第9話 ヘアパック戦争!?①

エリザ様に渡したヘアパックは当たり前だが、大好評で、遠慮がちな問い合わせは多々あったが特に害のないものだったのでしばらくしたら発売予定のヘアパックで楽しみにしていてくださいと伝えると、親にさっそくおねだりしてみると嬉しそうにお礼を言って去っていくのでお得意様に感謝しつつ今日は外出許可を取ってエリザ様の御屋敷にお邪魔する予定になっている。


発売前だが、追加のヘアパックを頼まれたので交換条件として王宮に出入りしている御用達商人の紹介をしてもらえるようにお願いしたのだ。


もちろん我が家のヘアケア商品などを買い付けに来てはいるがなかなか王宮に出入りする商会主とのコネはない。

今後のことを考えて、このヘアパックを王宮に献上したいのだがなんせツテが無いからこうやって紹介をしてもらい献上するのを手伝ってもらおうかなと思っているのだが、上手くいくといいな…


「ねぇ、エリー?」

学校が終わりエリザ様のお迎えの馬車に揺られているのだが、

「アン?なぁに?」

何故か広々している馬車なのにピッタリ隣にくっついて座っているエリザ様がいた。

「なぁに?じゃなくてなんでそんなにくっついているの?」

正直、前世でも仲良くしている子なんておらずこんな距離が近いのは慣れない、しかも美少女!


「何か問題かしら?細かい事は気にしないで、そろそろ我が家の敷地よ。」

王都の貴族街特に王宮に近い場所にエリザ様の御屋敷はあった。

まぁ公爵家だから超一等地しかも広いのは当然なんだろうけどとにかく凄い。

語彙力が無いのが残念だけど、中世ヨーロッパのおステキお屋敷!って感じだと思って欲しい。


「さぁ、アン!我が家にようこそ!」嬉しそうにエリザ様が手を引いて中に案内してくれる。

出迎えてくれた使用人の方々は超一流!前世での高級ホテルマン?のように無駄が一切なくそこに居るのに、存在感を感じさせないなんと言うかとにかくプロ!


エリザ様のお部屋に直行するはずが、何故か応接間で、公爵さまとご対面している。


「初めまして、アンシャンテ・ウェルズ嬢、お噂はかねがね聞いているよ。」エリザ様によく似ているダンディーなおじ様!

「公爵閣下にあまり良い噂が入っていないかと思いますが、ありのままの私を判断していただければ光栄ですわ。」

娘の友達としては男爵令嬢では役不足なのは百も承知!それでも仲良くしてくれているエリザ様、いえエリーのためにも公爵閣下の審査はクリアしたいところ。


「あはは、随分とキモの座った令嬢だ!噂通りウェルズ家の商売は君が取り仕切っているようだね。」

まぁ、普通10歳にもならない子供がってのはあるよね…

大抵の大人は信じていないが噂としては私がウェルズ家の商売の鍵を握っているとはささやかれてはいる。


「お褒めいただき感謝致しますわ。この度はエリザ様様のご招待に厚かましくお願いごと付きでお邪魔させていただきました。」

正直この公爵様とタヌキとキツネの化かし合いをするには私には経験がどうしても足りないのは明白なので、あえてハッキリ開き直ってみる。


「おっと、随分とまぁ。まぁいいよ、この前エリーから聞いたヘアパックはウチの女性陣の虜にしているようだしお互い仲良くしていて損は無いと思うよ?」

ちょっと意外そうな顔をされたがとりあえずは受け入れて貰えたようだ。


「公爵閣下にそう言って貰えるだけでとても光栄ですわ。是非今後とも仲良くさせて下さいませ。」

個人的にもエリーは好きだし普通に友達として仲良くしていきたいのでやはりこの時代親に認めてもらうって言うのは大事だったりする。


「それで、そのヘアパックを王宮に献上したいから御用達商人のとコネが欲しいと聞いたけどもっといい方法があると言ったらどうするかい?」

うーん、コレはどういう意図なのかさっぱりだ。

私としては王宮御用達商人とやり合うつもりは無いので献上はするけど現状下ろしているヘアケア商品などは今後も御用達商人からの販売であって欲しいのだ。

それよりもいい方法がその場だけの話なのか今後も見越してなのか次第になる。


「まずは、その方法と言うのを是非教えて頂けますか?」

「うん?簡単だよ!私と一緒に王宮に行って献上する場を設けてあげようってだけさ。」


うん、確かに簡単かもしれない。

でも、目先の話に囚われては行けないのは商売の基本だと思う。


「公爵閣下のご好意は大変嬉しいのですが、現状王家に出入りしている商会の方を無視してしまうのは少々よろしくないとおもうのです。」

素直に思った事を伝えてみると。


「ぶっ、くっく」

公爵さまは急に笑いだした。


「アンシャンテ嬢るほんとにエリーと同じ歳かい?その歳でそこまで考えられるとはさすがだ!君の望み通りに、御用達商人を紹介しよう。セドリック!アンシャンテ嬢をロドリゲスに紹介して差しあげてくれ。」

部屋の隅で静かに控えていた執事らしきおじ様が私の前に来て、

「公爵家執事のセドリックと申します。コレよりロドリゲス・マルコス殿をご紹介致しますのでコチラにお越しくださいませ。」

丁寧に対応して下さった。


「よろしくお願い致しますね、セドリックさん。公爵閣下も貴重なお時間をありがとうございました。よろしければコチラをお近づきの印に。」

そう言って持っていたカバンから2つヘアパックと男性用の化粧水を1つ出してセドリックさんに渡す。

「コレはこれは!ヘアパックともう1つは何かな?」

公爵様に男性用化粧水の説明をすると

「なるほど、ぜひ試してみるとしよう。」

この国では髭面はあまり流行っていないようでみんな剃っているのだが、どうしてもカサついてる人が多い気がして実は気になっていたのだが、男性が化粧水をつける習慣無くそういうものだと思っているようだったのでためにし作ってみたらパパは既に愛用しているくらい気に入って貰えたようなので、現在コレも製品化を進めている。



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長くなってしまったので1度切ります。

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