番外編 秘密の手紙
瑠凛学園。
そこは貴族の生徒が通う学び舎。
世界トップレベルに投資された教育機関。
至る箇所に豊潤にド派手にと豪華に金を掛けに掛けて掛けまくった広大な敷地と校舎が都内中枢で派手に目立つ大規模な学園。そこを行き交う人波には高級な生地をあしらえた制服を着た男女の生徒達が煌びやかに賑わっていた。
この学園に通うどの生徒も家が大企業、名家の子であり、将来の日本はたまた世界を担っている約束された『貴族の子供』。
貴族の子の為に存在するのが――ここ瑠凛学園。
俺――風時修司は身分を偽って潜入している諜報員(スパイ)として現在、ここ瑠凛の生徒として通う日々を送っている。いち学生でいながら裏で暗躍すると同時に、他で暗躍している存在と相まみえる事も。
そんな日常……いや、俺にとっては非日常な世界、もとい一日の出来事。
ことの始まりは朝のホームルーム前だった――……。
普段通り登校し、自分の通うクラス1-A教室に入って席についた。
俺はここ瑠凛ではスパイ活動の一つでもある―秘密の鍵を握っているとされる『生徒会』の役員のいち会計として仕事を取り組んでいた。
金持ちの学園だけに頭が痛くなるほどの莫大な金額の予算管理を平然と託されて、入学したばかりの生徒にこんな大金を任せていいのか?と心配してまう面もあるが、それだけミスは許されなく生徒会会計として信頼を得る為にしっかりと仕事をこなしていた。
学園で連日生徒からの予算の要望・要求が絶え間なく舞い込む。
昨日は映画制作部から予算の追加申請があった。
なんでも自主製作映画の予算が足りないと生徒会への抗議として俺が対応したわけだが……、
(なんで学生の自主製作映画で本物の映画並の予算が要求されるんだ! しかも額が額だけにハリウッド映画レベルとかどうにかしている!?)
あげくにロケ地の撮影費用を出してくれだとか、役者もテレビに出ている有名俳優女優を起用するからギャラを負担しろって、あまりにも滅茶苦茶過ぎる!!
(まさかこんなことでわざわざ機関が用意してくれた会社に頼むことになるとは……)
前者の役者問題は他の文科系部活動との連携を提案した。
演劇部、宝塚部、ミュージカル部、路上演劇、時代劇部、アニメ舞台部……etc
と演劇部だけに留まらずに一体いくつあるんだと多種多様な文科系部活動が存在していたので連携を取れるのではないかと回って交渉をしたことで、各部は演技を磨くというメリットでキャストとして映画部に協力して共同制作ということにして映画の役者は補充された。
後者のロケ問題に関しては仕方なく俺が瑠凛学園に潜入する為の家柄として身を置いている――機関に協力してる実在の大手IT企業『アライズ』に頼んだ。
そのツテで映画映像会社と交渉が出来て、背景CGで落とし込むようにと無理矢理納得させた。
……CGだけでもかなり
とりあえず、これでなんとか学園側から提供出来る予算の範囲内で収まった。
後は自費でなんとかしろで解決した。
……といった具合にほぼ毎日と生徒会での仕事が絶えない。
委員会、部活動、行事といったイベントの数が多いだけ問題が生まれてくる。
……だが! 生徒会の仕事だけならいい!
それだけだったら、どれだけ楽なことなのか……。
(クソッ……! ただでさえ忙しいのに、その上あの3人の相手もしなくちゃいけないし……)
生徒会での一仕事が片付いたと思いきや……。
『そうだ! どうせだったら生徒会みんなで予算検証の為にロケ地に――海外に旅行してみない? たまには皆と外へ旅行して親交を深めてみましょう! 修司くん、もちろんパスポートは持っているよね?』
『どうせならハリウッドにしない? ユニバーサルスタジオもあるし。なんといってもスター記念式典で将来はワタシの
『いいわねぇ~。たまに3人で旅行することはあるけど、修司さんと一緒に旅行してないものねぇ。……はりうっど、だと着物は浮かないかしら?』
『……ジャパニーズゲイシャって思われるならいいじゃない? でも外国人を相手にする場合だったら……確かラシャメンって言うんだっけ?』
『あらあら……! フフッ。レイナったら』
『レイナ! それは合っているようで合っていないけど……フフ、どこでそんなことを……でも爛れた会話は歓迎するわ』
『エッ!? チョット!? ヒトミもカナデもなんで笑ってるの!? シュージ! ナニがおかしかったのか教えてよ! ラシャメン!』
と、生徒会のあの3人が毎度のことながら突拍子もないことを言い出した時には頭を抱えた。
しかも「なら今週末にどう?」と早速行く気満々で尋ねられても、予定があるので断った。3人は残念だと肩を分かりやすいぐらいにガックリ落としていたが……「それなら夏休みの時にでも!」と3人であーだこーだとこそこそ往生際の悪い計画予定の会議を立てている始末だ。
これでは本来の任務であるこの学園の実態……それも生徒会についても調べ上げる余裕が全然ない。しかもなぜか機関の上司の喫茶店で強制的(脅されて)バイトされる羽目になるし……。
(今夜はリリスが家に来るし、たまには俺が料理でも振る舞ってやるか……)
机の上で胸中どこにも吐き出せない心労を並べて、どうにか発散する方法でもと考えていた時だった。
「……ん? なんだこれ――?」
授業で必要なのを取り出そうと鞄の中身から、はらりと机の上に舞い落ちてきたのは見慣れない正方形で逆三角形に封された……つまり――
手紙?
それも手に取ってよーく見てみると、見た目や手触りから紙質の良い手紙だが……
所々に可愛らしいハートの柄が施されている。
これはまるで……
「ほう、ラブレターか」
背中からの声に肩越しに振り返れば、後ろの席に座っているクラスメイトの男が俺の手元を覗き込んで言った。
「なんだよ雅人……」
「後ろの席からだとよく見えて目立つからな。それも見慣れない
動きをしていればなおさら、な」
俺の後ろの席に座るのは、クールに整った顔つきで嘲笑する男子生徒――夏原雅人。
普段は貴族らしく礼儀正しく澄ました態度でいるが、この顔は面白いのを見つけたと言わんばかりの悪どい顔だ。
入学してすぐに後ろの席だからこいつと知り合って、たった数か月だけど何度か接する内に観察するまでもなく、なんとなくこいつの考えていることが察せるようになった。
学園では貴族らしく優雅に振る舞う御曹司の姿とは裏腹にどこか日常に刺激を求めている、そんなクラスメイトで……一応友人である。
「そもそもラブレターとか……まだそうと決まったわけじゃ――」
今度は
なになに……。
『風時修司さんへ
突然のお手紙でごめんなさい。
どうしてもあなたに伝えたいことがあります。
でも、そのことについてこの手紙で伝えることはできません。
直接コンタクトを取って私の口から言いたいので、明日12:00に○○駅前の○○喫茶店でお会いしませんか? お会いしたらぜひデート出来ればと……
お待ちしています。
P.S.
この思いに気づいてくれると嬉しいです』
「………………」
「その反応からすると、どうやら当たりだな」
後ろから、手紙を読んで棒を飲み込んで固まったような俺の背に向かって、したり声で言う。背中越しでも意地の悪い表情を浮かべているのがわかる。
……もう一度よく読んでみても、さきほどの文面が中々可愛らしい文字で綴られているのは間違いない。しかも漫画とかでよくありがちな他の誰かへの入れ間違いのオチだったとかでもなく、バッチリと俺の名前が記されている。
「しかし今時ラブレターにしては現物の手紙とは珍しいもんだな」
「雅人は貰ったことあるのか?」
「そうだな……確か小等部の頃には、その手のはよく貰ったな。スマホを持つようになった中等部からはどこから知ったのか俺のスマホのアドレスに送ってくる子がいたし……そういえば中には家の重要な取引先の子もいたりして、丁重に断りを入れるのが中々面倒でな。最近でも――」
「はいはい……」
こいつ、俺とひよりとか極少数以外の相手には御曹司らしく社交的に接していて、受けが良くて中々モテてるんだよな。
そういえば以前、この学園を調査していた時には上級生の間で今年は有望な一年生が入学していたと話題になっているのを聞いた。男の中からは大物政治家の家の委員長、そして女の中からは雅人の名が挙がっていた。
大手ホテル経営一族の御曹司に成績優秀で尚且つイケメンとくれば、女性陣から注目されるはずだ。
――スパイに負けず劣らずで顔を使い分ける、腹積もりがあって意地の悪い裏の面を知らずにな。
「まあ俺のことはどうでもいい。それで――どうなんだ? 返事はOKか?」
「あのなぁ……」
雅人はこういったことは自分にとってはどうでもよさそうにしているが、今みたいに他人――俺がこういったことになると面白そうに絡むのは厄介なとこだ。声の調子もあからさまに弾んでいる。
「この学園には世間知らずなお嬢様が多いからな。そう考えてみればあえて手紙という形で差し出すのも珍しくないか。お前にも入学早々春が来たもんだ。近頃の修司は生徒会の人間としてだけでなく、様々な方面からも注目されるようになったことだ」
「……大したことしてないつもりだが」
「お前はそう思っても、周りは勝手に評価するんだよ。それが
「……」
「あと手紙先の相手が良い家のお嬢さんだったら紹介してくれ」
「それが狙いだろ」
結局雅人にとって家の利益に繋がれば良いだけの話だ。根っからの貴族体質。
雅人のことはともかく……これは困った。
まさかただ学園の生徒として通っているだけで――こういった物を貰うとは思いもよらなかったわけだし。ひよりから教えてくれる漫画の中の世界だけのイベントだと思っていた。
我ながら予想外の出来事にうまく対処出来ないのは悪いとこだ。
「ちなみに――その手紙を冬里や他の女子陣に見せる気は?」
「見せないに決まってる」
「なんだ、それはつまらん」
俺の即答に呆れた目つきをする雅人はついでに小さく舌打ちする。
おいおい、誰も見てないからって露骨につまらなさそうな顔を向けないでくれ。
そんな姿を見たら女子は幻滅……いや返ってこういう部分も含めて好きになる子がいたりするのか?
「別に最初から見せるつもりはないし……俺だって面倒なことはこれ以上――」
「――なにが、めんどーなんだってぇっ?」
「っ!」
バッと横に首を向けば、俺と雅人の間に立っていたのはクラスメイトの女子――冬里ひより。この学園に通うような名家のお嬢様としては珍しく漫画アニメが大好きで普段ギャルっぽい言動や格好などの仕草をしているのも「今これが流行りだから!」との影響らしい。それも今の時期は制服の衣替え期間で、いち早くシャツの薄着の制服姿だ。スカートの短さもギリギリ注意されそうでされない中々大胆な着こなしで学園内を闊歩している。そのせいか横を通るクラスメイトの男子がチラッとひよりに目が吸い寄せられている所があったりもする。
「お、おはよう。ひより……」
「おはよー。ねー聞いてよぉ。昨日さーウチの会社の企画の見学で打合せ室に行って見たらぁ~チョー有名な女性声優に会っちゃってさー。激マブっていうの? もーオーラが全然違うっていうか? 全然アタシとは住む世界が違い過ぎてぇマジでビビったよね」
「へ……へぇ。……(住む世界違うのはむしろひよりの方じゃあ――)」
「え? なにがぁ?」
「いや……」
と、このようにキャピキャピとした彼女も実は大手玩具メーカーの御令嬢である。 かといって金持ちなのを鼻にかけることはなく、遊びを第一に貴族は二の次のスタイルで悠々と学園生活を順風満帆している。彼女から聞ける話は意外にも面白いとこがあったりと、俺の趣味の幅を広げていたりも。
いつもなら彼女の話に乗っているとこだが……今は――
「ところでシューくん――
それ、なーに?」
――ハッ!?
ふと気づけば俺の手元には案の定手紙が握られたままだった。
いちクラスメイトの男子が似つかわしくない可愛らしいカラーの手紙を手にしていれば疑問に思うのも当然の反応。
……考えろ。下手な言い訳はむしろ怪しまれる。
ここは正直に言うのが吉だ!
「あ、ああ……どうやら俺当ての手紙みたいで……」
「しかも女性かららしいぞ」
「へ?」
横から入った雅人の水差しに、ひよりの口から間の抜けた声が走った。
「……おい」
「具体的には言ってないが?」
悪びれもなく言う雅人。
それを聞いたひよりは目をぱちくりすると、
「え? ぇ? それってつまりラブレターってことぉ?」
ぐっ! やはりそう思ってしまうのか!
どうする!? なんて答える!
「……まだ断定は出来ないが。内容からして……多分そうじゃないかと」
我ながら情けなく歯切れ悪く言う。
それも目の前のひよりは、じっと俺の目の焦点を一切ズレずに覗き込むように合わせてくるからだ。
「ふーん。そっかぁー……シューくんにラブレターかぁ……へぇー」
「……」
――ほんのちょっとだけ妙な沈黙が流れた気がした。
一瞬であったか、はたまた一時間の時が過ぎたような曖昧な時間の感覚だったと言える。
ひよりが、あどけない口を大きく開くと、
「それチョーヤバイんだけど~。シューくんやるじゃーん!」
両目を><にしながら愉快に笑っていた。
軽い反応で拍子抜けしてしまったが、俺も軽く笑いながら返す。
「あ、ああ。俺も驚いてさ。まさか俺にラブレターなんか貰えるとか信じられなくて……」
「あたしも驚いたけどぉ~、そんな隠すことないってぇ。わるいことなんか言わないし正直に言ってOKだから」
「……悪かった。確かに隠すことでもなかったな」
「そーだよぉ!」
「そうだな!」
「「アハハ!」」
ドッとお互い笑い合う。
なんだ、別にひよりに知られても特に問題があるわけでもなかった。
俺はなんで変に隠そうとしたんだ。
なんとなく予感していた面倒なことなんて起きてないじゃないか。
「じゃあ見せて」
………………ん?
「見せてって……何を?」
俺は笑った顔が固定されたままの頬をピクピクと引き攣りながら恐る恐る確認してみる。
ひよりは依然変わらず笑ったままの顔を硬く硬くと固定して、
「だからぁ~見せてってばぁ。その手紙の――中身」
「……」
綺麗に手入れしているやや伸びてる爪を前に、手の平を上にして俺の前に差し出……突き刺してきた。
――今すぐその手紙を私に差し出せ、と。
心なしかズズズと迫力のある笑顔で詰め寄ってくる。
「ま、雅人……」
助けを求めるように後ろの席を見たが、雅人はもう見知らぬ他人といったばかりの態度で読書にふけている。こいつ……!
「……もう! みーせーてーよー!」
「!」
痺れを切らしたのか強硬手段で手紙を取ろうとしてくる。すぐに反応した俺はひよりの細い手首を掴んで止めた。
グググ!とひよりの力は非体育会系な女子らしくひ弱いものの、こっちは反撃するわけにもいかないので防戦の一方となる。
「なんで見たがるんだ!」
「気になるもんは気になんのぉ!」
このまま俺を押し倒すつもりか、女性特有の柔らかい体が前のめりと接近……密着してくる。
ふわりと朝にシャンプーでもしてきたのか、軽い化粧品などの香りもしてくる。
この状況には教室にいる他のクラスメイトからの注目を浴びせざるを得なく、
男子からはまーたあの二人かと調子よく笑って、女子からは、まあ!とひよりの貴族らしくないお淑やかとは反対の大胆な行動に驚いている。
このままだとぐんずほぐれつして周囲の反応がより過激になるところだ!
「――こらこら二人とも、もうホームルーム始まりますよ。相変わらず仲が良いのは結構ですが、イチャつくならば先生の見えないとこでこっそりしてください」
横から俺とひよりに軽く一喝してきた声に気づくと、何時の間にか教室に入っていた担任の工藤吉鷹先生が呆れと穏やかな感情が混ざった眼差しで俺とひよりに向けられた。しかし注意されても、ひよりが先生に顔を向けながら体の方は離れようとしない。
「どこをどう見たらいちゃついているように見えるんだ!?」
「あれ? センセー今日は早いねー」
教壇上にある時計を見れば、時刻は確かにホームルームが始まろうとしていた。
いつも時間が過ぎてダラダラと遅れてくるくせに今日は時間より早く来るとは。
ひよりの疑問に、先生はばつが悪そうにする。
「いつもいつも遅れてくるわけではないですが……。まあ今日はさっき職員室でこっそり寝ていた時に、いつの間に他の先生に腕時計が10分程早く弄られてしまったせいで……教室に来る直前の廊下で気づいたんですけどね。まったく不覚でしたよ。あはは」
「あー……そーなんだ」
貴族の学園に似つかわしくない不格好にスーツを着たり、隙あらばサボろうとするいい加減な駄目教師にはクラス全員、なぜこの学園に勤めているのかと謎の一つだ。
それも周りの教員からにも信頼の無さの工藤先生には、さすがのひよりも半目で呆れる。
同時に彼女が俺を押し倒そうとしてきた力が弱まってきている。
よし! これなら振りほどけ――
「先生のことはとりあえず――いったい何がありました?」
「センセー! シューくんがラブレター持ってまーす!」
「って、なに言い出すんだ!?」
すかさず幼児みたいに教師にチクるひより。
先生は俺の手元の手紙に気づいて興味津々の目つきになると。
「おお、ラブレターですか! 今の時代でもこういったことがあるのはまさに青春らしいですね。なんだか感動しますよ……どれどれ」
「って、なに勝手に読むんだ!?」
何故かしみじみと物思いにふけながら生徒の私物?を勝手に手に取って中身を覗くとか、本当にこの人教師なのか!?
「ほぉ……これはまた」
先生は手紙を読みながらおやっ、と小さく眉をしかめながら反応した。
その際一瞬だけクスッと笑ったように見えた。
……ような気がした。
「いやあ、中々面白い物を見れました。お返ししますね」
満足げに読んだ手紙を俺の手へと戻す。
おい、ひより。渡す最中にすかさず横から奪い取ろうとするな。
「そりゃあ先生からしたら面白いとは思うけど……」
「おっと?」
俺の呆れた返しに先生は妙な反応すると、またクスッと俺が考えているのとは違ったような意味合いを含んだ微笑を見せる。
「でも――あまりこのことは他の人に吹聴……知られないよう気をつけてくださいね」
「はぁ……分かってます」
言われるまでもなく、もとよりそうするつもりだ。
先生は俺の返事にうんうんと頷いてから、教室前方の教壇へ戻ろうと踵を返した。
「ではホームルームを始めますよ。ほらほら、冬里さんもいつまでもじゃれあってないで自分の席に座ってください」
先生に注意されたひよりは仕方なくと俺から手を放してくれた。
渋々とした足取りで俺の隣の席へ戻りながら――
「むむむ。これは……――イナセンパイにも相談しとくべきか」
む~っとなにやら唸ってブツブツ言いながら座って、横から俺に恨めしい視線を送りつけてくる。
まさか今日一日授業中でも、ずっとそうしてるわけじゃないよな?
「えー、今日の授業は……」
出席を取った先生は黒板に書かれている本日このクラスの授業を確認する。
一時限目 数学
二時限目 社会
……etc
と続いて昼休み後の授業には定期的に行われるクラス内で、とあるテーマを取り上げて議論するディベート・ディスカッションがあった。
ふと、ふむと逡巡した工藤先生はチョークを取り出して黒板に付け足すように書き込んだ。
『ラブレター』
クラス一同ざわめき、俺は目を大きく剥いて、
「では今日の議題はラブレターは手紙か電子メールどちらがいいのか皆から意見を聞きましょうか」
「先生!?」
もちろんそのテーマは断固却下した。
――――昼休み。
「か、風時くん! あ……朝のラ、ラブレターって……いったい。た、確かに風時くんだったら、そういうのを貰うのは全然おかしくないけど……私としてもなんとなく気になって……その――‼」
「……夢岸。誰も座ってない席に話しかけてどうしたんだ?」
「……え? あっ、風時くんがいない!?」
「……はぁ。あいつだったら昼休みになった途端に教室から出て行ったぞ」
―2―
「なぜ、あなたが――ここにいるのかしら?」
横から耳へと、やけに突き刺さってくる冷えた声。
明らかな苛立ちと侮蔑を込めた睨みで刺してくるのもセットで。
「避難しようと思ったらちょうど良い場所だったんで」
「ここは避難所じゃない。今すぐに出ていきなさい――目障りよ」
「……一言余計では? あっ、このホウレン草のバター和え美味しいんで、どうですか?」
「いらない」
斜め横の机上で弁当箱を広げていた俺に容赦ない口上を浴びせてくる上級生の女子生徒。
艶やかな髪に睫毛。特徴的な切れ長の艶やかな目。
遠目から見ればキリッとした美人。近くから見れば額にギリッとした仏頂面で美人の顔が台無しになっている。もはやお馴染みの人と言えよう。
2学年生、氷の風紀委員長――春川静音。
そう、ここは春川先輩の拠点と言っていい風紀委員室。教室同様広々とした室内を見回せば書類ファイルが収められている棚以外はお茶用の電気ケトルとカップ類だけ。余計な物が一切置かれていない。風紀委員会……というより春川先輩の性格らしい質素で無機質な部屋だ。
余計な……無駄な……邪魔な物が多い生徒会室とは大違い。
次にあの部屋に入った時はきっと、これみよがしにと海外旅行雑誌が増えているに違いない。
なぜ俺がこんな縁も用のない風紀委員室に居座って弁当を食べているのかといえば、授業の合間の休み時間でもしつこく、ひよりが手紙について追及してくるので昼休みになった途端すぐに教室から飛び出して逃げている途中で、この部屋を見かけてそのまま飛び込んだ。
HRの後からは手紙についてクラスの男から茶化してきたり、この手の話題には興味津々なクラスの女からの質問が多かった。そのおかげでひよりがHR前みたいな強硬な行動を取りづらくなっていたのは助かったが。
……そういえば休み時間でも授業中でも――委員長からチラチラと視線を感じたが……。特に話しかけられなかったな。
とにかく昼休みは自分の教室から離れていればいいと打算で、この風紀委員室に入ったら、何やらノートPCで作業中の春川先輩と出くわしたということだ。
「でも、いつものとこにに行ったら先輩に怒られるし」
「……ここだと怒られないと思っているの?」
俺が指すいつものとことは。
瑠凛学園の敷地内は広大だ。
この学園に住んでも問題ないレベルでありとあらゆる設備が揃っている。売店、レストランだけでも軽く10店以上は存在し、スポーツジムや入浴施設や更に簡易宿泊施設とは思えないホテルも完備している。
――そんな敷地内のなかで唯一人通りのない寂れた小屋が存在していた。目の前の老巧化しているベンチにも誰も座ろうとしないどころか、この場所を誰も知らない。
入学直後すぐに見つけた俺は昼休みの時に一人で考えをまとめたりするのに良いスポットだった。いつもそこで昼を取っていたわけだが、この学園では氷の風紀委員長として恐れられている春川静音に見つかってしまって、度々に注意してくるのだ。
「あんなうってつけの場所を他の人に知られるわけにはいかないんで。あっ、ちなみに知っているのは春川先輩だけですよ?」
「……それがなんなの?」
「……なんでも」
秘密の共有。
心理テクニックの一種で、互いだけが知っている秘密を持っていると仲が深まる効果がある。自分にだけ秘密を打ち明けてくれるのは相手から特別に信頼されていると感じるからだ。
それで多少……ほんの数ミリでも春川先輩から好感を得られると使ってみたが――返ってきたのはゴミを見る目つきで、うんざりそうに見てくる蔑視だけだった。
この人にはこの手のは一切通じない。……わかっていたとこだが。
弁当のオカズを頬張りながらノートPCをカタカタと作業中の先輩の様子を見ていると、
「先輩、もしかして寝不足?」
先輩の手元には昼食と思わしき高級そうなサンドイッチに眠気覚ましの為かコーヒーを飲んでいた。……それを何杯も飲むように。
長い艶やかな横髪を耳の後ろにかけている。心なしから整っている顔の綺麗な肌には疲れを覗かせるよう少々ほっそりとしていた。
まるで深夜まで残業しているOLみたいだ。情報機関で夜遅くまで働きづめの職員を見かけたのを思い出す……あれはリリスが任務でやらかして大変だった時のことだ。
俺の伺いに対して先輩は失礼な奴だと睨み返してきて、
「寝不足の原因の一つがすぐ近くにいるせいで、余計眠れなさそうけれど」
「コーヒーは眠気覚ましに効果的だけど、あんまり飲み過ぎるのもよくなくてトイレが近くなったり――」
「……あなた、人の話聞いてるの?」
と、俺と春川先輩は会えば毎度このように斜め上や斜め下へと往生するやり取りをするのが定番である。
彼女は俺のことを非常に嫌っているが、俺は彼女を高く買っている。
故に密かにこの学園の『スパイの協力者』として動いてもらうことを願いたいとこだが、度々こうして機会を伺っていても難攻不落で進展が見られない。
……むしろ悪化している気が。
「他の風紀委員にも頼るのは?」
「こんなの私一人で十分よ。……邪魔する誰かさんがいなければもっと早く終わりそうね」
またも余計な嫌みの一言を付け加える辺り、案外まだ元気が残ってる証拠かもしれない。
――瑠凛学園の教育方針は主に生徒の自主性を重んじている。
放課後の掃除ですら財力に物を言わせて業者を使う生徒もいれば、グループはたまた個人の労力で取り掛かる真面目な生徒もいる。掃除だけに限らない。金で解決できるなら解決する。金を使わないで取り組む。
どちらもこの学園では正しいといえよう。
この学園で問われるのは自身の家柄と才能をいかに使いこなして、利益を生み出し――生徒と学園の価値を高めるかだ。
(その方針のせいでやりたい放題の生徒が絶えないんだよなぁ……)
学園内での生徒の活動による予算を管理している自分にとってはまさしく非常に困ったものである。
実は生徒会の会計は誰もやりたがらないハズレ役員では?とさえ思えてきた。歴代で会計を努めてきた先達の先輩方には敬服する。
ちゃんとほどよく甘めに仕上がってる卵焼きを味わっていると、
「それで……――逃げてきた理由はなんなの?」
「………………え?」
視線を手元の弁当箱から先輩に移せば作業中の彼女の手が止まっていた。
上を見れば彼女の特徴的である切れ長の目がすぅっと更に細めた奇異の視線が俺に向けられる。
しかも居丈高に足を組んでいる。無駄に艶めかしく見えるのは気のせいかゴクンと唾と共に卵焼きを飲み込む。同時に卵焼きが通った食道にピリピリした辛味に近いスパイスが感じられた。おかしいな……甘めに味付けしたはずなのに。
「気になるんですか?」
「……っ! おずおずと邪魔しといて、よくそんな勿体ぶったことが吐けるわねっ」
絹糸みたいなサラサラしてる前髪を横耳に掛かっているからか、空いた目立つ額にはピキピキと怒りマークが浮かんでいるのが錯覚して見えた。
「理由を教えたくないんだったら今すぐに出てい――」
「言います! せめて昼飯を食べ終わるまでは居させてください! 実は――」
マズイ!! 余計イラつかせてしまって本当に追い出されそうだ!
ただでさえこの部屋に入って会った時から噴火手前だったのに、ここで爆発して追い出されるのは困る。外ではまだ、ひよりが探し回っている可能性があるし……。
正直、手紙の件は教えたくないが、確かに迷惑を掛けてしまったからには理由を教えないのでは俺と春川先輩の間にある信頼関係にキズが入る。(信頼関係が構築されているのか別として
……仕方なしと原因である手紙を取り出し見せて、ことのあらましについて説明した。
聞いた先輩は人指し指の裏を口に当てながら、どこか深く考え込んでいた。
「……驚いたわ」
「今時こういった手紙があることに?」
「ええ。あなたにそんな手紙を送るような物好きな人がいることによ」
そう言うと予想できてたよ!
「別にいいじゃないですか……」
俺に対してともかく、手紙を送った相手の人に失礼だぞ?
「でもそんなしょうもないこと私には関係な……」
先輩は前髪を軽く払いながら途中で急に口を噤んで黙りこくる。
再び俺にキツイ視線を向けてから寸刻の間を置かれると――。
「……まさか」
瞬間ハッと眉をしかめて何か思い当たるような顔を――俺に真っ直ぐ向けてくると、
「――見せなさい」
「……はい? なにを?」
「その貰った手紙に決まってるでしょ! いいから見せなさい!!」
「はいぃ!」
もはや有無を言わさせない恐喝じみた言動に大人しく従ってしまった。
手紙を取った先輩は作業中とは比べにならならいほどの集中した形相で――手紙を睨みつけている。……恐い。
「……この文字と文面は……みのじゃないわね。そもそも……だったらもっと凝った形にするし……違うわね」
ブツブツと小言を漏らしている。読唇術で読み取ろうにも手紙で口元が隠れているので見えない。でも、さっきと違うとこは、どこか安心感を含んだように聞こえる響きだった。春川先輩が心配していたことが無かったらしい。
「返すわ」
もう用済みで、いらないわとばかりに手紙を放り捨てるように俺の手前に置かれる。
何を確かめたかったのか知らないが雑に扱わないでくれ。
「なにを心配してたんですか?」
「……あなたには関係ないことよ」
俺に宛てた手紙を半ば奪って見といて関係ないとはいかがなものか。
「そうね……一つ言えることなら。その誰だかわからない手紙の相手には丁重に断りなさい」
「え? それはどういう――」
「あなたなんかと付き合ったら――その子が不幸になるだけよ」
「……」
だと思った。
しかも本気というより、ごく当たり前の考えで言っているのが何とも言えない。この人の中にとって俺は害悪の存在だと窺える。……慣れたことだが。
「春川先輩はこういったことには興味ないんですか?」
「くだらない」
ピシャリ。即答。一蹴。
なんとも予想通りの返事だった。
俺から視線をわざとらしく逸らしてコーヒーを一口飲むと、
「恋愛なんて無駄でしかない。まして学生の内に交際なんて時間の無駄としか思えないわ。どうせほとんどは将来が決められているのに意味のない行為としか思えない」
散々な言い様だが彼女はこう言いたいんだろう。
貴族の世界では家と両家を繋ぐための政治的な結婚、いわゆる政略結婚が主流なのは健在のまま。
つまり親のいいなりで将来の相手というのは決まっていることがほとんどたどいう。
現にこの学園で婚約者がいる生徒も少なくない。それも家が決めたことだと。気の知れた昔からの幼馴染相手がいたり、全く相手を知らないまま婚姻関係を結ばされることも。
当人が納得しているかは部外者の俺にはわからない。
しかし、今の時代よほど厳格な家でもなければ、本人の意思をないがしろにするほど家の親も非情ではない。
ただ出来れば子供の結婚相手は自分達の家にとって利益がある良い家であることが条件なのは変わらないが。
と、まあ貴族の中の世界での恋愛事情というのは些か複雑だということだ。
「将来のことを何にも考えないで当人達が一時的な自己快楽の為に交際してようと別に構わない。私からわざわざ口出しして否定しない。学園では正しい節度を持っていれば勝手にしとけばいいのよ」
「つまり邪魔はしないと?」
「……例外の人を除けば、ね」
「え? 誰ですか、それ」
「とにかく――私には関係ないことよ。くだらないことを聞かないで」
PCの電源を強制シャットダウンした如く煙に巻かれたせいな気がしなくもないが、ようは「どうでもいい」とまとめる。
春川先輩にとっての恋愛観に対する認識は中々面倒……いや、複雑だと言い換えとこう。
……ふとここで意地の悪い問いをしてみた。
「じゃあ――春川先輩は、俺がこの手紙にどう返事をすればいいのか教えてくれますか?」
「何を言ってるの?」
春川先輩は珍しくぱちくりと目が瞬かせて――俺を見据えた。
「その手紙に対してのあなたの返事なんか――最初から決まってるでしょ? わざわざ私に聞くことでもないし、それこそ本当にどうでもいい」
「…………」
まるで俺の考えを目敏く見抜いているかの口振りできっぱりと言い放った。
俺は箸を口にくわえたままポカンと呆然する。
「なに? 急に固まって」
「……いえ」
俺が次に出る行動をごく当たり前に分かってくれている。
やはり、この人はこの学園を探る上で必要な協力者だ。
「最初から答えが分かっているんだったら、さっさと済ましてきなさい。
――そして私の貴重な時間を邪魔しないで」
食べ終わって空になっている俺の弁当箱を視線で指しながら、暗にこの部屋から出ていけと言外で示すと最後に先輩は「……本当にくだらない」と小さく冷たく呟いて仏頂面なままノートPCに視線を戻し、再び作業に取り掛かった。もう横にいる俺には一切眼中にない様子だ。さすがに俺もこれ以上、図々しく邪魔する気はない。
せめてにと委員室の備え付けのポッドで、紅茶を淹れたティーカップを先輩の手元にそっと置いて部屋を後にした。
――追い出した後に飲んだ、いつもと違う紅茶にピクッと不思議そうに眉を動かした彼女の様子を知らずに。
――――
放課後。
あれから俺は午後の授業が始まるギリギリまで教室に戻っては放課後までのらりくらりとかわして、やっと帰りのHRも終わる。
まだまだ諦めていない執念深いひよりから逃げるように教室からさっさと出ていく。
……やっぱり委員長が俺に視線を向けていた気がするが一向に尋ねてこないし、だからといって俺から伺うのも何なのでスルーした。
「――風時君、ちょっといいですか?」
「先生?」
廊下の階段から降りようとした傍で壁にもたれかかっている――工藤先生がやや強調した口振りで俺を呼び止めた。そこに居たのは気づかなかった。
……相変わらず人の意識の死角に潜んでいるように現れるのは偶然なのか、単にこの人の存在感が薄いのか。
「……なにか?」
「えーと……そうですね」
先生はややぎこちなく頬をかいている。
まるで俺にどう言えばいいのか困って、口にする言葉を探っているようだ。
「今朝の手紙のことだったら自分なりにちゃんと対応しますから」
「……それは結構ですよ。そういったことは先生から言うことありません。それに、そっちの心配をしているわけでは……」
? じゃあ何で呼び止めたんだ?
「……風時くん。出来れば、くれぐれも気をつけて真っ直ぐに帰ってくださいね」
「はあ……」
朝のHR前でも思ったが大げさだなと。
俺に伝えた先生はそのまま職員室の方向ではなく、中庭に行くあたりまたサボるんだろうな……。
クラスメイトといい先生といい手紙一つで面倒だ。
(まったく……『生徒会』以外でも面倒なことは勘弁してくれ。
……そういえば今日は生徒会の活動はなかったな。
――『あの人達』に知られたら面倒どころか、とんでもない厄介になりそうだしなぁ)
クラスの女子みたいにキャーキャー騒ぐのか、ケラケラとからかってくるのか。
想像しようにも、想像したくもないので頭をブンブンと振って消し去る。
生徒会活動が無いなら今日は赴く必要はないし、ならばこのまま直行で帰宅しよう。
しかし――
何時何処でこんな手紙が俺の鞄の中に?
確か昨日は学校帰りはそのまま直帰して、
今朝、登校する前にマンション入り口で別の高校に通っている機関の同僚である透と会っていたぐらいだが……。
(直に分かることか)
とりあえず帰ろうと、今日は誰にも遭遇しないようにと、息を潜め、校舎内で人気の少ない廊下に入った――念入りに誰もいないはずと確認して足を踏み入れる。
「ッ‼」
それが間違いだった――。
この時の俺は素直に往来の多い玄関から他の生徒に紛れ溶け込んで下校するか、あるいは変装でもして帰宅すれば――はたまた大人しくひよりに捕まっていた方がマシだったとさえ思う。
「――風時様。申し訳ございません」
背後からの綺麗な声に反応した瞬間。
まず――とても長く美しく伸びた指先が視界に入った。
次に俺の口元にヒンヤリと――俺の鼻元に布を押し当てる。
強烈であり鼻孔に入り込んできた。
この臭いはクロロホルム!
それも他の強力な睡眠誘導の薬品が混ざった臭いが鼻から俺の体内へと支配する。
これかなり強烈だ! 機関の訓練ではこういった対策で、ある程度の耐性を身につけている……はずだが、今俺が嗅がされているのは普通の人だったら死にかねない濃度だぞ! これ!? 一般人だったら間違いなく死にかけてる!
(あ……)
視界が揺れる、意識が遠のく、体の力が抜ける。
クラグラと暗闇が思考に侵食し尽くす。
「これも……かな……嬢様の……為ですので」
辛うじて聞こえる美しい声のした女性の言葉の欠片欠片どれもちゃんと聞き取れず
――真っ暗な世界へと意識を落とした。
………………
………………――拝啓。
機関より勅命を受け、貴族の学園に潜入を試みたこの任務もどうやら……俺の人生も、ついにここで終わりを迎えそうです。
ここで任務失敗なのか……!
――……
「ちょ、ちょっと……!!」
次に目覚めた俺は、無駄に豪華な椅子に座らせられ、両手両足が縄できつく縛られていた。
目前には――
「……これはどういうことですか!? ――会長達揃って!」
「「「…………」」」
静かに佇む瑠凛が誇る三強である――三天女が佇んでいた。
どうしてこんなことに――!
――ハッ
まさか俺が諜報員であることがバレたのか!?
――――
あとがき
今までのおさらい的なエピソード。
次回は一旦、課外活動変に戻って進めます。
ストック貯めていますので、しばらくは更新多めの予定です!
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