第71話
現在、“接見”を行っている王女は、『王女シェラザード』―――では、ない……
ならば、シェラザードは一体どこに?その謎を解くカギは―――
「(……)何をやっているのだ?
「ああ、アウラ様―――これには少々“事情”と言うものが……」
「そう言えば5日ほど前、この城の城門近くで“テロ未遂”の騒動があった……と、耳にしたのだが?」
「それ……本当なんです―――」
この日
しかしアウラは近しい過去に彼らと交流を持ったことがあるからか、今現在自分が接見しているのは本物の王女ではない事が判ってしまった―――
しかもどうやらそうなった経緯もどことなく心当たりがあったようでして……
* * * * * * * * * *
そう―――それが5日ほど前……
しかも彼女達が王国入りした当日の出来事なのですが……
「なぁんですってぇ?!もう一度言ってご覧なさいな!」
「何度でも言ってやるよ!こっちゃ頼んでなんて一度もないのに、興味本位でついてきちゃってさあ~~!」
「な……なあ―――あの……これ止めないと、さすがにヤヴぁいんじゃ……」(ハハハ……)
「『止める』……アレをでしゅか?」(ムヒョ?)
「ああそうだよ!それにもう城門に着いてるのに益々ヒート・アップ……」
「いえ、既に手遅れなんでしゅけど……それでも『止め』ましゅ?」(ムヒ?)
「(え?)あの……“既に”―――って……」
「シェラさんが、『ヨケーな
この時放たれた『鬼道巫女』の術により、氷/凍結の世界に閉ざされてしまったエヴァグリム城門前……ようやく平穏を取り戻せつつあった王国の、このタイミングでの“テロ未遂騒動”にと、現場に駆け付けてみれば動かぬ証拠が……
それが氷漬けになりながらも、互いが互いを
そんなこんなでありまして、現在アウラは城門付近を騒がせたかどで拘束を余儀なくされている二人を(軽蔑した眼差しで)見下していたのです。
「(じーーー)」
「そんな眼で見つめないでぇ~? アウラぁ―――」
「(しくしく)」
「(ハア~~)言いたいことは山ほどあるのだが、反省はしているのだろうな?」
首より下を岩の
「え゛~~~でも、私全然悪くないモーーーン!」
「反省しているんだよなあ??」
「私は、悪くないモ~~ン!!」
「
「私も……悪くなんかありません―――」
「(はああ~~……)あ・の・な・あ~~~お前達……」
「だって! この人が全然素直じゃないんだもの!」
「―――はい?」
「本当は……私達に手伝って貰いたいくせに―――本当は、
「はあ~~? 何言ってんの―――そんなこっ恥ぱずかしいコト、一言だって言ってやしないしぃ~~~!」
「ほらっ―――こんな調子なんですよ?」
嗚呼―――なんと言う事でしょう……単なる痴話喧嘩、そんな事で氷漬けにされてしまったエヴァグリム城門前……しかも、事情聴取を終えてみて―――の、“判決”の行方は??
「なるほどな……よ~く判った―――お前達が、大変仲が好い―――と、言う事が、な。」
「はあぁ~~~ぃい~?!ちょっと、アウラ―――あんた、どこをどう見たら私達の仲が……」
「勝手にほざいてろ―――なぜこうなったか……の
「あっ……ちょ、ちょっと待ってよ!接見する
「ハイハイ―――そこも、もう手配済みだ。」
「えっ……あのう~~~ましゃか……?」
「先程、ササラ殿からも相談を受けてな。 この私が、お前の代理をするように依頼をされたのだ、まあーーー気にするな、お前達はお前達で存分にその愛を育んでおれ。」
「あ゛~~!ちょっと待ってえ~~!アウラあ~~!!もうこんなトコやなのぉ~~!!暗いし、視えないし、音聞こえないし、二人っきりだしいぃ~~!! ねえ?アウラ??アウラしゃまあ~~!聞こえてんでしょぉお~~?!出してよおーーー出して!ここから出してよぉお~~!!」
#71;意外な“弱点”
実は、シェラザードは幼少の頃“おイタ”をやらかしてしまった時、よくこうした“お仕置き”を受けていたモノでした。
しかも“幼少”……その頃に受けた心の傷はいかほどのモノか―――この時の抵抗する姿勢を見ても判るように尋常ではなかった……
{*所謂ところの『暗所恐怖症』『閉所恐怖症』}
それから2日後……刑期を終えた二人は―――
「暗いのコワいよ……聞こえないのコワいよ……視えないのコワいよぉぉ~~……(ポロポロ) 私の周りで黒光りするちっさくて素早いのが……カサカサ言ってるよおぉぉ~~(ガクブル) ヤメテ……ヤメテをぉ~~私の首筋這い回らないで……私の身体で大運動会開催しないでえぇぇ~~~!(ビエエン)」
「お勤めは無事、果たされたようですねッ―――」(ムシシw)
「それより~~クシナダは思ったより精神負荷に抵抗があったようですねぇ?」
「ええ―――まあ……『巫女』の修行で近いモノありましたし……」
「ところで―――どうしましょう?これから……」
「アレ、使い物になると思いましゅか?」(ムヒ)
まるで、魂が抜けてしまった抜け殻のような―――“傀儡”の様な、(本物の)王女様。 とはいえこれではさすがに使い物にならないと、仕方なく“身代わり”が継続して王女の公務をこなすことになるのでしたが……
“怖いもの知らず”と思われた彼女の意外な弱点―――
知ってしまった、知られてしまった……だからこの後―――
宜しく立ち直り、本来の
* * * * * * * *
「今日もやり合ってんなあ―――シェラのヤツ……」
「まあ現在のエルフは一番難しい時期に来ていますからねぇ。 だから、締めなければならない処は、締めなければならない……そこは判るのですが―――あまり締めすぎて議論を長引かせると当然その余波は……」
「庶民にも―――ですよねえ……では、どうするのがベストだと?」
「そうですねぇ―――まずは、平行線の議論を収まらせる為に王女様には静かにして頂きましょう♪」(ムヒ)
新たなる、明るく
――ずぽっ――
頭が入るくらいの大きさの麻袋を被せられ、
すると、黒豹人族の成人女性にして、黒い導衣を召していた術師が……
『どうやら王女様におかれましては非常にお疲れのご様子、後はこの【黒キ魔女】が王女様の代理として意思決定を行いたいと思います。』
宜しくその後その政策は【黒キ魔女】の裁量により決定されました。
ですが―――なぜ王女様は、頭から麻袋を被せられただけで大人しくなったのでしょうか。
その答えとは―――『簡易性暗所』……
頭からすっぽりと麻袋を被せられた為、“視えない”“聞こえない”“息苦しい”等の事を感じてしまい只今機能停止中―――
その後宜しく麻袋を取り外された王女様は、“ベソ”を掻いていた―――と、言う事です。
つづく
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