第79話
かつて、魔界の占拠を目論みながらも、敗れ―――神仙族の竜吉公主により封印を施された存在、【ニュクス】……
別の
それはつまり、以前魔界の一都市を襲い来た『オピニンクス』なる“超”獣と同義……
そう、つまりはこの存在も『ラプラスの魔』の“一つ”であると仮定できるのです。
しかし……なぜ『封印』?
竜吉公主程の実力者が、ラプラスの魔の上位種と言えど『滅殺』ではなく『封印』なのか……
それは是非もなかった事―――
ニュクスが『本来の目的』を遂げる為に邪魔する者を……阻む者を排除する為、
{*この時に魔王軍を指揮していたのが、『魔王軍総参謀』であるベサリウスだった。}
しかし、寸での処でヴァーミリオン達や他の派閥の者達に救出され、そのまま狂える魔王と成ってしまったルベリウスと共に、ニュクスもまた
それにしても―――魔王を籠絡させ、洗脳を施せる実力を有しながらも、なぜニュクスは自ら敗北を認めたのか……そしてまた、それ程の実力の持ち主が、なぜ封印を受け入れたのか―――
それは、『知らない方が良い』―――
確かに真実とは、これまでに知っても
そして―――今……封印の経年劣化とでも言えば良いのか……
ニュクスにかけられていた封印の縛りは緩くなり、解かれようとしていた―――……
“現在”の
それは、別次元から来たニュクスとて同じ事でした。
そう……捕縛され、洗脳されかけ、弱体化してしまった竜吉公主と、彼女に協力をした“地”の熾天使を向こうに回し、対等に渡り合った実力の持ち主が……
ただ大人しく封印をされた―――? されていた―――??
―――???
いやそもそも、この……『封印される事』自体が、ニュクスの
* * * * * * * * * *
フ・フ・フ―――よくこなれてきている……
この状況こそが、
このわたくしを、ただの駒の様に扱いし事―――
この恥辱……決して忘れまいぞ……!
ニュクスは―――実は、自らの意思で『魔界の占拠』を
その怨み節はまるで
その上でニュクスは、
ただ……大人しく封印されていたわけでは―――なかった????
そう……彼の者は、自らを縛った封を大人しく受け入れてはいたものの、実は封印をされたその瞬間から―――“存在”は染み出ていた……?
それは、封印を施した竜吉公主も、気付かぬ内に……?
いえ、竜吉公主は既にその事実には気付いていたのです。
しかし、気付いていた―――のに、ならばどうして封印の縛りを強くしなかったのか……厚くしなかったのか…………
動き出しおったか……あの者が―――
傷ついていたが故、当時の
なのに―――あの者は、大人しく……“縛”の屈辱を素直に受け入れた……
また何を
『行動に移ろう時にその指標は視えてくる』
と、女媧より助言を給わったが……
ニュクスよ―――今こそ明かしてもらうとしよう……あの時、
弱体化をさせられなければ、ほぼ互角の実力を拮抗し合った両者……
それは実際に、闘争を交らわせた者同士だからこそ判った事でした。
この者の心の奥底に潜みしは、“怨み”“辛み”……
だがそれは、
だと、するならば……
* * * * * * * * * *
かのファフニール襲撃の件が収まり、傷ついた者達を見舞う為、彼の二人が収容されているマナカクリムの救護施設に訪れた者達は……
「バカ者が……無茶をしおって―――」
「へッ―――そんな事をあんたの口から言われようとはなあ?」
「そうですよ、以前は虐げられている者達を見たら周りをよく見ずに手を出していたあなたが……」
は い?
「(あ~~るぇ?)あのぅ……どう言う事なんです?」
「『あ゛~~~絶対この後面倒臭い事になるんだろうなあ~~』って、判ってるのに手を出すもんだからさ。」
「案の定面倒臭い事になってしまって―――巻き込まれるこちらの身にもなってもらいたかったです。」
「まあ~~その殆どはローリエが肩代わりしてくれたけれどな。」
「彼女は、それでも満更ではなかったようですしね―――」
「(なんだか……身内からの“
「(風当たりが……ハンパないですね―――)」
「そ……そんな言い方をしなくても、良いのではないのか??」
「ハッ―――!お蔭でこっちも、そんなあんたに感化されてなあ~?なあ?ノエル―――」
「ええ、けれど感化されるのも悪くはない……だからこそ、今回の行動に移れもしたのですよ。」
生命の危機に至るまでの大傷は竜吉公主より塞がれ癒されはしたものの、その他の体内の“
そこでは思わずも過去にあった出来事についての“身内の暴露”があり、しかしそこには“怨み”“辛み”はなく、寧ろそのお蔭で変われた事を喜んでさえいた……だからこそ、彼女達は
#79;忍び寄る“闇”
その……後の出来事で―――
その者は、その街の……夜の辻に
どこか薄暗く―――陰気な……
まるで“未亡人”の様な、黒衣を纏った“彼女”……
―――【
その女は……狙っていました―――
群れから
「ねえ―――あなた……」
「(え?)私の事ですか?」
「ええ―――そうよ……他に誰がいると言うの。」
どこか―――不気味だった……
どこか―――気味が悪かった……
けれども、そんな事には目もくれずに、【
その、くすんだ蝋の様な青白い顔に、薄ら笑いを浮かべ―――
【
「な―――何を?さ……叫びますよ?」
「いいわよ―――?叫んでご覧なさいな……。 その
そう言われクシナダは、
―――が……その叫びは届かない…………
その理由は、既に
フ・フ・フ―――さあぁ……存分に抵抗をなさいな
あの竜吉公主でさえ、
抗い切れることが出来ると言うのならば……
そ―――そんな……
あ……あの竜吉公主様でさえ?
い……いけない―――と、取り込まれてしまう……!
侵蝕されてしまう……ッ―――!!
や……止めて―――
助け……て―――
自分よりも上位の実力を有する者でさえ
そんな存在を相手に、自分がどれほどの事が出来ただろう……
つづく
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