第3話
本物の王女が城を出奔し、その後……王女の側仕えをあしらってから数時間経った頃、身代わりとなったシルフィは、ある事に気付かされたのです。
「(そう言えば、あの方の『ラペリング』―――随分とこなれているように見受けられたけれど……それに、あの方王族なのだから
そう……皆誰しもが
それは、ご
しかし、それは―――……
* * * * * * * * * *
エヴァグリム王国の城から、程近くある
その
しかし、しばらくすると―――
「ぷっひゃあ~~もう朝かぁ―――よく寝たぁ~!♪ ん~~やっぱ、落ち葉の
なんとも……アグレッシヴにも程度があったようでして―――なんと、この“元”王女様は、夜の闇へと
そして、そこから近くの水辺で水浴びをし、棲んでいる魚や小動物を獲り、調理をするなどして―――と、中々に
一方その頃―――その
#3;仲 間
「遅いなあ―――シルフィのヤツ……」
「昨日、同じエルフの王族から、ご招待があった―――と、聞かされていましたが……」
「―――に、してもだよ、もう昼前になるぞ?」
「(ふうむ……)彼女の事ですから、時間にルーズになったとは思いたくないのですが……ね。」
『待合い喫茶』と呼ばれている場所で、仲間の一人を待っている、男女一組の冒険者―――
一人は男性で、名を『ヒヒイロカネ』と言い、【赫き衣の剣士】と呼ばれていました。 そしてもう一人は女性で、名を『クシナダ』と言い、【鬼道巫女】と呼ばれていました。
そして、この二人は―――『ヒト族』……
ヒト族は、この
けれども、中にはこの二人の様に突出して能力が高い者達も現れるなど、他の種族と比べても“特別変異率”が高く、事実“彼”と“彼女”が所属する『クラン』は、数ある冒険者達のクランの中でも
そして……シルフィは、そんな彼らの一員――― けれど“今”、彼女と言えば―――
そんな事とは露知らず、目的地に着いたシェラザードは気が向くまま足が向くまま、
「(あ―――あれ? あの後ろ姿……シルフィじゃねえか―――なんだ?あいつ……オレ達との約束守らなかったばかりか……)」
仲間であるはずの自分達の事など、まるで眼中にない―――とでも言いたげに、近くを通り過ぎていくクランの
だから男性剣士は―――
「おい―――ちょっと待てよ!」
「(は?)……誰だ?お前―――」
「(は?)何言ってんだよ―――オレだよオレ!」
「オレオレ詐欺かあ?
「なっ……何言ってんだよ!オレだよオレ!! お前と一緒のクランに所属してるヒヒイロカネだって!」
「(お??)おお~~~そういやそうだった―――カナ?! いや~~っはっはは―――ちょっと軽く記憶がフッ飛んじゃってさあ~~。」
「だっ―――大丈夫か? そういやお前……昨日エルフの王族に呼ばれた―――って……もしかしてその帰りに?」
「(……)う―――うん……まあ、そんなとこ……(いきなり
ふぅ~ん……これが“仲間”―――ってヤツなんだ……イイもんね―――悪くないわ。 そ・れ・に、この“彼”……よく見ればイイ男じゃなぁい?♪)」
男性剣士にしてみれば、いつもとは違う仲間の有り様に対し、優しく接した―――つもりでした。
しかしそう……これは結果論でしかないのですが、今ヒヒイロカネが話しかけた女性エルフは『全くの別人』――― その全くの別人が一人の男性に対し、次第に頬を
「ちょっとあなた―――!? 私のヒヒイロ様に何を色目使ってんの!?」
「は? 何言ってんだクシナダ……こいつ、シルフィ……」
「ヒヒイロ様は黙ってて―――ねえ……あなた、どう言うつもりなの?」
「そう言うあんたは誰―――? それに『私の』?ふぅぅ~~ん……つ・ま・り、このイケてる男性―――って、あんたの『所有物』なわけぇ?」(ニヤニヤ)
「なっ―――なんてふしだらなことを~ヒ……ヒヒイロ様は、“モノ”ではありませんっ―――!」
「へっえぇ~~―――なるほどナルホド……じゃ、つまり―――このイケてる男性……まだあんたの『
その変わり様をいち早く
ただ、哀しきは、『自覚がない』……
あるとすれば、いきなり現れた女性エルフに、想い人を寝取られる危機を抱いている、だけ…………
しかも―――
「ちょっ……ちょっと待て、お前ら~~!だ……だだっ……大体、お前ら、仲間同士で争い合って、どう言うつもりなんだあ~??」
「ヒィ君……けど―――けどね?」
「それにクシナダ―――お前、シルフィとはあんなに仲良かったじゃないか! なのに……なんで……」
「待って?待ってよ―――ヒィ君……そいつ、シルフィじゃないわよ?」
「は? いやだって―――シルフィじゃ…………そうなの?」
「はァ~~ヤレヤレ―――確かにそうダヨ。 私は、あんたたちのお仲間であるシルフィじゃない、私の名は、シェラザード―――よ。」
「(シェラザード……?!)その名前……エルフの王国である、エヴァグリムの王女様のお名前と同じ―――」
「ふぅ~ん―――中々いい勘してる……て、言ってあげたいところだけど、
自分達が仲間だと思っていた女性エルフ―――しかし、本来の仲間であり、深い
つづく
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