1日目-2-
店を出ると、風が朝の空気に変わっていた。空は青さを取り戻し、雲がまばらに流れている。
バイクを押して、町の中心を通る大通りへと向ける。誰もいない道を上へ。シャッターが下ろされているが、それは建物の一階部分のみ。二階から人の気配は聞こえてくる。しかし、それをかき消すほどの蝉の声がうるさく響き渡っている。
見上げる先には山。大通りは途中で途切れて山の上までは繋がっていない。とりあえず突き当たりまで、と歩いていく。
数百メートルも歩くと景色が変わる。道幅が細くなり、食事処やスーパーマーケットは減ってもっと小さな個人経営の商店が並んでいる。とはいっても、規模はあまり変わらない。経営の主体が組合から個人になっただけだ。──残念なことにコンビニは無かった。
さらに上へ。段々と傾斜がきつくなっていく。ホイールが重くなり、半ば引きずるようにして登っていく。通りは既に自動車2台がようやく並んで通れるほどの広さにまで狭まり、塀と生垣で姿を隠した家ばかりになっている。
歩き続けて30分。
だが、深空はこの上へ行く道があると悟っていた。その家の右手斜め上にも建物の姿が見えたのである。どこかの脇道を入っていけば上へ通じる道がある。すっかり探検気分になって深空は道を戻る。地図を見るなんてことは考えない。それじゃあ面白くないからだ。未知の土地で自分の足で色々なものを探す。深空にとって、旅とはそういうものだった。
道を降りようと振り返る。太陽は頂点までの道を昇り始めたばかり、その下にかすかに見える海は白く光っている。
人が動き始めるにはまだ時間がある。邪魔にならないようにそれまで探索しよう、と深空は動き出した。左手側の最初の脇道へ入る。道なりに進んで、分岐があれば上へ。行き止まりなら引き返してもう一つ下の脇道を左に。行き止まりなら引き返して左に。
そんなことを繰り返しても、最後には上への道は閉ざされている。山に登らせたくないのでは、という意思すら感じるほどだ。
(いや、まだきちんと探したわけじゃない)
下への分岐がさらに脇道に繋がっていることはよくあることだ。碁盤のようにきっちり直行していなくても、道というものはどこかで繋がっている。ただ1つの行き先だけの道などそうありはしない。
ただ、特定の場所に繋がる道がそう多いとは限らない。それを探すには本来は地図が無いと難しいのだが、あくまで自分の力で見つけることに深空はこだわった。
ビニールハウスの横を抜け、家の形から道の存在を確かめ、畑の向こうに手掛かりを探し、空き地でも無いかと目を光らせる。意図的に開発に手が加わった不自然な痕跡が無いかと躍起になっていた。
それも1時間程度で終わらせなくてはならなかった。既に町の人が活動を始める時間。
深空は道を降り始める。だが、それだけでは面白くない。
ちょっと降りてから右手側の脇道に入った。さっきまで、確認したのは左ばかりだったのだ。少し新鮮な気分だった。
少し進むと、下へと緩やかに降りて行く道だと分かった。ゆっくりと曲線を描いて下へと伸びて行く道の先は見えない。人の姿も無い。左右の家は大きいが沈黙を保っていて、まだ誰も起きていないのか、それとも誰もいないのか、少々不気味に思える。
だが、重力はきっちり下へと降りていると伝えている。雰囲気に押されて速くなりそうな足を抑えつつ深空は歩く。傾斜はまだ充分にあって、下手に速度を速めると転んでしまいそうだ。
変わる気配の無い道は、登りの道よりも長く続いているような気がした。そんなはずは無いのに、歩けど歩けど終わりが無いような感覚に深空は襲われる。そうしたらまた足が遅くなる。バイクが重くなっていくように感じる。何でもいいから変わったものに出会いたい、と彼女は前を見て気を払っていた。その視界が違和感を得た。
切れ目だ。大通りとは反対の方、右手の塀に細い隙間がある。人ひとりが通り抜けられる大きさで、上は左右の家から伸びた木の枝で覆われてところどころ穴の開いた天井のようになっている。先は曲がっているようで、薄っすらと光が反射していた。
何かが気になった。いや、こんな場所を見過ごす手は無い、と深空はその先に進むことを決意した。念のためにスキャホで現在位置を登録して頭に装着する。位置記録が保存されるだけにして、絶対に地図が表示されないようセット。準備ができたら深呼吸してから隙間に踏み込んだ。
左右の壁からは植物が顔を出し、正面には蜘蛛の巣が張っている。頭を下げて突き破らないようにして進む。曲がり角までは約20メートル。角度はほぼ直角で、上へ行く方に曲がっている。だが、少しだけカドが削れていて通りやすいようにしてあった。ただ、バイクは縦にしないと通れないが。
曲がると、風が正面から吹き抜けた。髪を巻き上げカドで渦を巻いて声を上げ、小さくなって消える。深空は上を見た。枝がまばらになって光や風を通しているのだ。そのため道の様子が見えるようになっていた。
苔が隅を覆い、雑草がアスファルトを破って伸び、ツタが壁を這う。虫が顔の周りを飛んで、蝉の声が大きくなる。枝の切れ目から見える空は青く高く、白い雲がゆったりと流れている。道は一部だけ木が消えて、その部分だけ明るくなり、さらに奥は暗く見えない。
深空は迷わず進んだ。木々のアーチを抜けて木洩れ日が溢れる空間へ。存外の眩しさに目がくらむ。
壁は白く、でも少し汚れて、雨で脆くなったからか崩れている部分もある。だが、放置されているようで手入れの痕跡は見当たらない。
太陽が注ぐ中を進む。足元で枯れ木が音を立てる。枯れ葉に乗った足が滑りそうになる。地面が土になっている部分があるのは、自然の分解者が働いているからだろう。でも──それにしても、少し綺麗すぎる。もしかしたら、全く人の手が入っていないわけでもないのかもしれない。
深空は前を見る。道の先、暗闇の向こうは、今いる場所の光が強くてよく見えない。
恐る恐る足を入れて地面の様子を探り、前に出る。顔を突っ込んで闇に眼を慣らす。
そこは、まだ道の途中だった。すぐに左へと曲がる道があり、ぼうっと明るく光が反射している。道幅は狭く、バイクを縦にしてもギリギリ通れるくらい。深空の身体が細かったためさほど引っかからずに抜けられたが、例えば成人男子が通ろうとすれば身体を擦りむいてもおかしくない。
曲がった先はゆったりとした上り坂になっていた。足の感触が土を示す。少し歩くと、壁は左手側にのみになって視界が晴れた。建物全体を囲む塀は屋敷をその土地ごと切り離し隠すが、それらの外にあるものは彼らの領域の干渉外だ。むしろ、時が経つにつれて元あったものに侵食されていく。だからこそ人が住み人の手を入れ、人工の状態を維持しなければいけない。
それが十全に為されているかというと疑問だった。
しかし、今の深空にはその考えは頭の中に浮き出ては消える泡の一つにしか過ぎなかった。
ごぉうと風が吹いた。
土を固めた道が続いている。左手は屋敷の塀で、行き止まりだ。正面道の向こうは塀で、その手前で道は折れ曲がっている。
右手は空き地だった。一辺が10メートルはあろうかという正方形で、周囲を屋敷に囲まれているのに人の手が加わった感じもしない。何かを作ろうとした痕跡も無い。ロープで封鎖されたり私有地の看板が立っていることも無い。ただ草が生い茂るだけの空間だった。
それでも人工的な場所というのは分かる。切り取ったように、意図的にここを空けておいたのだと、そうとしか思えないほど不自然な空間だった。理由は不明で、それがなおさら違和感を加速させる。
スキャホを確認する。位置情報は正確に記録されている。道程を見返しても何一つおかしな部分は無い。
寒気がした。一刻も早くこの場所から立ち去りたいと全身が訴えていた。
空き地を横切って道を進む。何事もなく済んでほっとしたのもつかの間、深空は新たな困惑に包まれていた。
「え? あれ?」
道は行き止まりだった。進む場所があると思ったのは上の屋敷の玄関へと続く通用門で、左右どちらも──上へも下へも行けないということだ。正面は塀で、その向こうは上側の屋敷の領域らしかった。
つまり、ここは隠された場所とかそういうことではなく、土地の利用で奥まった場所に作らざるを得なかった屋敷への道なのだ。道の上に張り出した木々を取っ払い塀を整備すればきちんとした姿が蘇るだろう。
(じゃあ──あの空き地も土地の利用が上手くいかなかった名残なのだろうか)
さっきの自分の考えが馬鹿らしくなって、何とも言えない笑いが深空の口元に浮かぶ。蝉の声がやたら大きく感じた。
「さて!」
行き止まりと分かった以上、ここに長居する必要はない。途中に分岐も無かったし、引き返すだけだ。
それでも空き地の前を通るときは身体が緊張していた。横目で空き地を見る。草は深空の身体の半ばまであるだろう。少なくとも1メートルは下回らない。
びょう、と風が吹いた。塀の向こう側からだ。見上げた深空は驚いた。そこに山があった。
意外なほど大きく、青空を背景に夏の緑が萌えて、迫力のある山だ。反射的にスキャホを外して構え写真を撮っていた。最初は全景を。今度は拡大して山頂と中腹を何枚か。適当に撮っていると、緑の色が違う場所があるのに気がついた。拡大すると、微妙に山の形も違う。地滑りでも起こした痕だろうかと思い深く考えず、スキャホをポケットにしまって深空はその場を後にした。
元の道に戻ると、時間は8時半を回ったところ。大通りは人で賑わってるだろうけど、この場所は静かなまま。なんだか別の町のようだ。
坂を降りて行く。深空はなんだか気持ちが軽くなったようで、バイクも楽に押している気がする。同じような脇道が無いかと目を凝らしていたが、塀を持った屋敷が無くなり人の姿が現れてくるまでに横に入る道の1つも見当たらなかった。なんか残念だ、と軽いため息をついた。
一般の家が見えてくる。まばらに人が行き来して、なんだかほっとした──それもつかの間、深空は足を止めた。
坂が急になっていた。ほぼ平坦な道が一点を境に滑り台のように角度をつけて、海まで下るようになっている。道幅は大通りと同じで下に行くほど広くなっていて、ここなら自動車も充分に通れる。
しかし、大通りにこんな場所は無かった。緩やかなスロープはバイクを押して行けるほどで、もし大通りもこんな坂だったら登る際には疲れて倍の時間がかかっていただろう。すると、この町は場所によって地形が違っているのかと深空は考える。
しかし、バイクを押して行くには降りづらいところだ。手が離れれば落ちるし何かのはずみで転ばないとも限らない。だから、押さなければいいのだ。
この町のことはあまり知らないから、少々危険だ。しかし海に続く坂という絶好の光景を前にして我慢できるほど深空も落ち着いていられなかった。
周囲の安全を確認し、坂に誰もいないことを目視。少し後ろに戻ってバイクに跨った。
ペダルを踏む。ギアは筋力を回転へと変換・増幅させ、ホイールへエネルギーを送り込む。ゆっくりと回転するホイールの感触を尻への振動で確かめ、深空は坂へと乗り出した。
重力がバイクを引っ張る。一度動き出したホイールは、今度は位置エネルギーを燃料として喰らい回転の速度を上げる。深空はブレーキに手をかける。パッドはゆっくり、ゆっくりと後輪を押さえて回転に待ったをかける。それでも勢いは殺さずに、しかし人が飛び出してもすぐ止まれるように速度を調整していく。
深空は自身が風になった感覚を持った。海の湿気を含んだ潮風がまとわりついて、後ろへ抜けていく。地上に留まる空気と海から流れてくる空気と、2つの空気の境を突き抜けているようだ。
(気持ちいい──)
深空は一直線に坂を降りていった。徐々に減速をかける、海と陸を隔てる突き当たりの護岸壁の手前で止まる。そこは海沿いの道路。この町に来るときに走ってきた道路の続きだ。左手には漁港と市場が見えるし、右へと走って行けばまた別の町に辿り着くのだろう。
しかし、それは本意ではない。深空はバイクを降り、自動車が来ない隙を見計らって道を渡った。護岸壁は頭までの高さがあるが上れないほど急ではない。バイクに鍵をかけて、護岸壁によじ登る。
壁の上に立つと、正面は海と空しかなく、下は砂浜だった。青い空の下、誰も踏んでいない白い砂を波が寄せては引いてさりさりと音を立てている。スキャホを出して写真を1枚、2枚と撮影する。砂浜まで降りてみたい。そんな気持ちが胸をよぎる。
(この町で盗みなんてできっこない……)
陽花の言葉が深空の脳裏をよぎる。バイクから目を離したくは無いが、砂浜へと下ろすのも大変そうだし砂が入ると整備も面倒だ。
せめて海の家でもあれば預かってもらえるのに、と周囲を見回した。すると漁港の方へ行ったところの壁に切れ目があって、砂浜に降りられるようになっている。
護岸壁を降りて──それだけだと面白くない──バイクを引き上げて、壁の上で押していく。これなら自動車の邪魔にもならないし、周りも見ることができる。砂浜に何があるかも見える。
少し歩いて切れ目で壁を降りる。そこにバイクを立てかけておいて、深空は階段を下り砂浜へと下りた。
階段の終着点のすぐ横に建物があった。何かの事務所のようで、きっと海の家だろう。さらに見てみると、隣には倉庫と思しき建物がある。しかし両方とも人の気配は無く、バイクを預かってもらえそうにない。
ただ、砂浜の一番上の方で土も見えているし水も来ないだろう。立てかけておける場所としては使えそうだ。
早速バイクを運んでザックを置く。ヘルメットを脱ぐと暗い髪が風になびき、光を浴びて輝いた。タイツを両脚とも脱いでサンダルに履き替える。蒸れた足が風に当たって気持ちいい。深空は砂浜へと繰り出した。着替えも持っている。海に入るなどしなければ、多少の無茶をしても問題ない。
波打ち際に寄って海水に手を入れる。波が足にかかる。冷たい、と引っ込めて再び手を伸ばす。そのまま足を海に入れ、砂を踏んで歩く。力を入れるときゅっきゅっと砂が鳴った。海中の砂をすくって指の隙間から海に流していく。さらさらと零れる砂が波の流れに乗って、水の層を見せていた。
砂を流し終えると、小さな魚が泳いでいたので軽く捕まえようとする。手をすり抜けてどこかへ行ってしまうが、別の魚がそばを通り、これも捕まえようとして逃げられる。
少しの間、魚を捕まえようと躍起になっていた深空だが、ふいと立ち上がった。飽きた、と一旦砂浜に戻って周囲を見渡した。左手側には市場で、この時間だと一般の買い物客が押し寄せているだろう。漁港は日中も稼働していて、海の向こうには戻ってくる船がいくつか見える。
右手側はコンクリートで固められ、海沿いの道路を支えている。自動車は少なくエンジン音より蝉の声の方がよく聞こえている。その下に岩場があった。
深空は岩場へ向かった。磯のようになっているなら、面白いものがいるかもしれない。
期待を胸に岩場に向かった深空は期待通りのものを発見した。海から頭を出している岩の隙間に海水が溜まっていて、小さな生き物の住処ができている。
磯場では小魚よりも、イソギンチャクやカメノテ、貝類カニ類、ヒトデにナマコにヤドカリにフナムシといった生き物の方が多い。普通なら近寄りもしない場所だろうが、そういうものに忌避感が無かったりむしろ好きだったりする人もいる。深空もそのうちの1人だ。
迷わず波が寄せる岩を踏んだ。ぬめる足場をぐっと真上から踏んで押さえつけ、転ばないようにして岩の上を歩いていく。海に近くなるほど潮溜まりも大きくなって、色々な生き物が動いている。
深空は1つの潮溜まりの端にしゃがみ込む。蠢いているものがいると確認して、やおら手を突っ込んだ。ぐっと指がつまんだものは小さなオレンジ色のヒトデだ。表と裏を見返して、裏のまま水の中に戻し、身をひっくり返す様を眺める。
次は不自然に水底に立っている巻貝を取る。簡単に持ち上がったそれは、岩の上に置くと足を出して歩いていく。ヤドカリだ。
深空はヤドカリが潮溜まりに戻っていくのを眺めたあと、別の潮溜まりに移る。今度はアメフラシを持ち上げ紫色の体液を吐き出させる。小さなカニを捕まえて腹を見る。岩に張り付いた貝を力づくで剥がして裏面を見る。一旦砂浜に戻り、陸に近い潮溜まりへ。小魚の色を見てこれは何だろうと首をひねる。
今度は海に一番近い岩へと行って、その先端から海を覗き込む。海藻がゆらゆらと揺れ、魚の影がちらちらと現れては消え、少し向こうには海面からわずかに沈んだ岩がある。完全に潮が引いたらどこまで行けるのだろう、と深空は思う。そんな岩がいくつもあれば海の上を歩くようなことができるのかもしれない。
しかし、それを確かめる術はない。漁港の近くとはいえ陸地からは離れた場所だった。誰かが船であそこまで行って作業していた──くらいしか考えつかない。踊っていたように見えたのはそういう仕草だったと。
ひと通り磯場を見て回った深空はバイクの場所に戻ってきた。足を拭きながら見渡す。小さな砂浜だ。特に水が透明というわけでもなく格別白い砂ということもなく、泳げはするというくらいの場所。観光客も、特殊な事情や好みでもない限りこんな場所ではなくもっと広くてきちんとしたホテルがある場所へ行くだろう。
タオルとサンダルをザックにしまい再びタイツとシューズを身に着け砂浜を上がった。もう10時にもなっている。1時間も遊んでいたのか、と深空は苦笑を漏らした。
最後に砂浜の左端──岩場の反対側──へと歩いていく。護岸壁と繋がり海へ長く張り出したその場所は、消波ブロックで守られ土台もしっかりとして、先端には灯台と思われる建物が立っている。入り口は封鎖されていて、鍵がなければ入れない。
そのまま海を見る。水平線の彼方まで、動くものは波と雲のみ。海と空の境界からは白い雲が天へ腕を伸ばすように高く昇っている。その周りに小さな雲が集まって、ゆったりと大きくなっていく。
写真を撮った。雲と空に海を添えて。海はいい、と深空は満足する。
灯台に身体を預け海に背を向ければ、町の左側を一望できる。しかし深空が見つけたあの道や空き地は見つからない。白い建築物が多いあたりか──くらいの予測がつくくらいだ。
再び海に向いた深空は奇妙なことに気がついた。
砂浜と漁港の間には距離がある。きちんと整備された、直線と90度角で造られた場所だ。大型の船着き場のように見えるそこは、使われなくなって何十年も経っているのかところどころ錆びている。かつては荷物を運んでいただろうクレーンも跡を残して姿を消している。
漁港の一部にしなかったのか──そんな疑問が深空の頭に浮かんだ。少し陸の方に戻ってその空間に駆け寄っていく。
広い空間はすっきりとしていた。人の手が加わっているようで、雑草も少ししか生えていない。それにしては、何かに使われている感じもしなければ、何かが発生した痕跡があるわけでもない。使途不明だけど何かあった時のために整備されている──くらいに考えればいいのだろうか。
ともあれ面白そうな場所でもない。深空はその場を後にしてバイクを取って戻り、再び町に繰り出した。
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