である以外はほとんど性差別らしきものは見られません(少なくとも彼ら自身はそう思っています)。


●食生活:

 緑の民は森から得られる果実や、狩猟を行って手に入れる野生動物の肉を食べて生活しています。

 彼らは農耕・牧畜の文化が乏しく、家畜もほとんど飼ってはいません。彼らが従える動物は、餌付けした野生動物が基本であり。代を重ねて生み出された家畜は不自然なものとして嫌っています。

 狩猟は男女ともに得意であり、弓矢を誰でも上手に扱うことが出来ます。このため緑の民と言えば弓兵というふうに人間族からみられています。


●武具:

 緑の民の武具は自然から入手できるものを簡単に加工して生み出されます。

 このため、鉱石を採掘して生み出す金属製の武具などはほぼ使われません。金属の入手は人間族との取引に頼っており、このためにも厚い金属プレートを用いる金属鎧や長剣などはほとんど使われないのです。

 彼らの武器は槍や弓矢が基本です。槍の穂先も矢じりも動物の牙や石を加工して生み出し、それを丈夫な樹木に括り付けて造ります。

 以上の事から、緑の民の戦士の大半は軽装をしており、重武装の鎧の騎士はほぼいません。


●信仰:

 緑の民は妖精族として『ユグドラシル』と祖霊を信仰対象としています。扱う魔法も『歌唱魔法』で親から代々口伝で教えられます。

 このため、その親……家系の魔法使いとしての傾向が、そのまま子孫に代々受け継がれることになります。

 火の魔法を得意とする家系……情報系の魔法を得意とする家系など、いろいろ家ごとの傾向が存在し、それ以外の家の者に家系を越えて魔法を伝授することはありません。緑の民の魔法は将来家長となる一人とその側近となる兄弟の一部(たいていは一人)にのみ伝授するのが通例になっています。そういった魔法使いは、たいていの場合森を出ずに、生涯を故郷で過ごすことが多く、このため人間社会に出てくる多くの緑の民は魔法を使えない者ということになります。


●外国とのかかわり:

 人間族とは比較的友好に交易を行っています。人間社会の文化を自分の社会に取り込むことも結構多いです。

 ただ、現在の赤の民は一歩引いた目で見ています。

 無色の民や黒の部族は出来の悪い親戚種族として若干上から目線で見ています。

 灰の民は、明確に嫌っていますが、戦争を起こすほどの確執はありません。


●霊視能力:

 緑の民は種族的に魔法の残滓を感知する能力を有しています。彼らは独自の訓練法でそれを鍛えて、霊視覚と呼べるほどにまで成長させます。この能力を持つものは、設置型の魔法の罠を見破ったり、魔法を直接見てその仲介役である精霊の種類を見破ったりすることが可能です。


●支配階級アークエルフ:

 過去に偉大な功績を残した英雄は、アークエルフ化で永遠の寿命を得て支配階級となります。

 彼ら長老による長老会議が、緑の民の都市国家の頂点ということになります。この長老会議の存在によって、緑の民の社会は古いものほど重視されて、新しいものは軽視される傾向が強くなっています。



◆◇◆



☆灰の民:

●灰の民の肉体的特徴:

 種族的には妖精族に分類されドワーフ族と呼ばれる彼らは、その身長が男性は140cm前後、女性130cm前後の低身長の人類です。

 その体形はずんぐりとしており、女性は人間の少女に見えなくもありません。その髪は赤、茶、こげ茶、瞳は碧眼で、肌は褐色の日に焼けたような肌をしています。その視覚は、光のない暗闇でも見通せる暗視能力を持ち、炎などの熱にきわめて強い肉体を持っています。

 一見不器用に見える彼らは、きわめて器用な指先を持ち、細工物や工業製品を生産することに長けています。

 彼らは種族的に筋力が強く、動きが鈍い重戦士向けの身体能力を持っています。


●文化:

 灰の民は火山のある山の地底に巨大な王国を築いて生活しています。

 その規模は小さいものでも1万人を超えており、それ以下の小集落は特別な場合を除いて作りません。彼らの王国同士は地下道によってつなげられており、地底から出なくても大陸中の地下王国を巡ることが出来ます。

 彼らの最大の特徴は、地下熱などを利用した熱機関を生産できる高度な技術を持つということです。彼らの生産する熱機関の内、蒸気機関などの一部の技術は、人間社会に輸出されて船舶のエンジンなどに利用されています。


●食生活:

 灰の民の食生活は謎に包まれています。どこからか野菜や肉類を調達しそれを食べて生活しています。

 彼らは地上に出て農業や狩猟などは行いません。でも、どこからか調達してくるのです。


●武具:

 灰の民の武具は、地下でとれる鉱石を加工したものが主流になっています。

 それらは完全金属製であり、当然のごとく人間が扱うものよりもかなりの重量があります。さらに、地下道で扱いやすいように長柄武器はほとんど使用されません。斧や槌など短くて攻撃力の高い武器が好まれます。鎧はプレートでガチガチに固めるのが普通です。彼らは優れた筋力で、その重量装備を軽装のように扱うことが出来ます。


●信仰:

 灰の民は妖精族として『ユグドラシル』と祖霊を信仰対象としています。扱う魔法も 『歌唱魔法』で親から代々口伝で教えられます。ここら辺の扱いは、緑の民とほぼ同じです。


●外国とのかかわり:

 人間族とは比較的友好に交易を行っています。ただ積極的に地下から外には出ようとしません。

 現在の赤の民に一歩引いているのは緑の民と同じです。

 無色の民や黒の部族とは友人関係であり彼らの武具を作成することも多いようです。

 緑の民は、明確に嫌っていますが、戦争を起こすほどの確執はありません。


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