第58話
今代の魔王に接見する為―――にと、自らにかけた封を解いた【黒キ魔女】ササラにより、一路シェラザード達はある場所へと転移してきたのでした。
その場所こそは―――
(ゴク~リ)「なんだかんだと言っても、とうとう来ちゃったわね……」
「あれが……魔王城―――あの、ここで合っているんですよ……ね?」
「(?)ええ―――この場所こそが魔界の『中央行政府』であり、『官邸』……つまり魔王の居住でもありますから。」
「けれど……『緋鮮の記憶』では、最終決戦場―――」
「そこは敢えて否定しませんが―――今も昔も変わらず、
「どうしてなの?」
「言葉通り……
「私にしてみれば、感慨深いものがある……私の
『経験』は、物語る―――
『
それは決して許された行為ではありませんでしたが、為さねばならない事でもあった―――……
それに、
彼女達は、『無知』だったからこそ、本来の“敵”が見えていない……
ただそれは、『無知』だったからこそ―――
けれど
それは、大多数の住人達には無自覚とされてはいても、進行し―――侵蝕する“病状”に……
まさにこの事が原因で、有り得ない―――あってはならない事態が魔界を包み込んだのです。
それが―――魔王ルベリウスの“豹変”……
そう……有り得ない、あってはならない事とは、不変であるはずの魔界の王が、狂い始めた。
この事を的確に掴んでいた人物により、その当時で話題に上りつつあった者達を
#58;『伝説』と成る刻
ここから少し、過去に遡り……
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ニルヴァーナとその仲間達は、ニルヴァーナの紹介もありその人物の庵を訪れていました。
「なあ……ここがそうなのか?」
「“鋼”を“金”に
それが……いざ眼にしてみれば、
それはともかくとして―――
「失礼するよ、カルブンクリス―――」
「やあ、君か……注文された品なら仕上がっているよ。」
んっ?!
「この人が―――そう?」
「そうだが?それが何か……?」
「いや―――(あ゛~~)」
「もっとゴッツイ職人
「な゛っ―――?!こっ、コラ―――失礼だぞ!」
「あっははは―――正直なことを言うモノだね。」
「済まないな―――」
「別に、気にはしていないよ。 寧ろ君達のご希望に添えず、申し訳ない。」
失礼を言ったにも拘らず、気にすらしていない―――それだけで、この人物の度量・器量の大きさと言うものが知れてくると言うもの……
いや―――それどころか……
「これが―――注文を受けていた品だ。」
「『黄金の胸当て』『黄金の小手』『黄金の腰鎧』に~~……」
「『黄金の軍靴』までありますね……」
「すごい……総て黄金で
「しかし……数が少し多いでは?」
「私がこれから“お願い”をすることは、とても君一人だけでは成し遂げることが難しい……君を含めた仲間達の装備一式―――総てを私手ずから揃えさせてもらった。」
「―――私達のも?!」
「けれど―――」
「礼は言わなくていい……その“対価”は、『君達の
「私達に、“死ね”と?」
「そう言っておいた方がいいのかもしれない。 だけど、むざむざと君達の
「お聞きしましょうか―――内容を……」
家伝来の鋼の剣を、黄金の剣へと
その人物―――カルブンクリスは、余分に造った装備はこの
リリアには、ほぼニルヴァーナと似た様式の甲冑一式を与え。(但し材質は“
ホホヅキには、『
ノエルには、敏捷性向上の付与能力が最初から与えられた、膝から下の脚全体を護る『脚装備』
けれどカルブンクリスは、その“対価”としての金額を請求しなかった……請求は、しませんでしたが―――その代わりとして求めたものが『彼女達の
そして、仲間の一人が口にする―――『私達に、“死ね”と?』
それは、間違いではありませんでした。
とは言え、彼女達の
そして、その内容が明らかにされる。
それこそが……『今代の魔王を
「また……なぜ―――?」
「質問を、質問で返すようだけれど―――ならば君達は、現状のこの世界に満足をしているのかな?
満足をしていると言うのならば……なぜ意図していない“略奪行為”や“殺人”などが横行している?『飢えた兄妹達の為に』―――『感情を
だからこそ、是正をしなければならない――だからこそ、
ニル……その鎧の下には、“これ”を着るといい―――『物理攻撃』『魔法攻撃』『精神攻撃』そのいずれにも“耐性”を込めさせた『緋鮮のドレス』―――君のその、情熱的な『
【
―――と……。」
その人物は、自分達の事を
なぜ自分達がこの手を汚し、何の為にと生きてきたかを、知ってくれていた……
際限なくこの手を汚しても得られる結果は少なく、またこの手を汚していくに従い次第に麻痺していく感覚……
自分達の代わりに怒ってくれた……憤慨してくれたことにただ感謝をし、ここに『魔王討伐隊』は結成されたのです。
つづく
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