魔王「勇者よ!決戦の時が来た!」

ジント

短編

 魔族領の魔王城、謁見の間…今日、魔族学園の夏休み最終日、朝7時


 魔王は勇者との決戦の為早起きをして身支度を終えていた。


 魔王「勇者よ忌まわしき戦いの歴史に終止符を打とうではないか!」

 声を荒らげ声高々に宣言した。


宰相「魔王様、まだ勇者は来ていませんよ?」

 あきれ顔しながらも事実を言った。


魔王「知っておる!今のは勇者が目の前に来た時に戦いの狼煙の合図みたいなものを練習しただけだ!」

 鼻を【フン】と鳴らし意気揚々と言った。


宰相「そのような練習必要でしょうか?」

 やれやれと頭を左右に振りながら『これ、練習必要か?』と思いながら言う。


魔王「必要だとも!いざという時に噛んでしまってはカッコ付かないじゃないか!」

 宰相を睨みながら言う。


宰相「…さようですね、時間も早いようですので朝食でもいかがですか?」

 睨まれたので話題を変えるべく朝食をすすめた。


魔王「うむ、もらおうではないか」

 お腹がすいたのか賛同し朝食を食べた。


昼前午前11時30分


魔王「勇者の奴遅いの!まさか約束を忘れたわけではあるまいな?」

 魔王は疑問に思いつつ宰相に問う。


宰相「おかしいですね?そろそろ決戦の地である魔王城に来てもおかしくないのですが…赤鬼将軍が【うちの生徒に怪我をさせるわけにはいかん】と張り切ってましたからね、そのせいで遅れているのかもしれません…仕方ないですね、誰かに様子を見に行かせましょう。」

 兵士の1人に様子を見に行くように言った。


宰相「魔王様、もうしばらく時間がかかりそうなので昼食にいたしませんか?」

 時間もあるようだし少し早いがお昼をすすめた。


魔王「…勇者の奴まさか赤鬼先生に負けてないだろうな?派手に被害が出ないと明日からの学校が…」と聞こえないぐらいの音量でぶつぶつ言いながら「少し早いがもらうか?」と慌てて言った。


午後1時30分…昼食後


宰相「ところで魔王様、先ほど昼食前に何かぶつぶつ言っておられましたが何か心配事でも?」

 昼食前に聞こえないぐらいの音量の言葉が気になった。


魔王「!!何もないぞ!!」

 慌てて声を荒らげながら言う。


宰相「!そうですか・・・」

 ビクとしながら『何かあるな』と思いつつそのままにした。


午後2時30分


 バン!と謁見の間の扉は開た、そこにはさっき様子を見に行かせた兵士が立っていた。


兵士「ハァハァ…魔王様大変です!!勇者が!!」

 慌てて走ってきたのか息を切らしながらしゃべる。


魔王「ようやく来たのか!!待ちわびたぞ!!それで今どこにいる!!」

 待ちわびた魔王が兵士に問う。


兵士「それが・・・」

 困惑した顔をした。


魔王「どうしたのじゃ!はよ申せ!」

 兵士を急かす。『まさか赤鬼先生に負けたのではないか?』と思いつつ問う。


兵士「は!!勇者ですが…昨日から、連合軍の牢屋に捕まっております!」


魔王・宰相「はあ?」

 2人共にびっくりした。


魔王「ど、ど、ど、どうゆうことじゃ!!」

 魔王がめちゃめちゃあわってて問う。


兵士「勇者パーティーに魔術師が居たのでありますが、その魔術師は勇者から酷い扱いを受け、普段はポーターとして、戦闘時は盾にされながらも頑張っていたのでありますが、半月前にダンジョン中のボスの部屋でボスとの戦闘中に置き去りにされまして…そこで真の力に目覚めたらしく命からがらボスを倒した後、勇者を告発するべく、裏で勇者の今までの悪行の証拠を集め一昨日連合軍に告発し、昨日魔術師が用意した能力を封じる呪いを施された牢屋に勇者を捕まえた、とのことです。」


魔王「な!・・・では誰が勇者の代わりになったのか!?」


兵士「それが・・・連合軍としては魔術師を勇者に祀り上げたかったらしいのですが・・・魔術師が嫌がり、田舎で同じパーティーだった婚約者の回復術師とスローライフすると言い連合軍から離脱、連合軍も勇者がいなくなったので解散するとのことです」


魔王「なんだと!!それではしゅく・・・」

 魔王は慌てて両手で口をふさいだ。


宰相「しゅく?…もしかして夏休みの宿題…?」

 まさかと思いながら魔王を睨む


魔王「ち、ち、ち、違うぞ!!夏休みの宿題を一切してないから勇者に決戦を持ち掛けうやむやにしようとしたのではないぞ!!」

 めちゃめちゃ顔を青くしながら焦って言う。


「それはどうゆうことですか?」

 突然声がしたので2人がそちらに向くと、謁見の間の扉が開いたままだったのでそこから赤鬼将軍が入ってきた。


魔王「赤鬼先生!」

宰相「赤鬼将軍ご無事で!」

 魔王はさらに顔を青くし、宰相は無傷の赤鬼将軍をねぎらう。

赤鬼「魔王君!今日の決戦、宿題したくいといって仕組みましたね?」

 ただでさえ赤い顔がさらに赤くなっていた。


魔王「ち、ち、ちが・・・」

 ガタと音を立てながら魔王の椅子から立ち上がり、逃げるそぶりをみせた。


赤鬼「逃げるな!!《拘束》」

 拘束のスキルを発動し魔王の動きを止めた。


赤鬼「魔王君!いつもいつも君は!魔力だけは世界一なのに全く勉強せず学園ではいつも最下位!少しは先代のように文武両道を極めるお積りは無いのですか!?」

 魔王に近ずきながら問う。


魔王「いくら文武両道を極めても親父のように病気でコロっと行ったら意味ないじゃないか!」

 拘束されながら声を荒らげた。


赤鬼「嘆かわしい・・・その心、叩き直してやる!]

 魔王の首根っこを捕まえ魔王の椅子の座るとこにうつ伏せた状態にし、背中に背負っていた金棒を利き手の右手でもった。

 魔王は魔王の椅子にうつ伏せ状態にされたのでお尻を突き出すような姿勢のまま拘束中。


魔王「せ、せ、せ、先生許して~」

 何をこれからされるのか分かったのか、必死に謝る。


赤鬼「いくら誤っても遅すぎます!」

 金棒を振り上げ魔王のお尻目掛け振り下ろす。いわゆるケツバットだ!


バチコン~

魔王「ギヤーーーーーーーーーーーー」


宰相「あ、あ、赤鬼将軍、せ、せ、せ、せめて木のバットにしませんか?」

 あっけにとられた宰相が復帰し、せめて木のバットにと言った。


赤鬼「いえ!いつも木のバットで叩いてますが全く効き目がない上に、魔王軍全体に迷惑を掛けましたからね!」

 と言いつつまたお尻を叩く。

バチコン~


魔王「フギャーーーーーーーーーーーーーー」


何回か叩いたのち魔王が気絶した、が赤鬼将軍は叩くのをやめなかった。

(-_-)/~~~ピシー!ピシー!


宰相「・・・・はぁ~こんな魔王に忠義を捧げるのもな~・・・この年で再就職あるかな~・・・」

 嘆きながら再就職先を探す決心をしたのであった。


こうして平和な1日が過ぎていくのだった・・・宰相ドンマイ!


━━


 初の投稿になります。


 面白いよ! って思っていただけましたら幸いです。


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