経路(書きかけ)
ぺたぺたと、空気を触っている男がいた。何をしているのだろうかと暫く見ていると、ふっと男が消えた。何が起こったのかいまいちわからず、しばし呆然とそこを見ていた。次に女が現れた。
先ほどの男と同じように、まるで壁を触るように空気に触れ、同じように消えて行った。また呆然として、そこから動けずに見ていた。するとまた男がやって来た。注意深く見ると、そこは壁と言うより扉のようだった。幾度かその存在を確かめるように触れて、ノブを握り、ぐっと押し入っていく。その瞬間に消えるのだ。
どこに続いている扉なのか。どんな人が使う扉なのか。怖いもの見たさの好奇心に動かされ、私はそこに立っていた。先ほどの人たちと同じように、そこの空気に触れてみる。さらりとした木の感触だった。本当にこれは扉なのか。ノブがあるでだろう場所へ手を滑らせると、今度は金属の冷たく硬い感触にあたった。一体どんな仕掛けなのか。なんの目的なのか。一度入って、戻って来られるのか。沢山の疑問が浮かび、消えた。この先への興味が高まり、私はノブを回して扉を開けた。
踏み出した足の先になかなか着地面を見つけられず、「あ」と思う間に短い悲鳴を挙げながらそこから落ちた。ノブに掴まろうと伸ばした手は風を受けるばかり。ぱくりと開いたままの扉から、妙に青い空が見えた。扉は徐々に閉じていき、その場所は不確かになった。どこまで落ちるのか。落ちた先はどこなのか。スローモーションにはならないが、まるで兎を追ったアリスのようだと思った。
体を打つ衝撃。痛い。どうやら水面に叩きつけられたらしい。酸素を求め水上を目指すが、無情にも体は沈んでいく。がぼっと息を吐き出す。もう駄目だと固く目を閉じる。水しか入ってこないのに、全く苦しくない事に気付いた。エラでもできたか? という疑問も置去りにして、吸い込まれるように深く深く水の中を落ちて行った。
その光もまた奇妙な場所にあった。水底はもっと深いようだが、手招きをするような光だった。握り拳大の白い光。中心からミラーボールのように輝いていた。そこへ手を伸ばすと、ぐっと引っ張られる感じがした。慌てて手をひっこめる。もう一度手を伸ばす。今度は体ごとその中へ引張り込まれた。
ーーーーーーーーーー
当時の自分がどんなオチを思っていたのか、さっぱりわからない書きかけメモでした。
そもそもオチなど用意せずに書き始めていたやつだったかも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます