第一部~ウルトラQからウルトラセブンまで~
第1話 ヒーロー不在とモノクロ美学
深夜放映されていた再放送作品は、ウルトラマン、ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマンの3作品であった。いや、他の作品も放映されていたのしれないが、少なくとも筆者が当時観てきたのはこの3作品だった。
この3作品の中で、筆者が最も思い入れがあり、尚且つ昭和ウルトラシリーズで、最も愛して止まない作品が『帰ってきたウルトラマン』である。
熱心な読者の方は気づいているだろう。本エッセイのキャッチコピーにて第2次怪獣ブームについて語ると釘売っているわけだが、この第2次ブームを引率したトップバッター的作品が帰ってきたウルトラマンだったのである。
つまり、本エッセイはこの帰ってきたウルトラマンという作品から始まり、その後4年間途切れなく続いたこの輝かしき第2のブームについて筆者なりの想いを語り考察していくのが趣旨なのだ。
しかし、物事には順序がある。このエッセイを読まれている方が、皆予備知識があるわけではないと思う。
もちろん、このようなニッチなタイトルそして内容であるから、それなりに特撮に造詣のある方が主な読者層だというのは十分想定の上だが、そんな方々にはもう少々道草にお付き合い頂きたい。
キャッチコピーをみて「帰ってきた~レオあたりの
済みません。決してキャッチコピー詐欺のつもりはないので、そこは安心して頂けたらと思う。
さて、閑話休題である。第2があるならば、当然第1が存在する。それが節理というもの。そう、まずはウルトラシリーズ第1期といわれる時期の作品について順番にお話ししていこう。
ウルトラシリーズは、東宝でゴジラ(1954年公開)の制作に関わった円谷英二が創設した円谷プロダクションによる特撮作品である。昭和40年代、本家?ゴジラは依然映画というスタイルを歩んでいたが、こちらウルトラシリーズはTVという媒体を選んだことで、より身近に怪獣特撮を体感させる契機となったのはいうまでもない。そんなウルトラシリーズが始動したのは、1966年(昭和41年)、ゴジラ誕生から12年後のことであった。
その記念すべき第一作目が『ウルトラQ』である。このウルトラQという作品の特徴は大きく2つ。1つは、ヒーロー不在ということ 本作の主人公はセスナ機のパイロットである万城目淳と、その助手そしてカメラマンの女性である。しかも便宜上主人公とは云ったが、決して彼らがメインの作風ではない。この作品の見せ場は彼らが遭遇し、巻き込まれていく怪奇現象やそこに登場する怪獣、宇宙人なのである。
そう、その非日常な体験や出来事が描かれることが主題だったのだ。そこにそれを退治?し解決してくれるヒーローの姿はない。毎回どうやってこの非日常を(丸腰で生身の人間が)潜り抜けるのか そんなスリルや臨場感を視聴者に与えてくれるそんな作風といえよう。
もう一つの特徴は、モノクロ作品であることだ。
昭和41年といえば、既にカラーテレビは普及していた時代である。敢えて、モノクロ仕様の番組として制作されたのは、当然意図的だったようである。上述のようなスリル、非日常の不気味さを演出する上でカラーよりも優れていると踏んだのだろう。
このあたりが、事情を知らないと勘違いされたままになりがちなのは、残念なところなのだが・・・
実際、いつ放映されたかなどの情報を持たず、予備知識なしに本作品を視聴したとする。その場合 まずこの作品はとてつもなく古いんだろうなと勘違いしてしまうのは必須なのだ。
ただし、
例えば、昭和39年(1964年)の東京オリンピックがそのカラーテレビ普及に一役買っていたという出来事を知っていればこそ時代考証できるというものだ。
こうした時代の流れも併せて視ていくことで、作品の時代背景も見えてくるし、また誤解や稚拙な勘違いを解くことにもなる。筆者はそのように思う。
さて、話は逸れてしまったが、この奇想天外な作品『ウルトラQ』から我らがウルトラシリーズは始まったのだ。
ところで、本作を称して『昭和版(怪獣版)世にも奇妙な物語』のなどと言われたりすることがあるが、毎回ラストに流れる 石坂浩二氏による意味深なナレーションが、ストーリーテラーのタモリ氏の語りを彷彿とさせるのは確かに分からぬでもない。こうした視点はなかなか面白いなと思ったものである。
ときに、『世にも奇妙な物語』すら分からない知らないという世代の方は、この機に色々と調べてみるのも良いのではないかと思う。世の中知らないことも、何かきっかけがないと知らずに終わっていくもの そう、すべてはきっかけが大事なのである。筆者がウルトラシリーズと出会ったように
さて、次回も第1期の作品、シリーズ第2作『ウルトラマン』について語っていきたい。
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