第2話
これまでは―――
その彼女が、初めて自分の“慾”の為に動いた―――
そのことにより、『決してこのような行動には至らないだろう』―――と、思っていたから、出し抜かれてしまったのです。
そして、“お望みのモノ”が手に入ったかと言う様に、早急に閉会されてしまう『晩餐会』。 そこには、
「(は……ぁ…………す、すごい―――なんて豪華なお部屋……。
けど―――どうして……どうして私だけが?)」
少しばかりこの『シルフィ』についてお話しをしておきましょう―――
彼女は言うまでもなく、一般庶民のエルフでした。 そして職業は『冒険者』……普段は仲間たちとPTを組み、『ギルド』と言う組織から提供される『
そして、そんな彼女の『
「(……)ふぅ~~~ん―――イイわねぇ……益々気に入ったわ。」
「(えっ?)あ……あのぅ~~―――そう言えば、先程もそのようなことを…… こんな私の、どこが『イイ』と仰るのでしょう?」
「(……)私ね―――幼い頃から本を読んできたの。」
「(は?)は……あ―――」
「その
「(!)古代の『英雄譚』とされている……あの?!」
『緋鮮の覇王』と
『清廉の騎士』『神威』『韋駄天』と言う多くの仲間たちと力を
ただし……これが、
「けど……あなたも感じているんでしょう? 決してこの
「(!)はい―――確か……作中に出て来る『美麗の森の民』―――って……」
「そう……
脚色されている部分も多様にしてある―――とは言いつつも、ほんの少しばかり“真実”が盛り込まれている。 創作話でありながらも、
が――――――………………
#2;もうイヤな予感しかしないんですけれど
この時シルフィは、不運ながらも
現在―――自分が、
「あ……あの……お? お―――王女……様?」
「―――てワケでぇ♪ 私の身代わりになってぇ?♪」
「(ですよねえ~~~?? い……いや、と言うか……どうしてこの人、こんな無茶ブリをぉ??)」
こんなことになるならば、あの時に声を掛けられた時点で気付き、お断りをすれば良かった―――とは、結果論であるにしろ、“のこのこ”と
「ま……王女―――つったって、黙って淑やかにしてさえいれば怪しまれないから。 その辺は、この計画練り始めた10年も以上前から
……などとまあ―――この王女様ときたら、あの晩餐会での立ち居振る舞いや、
ですがしかし―――……
「ぃようし―――出っ来上っがりぃ~♪」
「(あ……っ……)これ―――が、私……」
『身代わり』『替え玉』の仕上がり―――とでも言う様に、一人の庶民だった者の前に置かれた姿見には、どこからどう見ても―――の、『王女様』がそこにはいました。
そして、かつては王女だった者は、まるで以前の
「王女―――様……?」
「ダァ~メ!『今』からあなたが、王女様よ―――そこんとこは間違わないでねっ☆ それに、周りにも気付かれちゃダメよ―――」
「ですよねえ~~??だったらどうして―――」
「悪いけど、“今”その事は話すべきじゃないと思ってる―――ま、その内機会があれば話してあげるけれどね。 それに、私はさ……見てきたいんだ―――『自由』に、『世界』を……」
「(えっ?)自由―――に、世界を?」
「
王女は、ただ―――自分の我が儘により行動に移ったわけではありませんでした。
そしてやはり、“きっかけ”となった
それも、幾度となく―――幾度となく―――繰り返し行ったことで、見えてきた
思えば『そこから』……そこから王女の計画は練り上げられ―――
そして、今―――――――――
「あ―――あのっ、王女様……?!」
「悪いけど、お喋りしてる時間ないし―――私は
そう言うなり、
* * * * * * * * * *
すると……数分も経たない内に―――
「失礼します―――シェラ様……」
「(あ……)はい―――」
「(うん?)―――……。」
「(―――)どうしたの、セシル……」
「いえ、なんでも……それよりどうして窓を―――?」
「部屋の空気の入れ替えよ。 それとも―――そんな事も出来ないの?」
「そういうわけでは……失礼いたしました―――」
王女の側仕えが部屋から去った瞬間―――汗が噴き出てきた……『冷汗』『脂汗』、あの時の自分の一挙手一投足を疑いの眼差しで見られた時、すぐにバレた―――と、思いましたが……ふとしたことで知れてしまった、本物の王女様の想いに、身代わりとなった王女は
けれど、そうしたことは、『
つづく
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