エルフの「王女様」だって、英雄に憧憬れてもイイじゃない!
はじかみ
第1話
―――ある
その王国には、数多くの民と、当然のことながら、その民達を治め、保護する『王族』も存在しえました。
この“お話し”は、そんな王国……『エヴァグリム』での出来事が発端となるのです。
#1;自由への
エヴァグリムと言う王国を統治する王族が住む『城』―――
そこには当然、統治者である『国王陛下』や『臣下』『騎士』『兵士』などが詰め、その中には、国王陛下の“娘”である『姫』―――或いは『王女』も住んでいました。
そして、この―――エヴァグリムは、“魔族”の一種族である『エルフ』という、単一の種族で構成をしていました。
それに、この“お話し”での『エルフ』と言う種族の位置づけは……他の“魔族”―――『
それは少なからず、同じく“魔族”には『竜族』『天使族』『神仙族』などもおり、そちらに対しては腰が低かったのですから、そう思われても致し方のなかったようです。
さて、幾分か本題からは逸れましたが、実は……この『エルフの王女様』が、ここ数年来なにやら
「(はあ~~あ……退屈―――だなあ……私も今年で172歳になっちゃたけど、生まれてこの方『城から一歩も出ちゃダメ~~』って……)つぅ~~まんないなぁ~~―――なんで私、『王女』なんかに生まれちゃったんだろ。」
彼女の思考に独り言……それは、
食事
ただ―――
「王女様……今―――なんと?」
「(うえ゛っ?!)セセセ……『セシル』―――?! いっ……いつの間に―――てか、私の独り言……どこから聞いてたの……?」
「『つまんないなあ~なんで私、王女なんかに生まれちゃったんだろう』……と」「(最初っから―――カヨ……)」
「『シェラザード』様、お言葉ではございますが……」
そう―――つまり王女の部屋には、『もう一人』いたのです。
それが……王女の“側仕え”―――である、セシルと呼ばれた男性エルフ……
{※ここで一つ―――こうした『ファンタジー物』の物語などでよく出てくる『エルフ』という“種族”に関して……その
そして……この『エルフの王女様』の名前こそが―――『シェラザード』と言いました。
それに、なんとも間の悪いことに、シェラザード王女の独り言は、全て聞かれていた……
「(うわっちやあ~~なんつータイミングだよ……まさか―――とは思いたいけど、私の“計画”……バレちゃいないわよ……ねぇ?)」
側仕えからの説教の最中シェラザードは
「はあぁぁ~~~―――(!んっぐ……っ! たまったもんじゃないわよねぇ~~独り言も言えないなんて、こんなキュ~クツな生活、真っ平ダヨ!)」
『壁に耳あり、障子に目あり』―――とは、よく申したもので、厳しい目付け役がいなくなった途端の、大きなため息一つを取っても油断がならない…… つまり、シェラザード王女のあの独り言には、彼女なりの憂鬱が盛り込まれていたのです。
そして、ここで少なからず見えてきた、王女シェラザードの“
だからこその人選は、慎重……かつ秘密裡に行われていたのです。
* * * * * * * * * *
そして―――この『計画』を立てて
それは、王女の発案により、国中の
その事に関し、国の官の
まだこの時点では、王女の父である国王陛下も、彼女が
それにまた、王女の側仕えも―――……
ただ―――……
「(国家の財政は
王女がこの世に生を受けてより172年間―――彼女の面倒を見続けてきた“側仕え”セシル……だから、王女の一挙手一投足の判別には自信を持っていた。 それに王女は、自分の利益の為だけに動きはしないことも、知っていた……
だからこそ―――……
「(だが―――おかしい……判らない。 この私の眼をもってしても……シェラ様―――あなたのお望みとは、一体……?)」
王女の
{※ちなみに……ではあるが、本来の『白羽の矢』とは、神に捧げる為に“
では―――その
「こんばんは―――」
「あ、はい! こんばんは……(……って―――)お……王女様?!」
「あなた……いいわね―――」
「(え……)は―――はあ……な、なにがいいのでしょうか……?」
「『全部』。 ウフフフ―――あとで、私の部屋にいらっしゃい……」
見つけた―――今回の私の計画に『必要な子』……少しばかり派手にしちゃったけれど、まあいいわ。 これで私は……ウフフ・フ・フ――
突如として―――王国の王女様に声を掛けられた女性のエルフ……名を、『シルフィ』と言いました。
しかも、この女性エルフは、どことなくシェラザード王女によく似ていた……
{※―――とは言え、エルフの容姿は個体差はある……と言うものの、誰しもがほぼ似通っていた為、“他”からは判別がつきにくかった模様。 しかもこの“実例”が、この後すぐに明らかとなってくるのです。}
そう―――もうここでお分かりになっただろうか。 シェラザードの
つづく
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