アイデアの種

シェンマオ

第1話

アイデアの種、という物を友人から貰った。何とこの種を植えると、アイデアが生えてくるらしい。

売れない小説家である私に取っては救世主のような種だ。

早速植えて水をやってみると、暫くもしない内に芽が出て実がなった。

どうやら、この実がアイデアであるらしい。だが、見た目何ら変哲のない実であったため、取り敢えず私は口に含んでみた。

少し酸っぱく、続いて気持ち良い甘さが口の中に広がった。

暫く味を楽しんでいると、驚く事に頭の中にアイデアが湧いてきた。

それは傑作としか言い様のない代物で、一刻も早くコレを文章にしようとペンを取った。


数日後、私は友人の元を訪ねた。

「やぁ、どうだった。アイデアの種」

「あぁ、実に素晴らしい物だった。ところで、君に頼みがあるのだ」

なんだね? と聞いてくる友人の耳に口を寄せ、私は呟いた。

「文才の種というのは、持ってないのかね?」

やはり私は、売れない小説家であった。

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アイデアの種 シェンマオ @kamui00621

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