第46話
「あの“
「ササラ、知っているのか?」
「はい―――この私の身には“天使”の血が流れています……そして、天使の
#46;竜吉公主
その
その、ある『
〖その者、清流を思わせる透明感のある“水色”の髪をし、靜やかなる湖底を思わせる“群青”の眸、その肌は
その神仙の存在を、知ってはいました―――が、その記述はあまりなく、ただ主人公たる【
そしてまた―――『空想』が『現実』に……
しかしながら“戯れ”であった為か、“超”獣は仕留めるまでには至っていませんでした。 それどころか、奇異なる叫び声を上げ……
「ゲッ―――仲間を呼びやがった?」
「このままでは―――」
助けを呼び、自分の危機を伝えた……そして仲間の危機を聞きつけ、駆け付けて来たその数……『四』、たった一体だけでも討伐するのが困難な“超”獣が計5体、これでは水の神仙どころか自分達の身も危うくなってきた……
ここで“退く”か“留まる”かを選択しなければならない―――
だが、“それ”を―――
「“退く”なんて論外だよ……何も出来なくたって、この眼に焼き付ける価値はある!」
何が彼女を、そうまで言わせたのかは判りませんでしたが。
その彼女の
急に自分達を包み込む薄い水の膜の様なもの―――≪
ただ……そのことで―――
「あ、あっ―――竜吉公主様が!?」
「くそっ―――!オレ達はこのまま指を
俄然、“超”獣達からの集中攻撃に曝されてしまった―――
けれど、
この時点でも、まだ“水”の
すると―――
{フ・フ・フ―――心ゆくまま、
『水』を
あらゆる“生けとし生くる者”に、
ただ、『水』を軽んじてしまえば、立ち待ちの内にその“
その時の竜吉公主は、まさに“後者”でありました。
いくら“超”獣にその『水』としての身を削られても、まるで意に介さず―――
それどころか、その水は逆に“超”獣達を包み込んでしまった……
いや―――その表現は、いささかにして生温かった……
違うモノの見方をすれば、その『水』は―――“呑み込んだ”……
すると―――それを
{⦅済まぬ、我が“依り代”よ、代わってくれ―――⦆}
{⦅その声―――ヴァーミリオン? しかし―――なんで……⦆}
けれど、“その人”からの返答はなかった……が、どこか懐かしの“気”に
そして、その呼びかけにより逆巻く焔と共に現出したる
{久方ぶりだな―――ヴァーミリオン……}
「そなたこそ―――竜吉公主。」
{しかし、またなぜ現出をした。 この程度の者共、
「いや―――これは単に私の独断だ、今は
{フ―――……まあ、そう言う事にして遣わそう……}
【
【緋鮮の覇王】の焔の剣閃が舞う反面、【“水”の神仙】竜吉公主の
{
※≪水禍大瀑布≫
一
そう……“生身”よりも硬いとされている、“鋼鉄”であろうとも……
しかも“
こうして神仙の逆鱗に触れし者達は
……が―――
「さすがですな―――良いものを見せてもらった。」
{栓無き事―――だが、この姿を眷属の子らに
「なにを申されているやら、聞いていますぞ―――ベサリウスより……」
{あの者か……あの者は信用ならん、その事はそなたが一番心得ているであろう、ヴァーミリオン。}
「確かに―――あの者の甘言に惑わされ、多くの同胞や護らなければならぬ弱者の多くを傷付けられた、ですがな公主よ―――あやつは今、かつての存在とは違う……今はあのヘレナなのです。」
{(……)判っておる―――}
「それは
{話しを?何のことか……}
「この“超”獣―――そもそもが、そなたらがいなければ這い寄る事はなかった……よもやこの私の盟友が為すべきことを妨げると言うのなら……例え戦友とてこの剣を向けねばなりませんぞ。」
{ほ・ほ・ほ―――戯れなるぞ、ヴァーミリオン……}
「戯れ―――?」
{
そう言うと、まるで周囲に溶け込むが如く、その“水”は存在を薄まらせ、消えて行きました。
とは言えその場には、説明し難い現象に立ち合ってしまった者達ばかり……
だからこそ、事情をよく知っていそうな存在に―――と……
「あ―――あの~ま、またお会いしましたね、ヴァー……」
「ベサリウス―――そこにいるのだろう。」
『はいはい―――そんなおっかない顔をしなくても…』
「これでお前の条件は満たした、早急に引き合わせるのだ。」
『“条件”?ああ~一応は、ねぇ。』
「貴様……これ以上引き伸ばしてなんとする!ぐずぐずしているから“チョロチョロ”と嗅ぎ回る輩が出てくるのだ!」
『まあ―――お待ちなさいよ、あんたが『あの御方』の事を
今回の事の顛末を聞こうとしたシェラザードでしたが、事の一部始終を看過し続けてきた事を知っていたものと見え、ヴァーミリオンは少し強い口調でその者を呼びつけた……すると
つづく
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