第11話 真一と長島…腹を割って話す③『延長戦』
翌朝、長島が真一を後ろから抱いて真一の背中にもたれながら寝ていて目が覚めた。真一はまだ夢の中だった。
真一の寝顔を見て、長島が微笑む。
長島(幼なじみ(優香)とはこんなことまでしてへんのか…。しんちゃんの寝顔も見てるわけないわな…)
長島は真一の頭を撫でた。真一は気分よく寝ている。長島は真一の頬にキスをした。
長島(よし、朝ごはん作るか…)
長島がキッチンで簡単に朝食の用意をする。
長島「しんちゃん…」
真一が目を覚ます。
真一「あ、朝か…。おはよう…」
長島「おはよう。朝ごはんできたよ」
真一「え、用意してくれたんか。ありがとう」
長島「食べよ」
真一「うん」
2人が朝食をとる。
長島「爆睡してたなぁ(笑)」
真一「知らん間に寝てたわ」
長島「私も。しんちゃんの背中にもたれながら爆睡してたわ」
真一「そうか…。機嫌よく寝られたら何よりや」
長島「でも、ちょっともの足りんかった」
真一「なんで?」
長島「ホンマに襲わへんのやなぁ…(笑)」
真一「当たり前やろ❗ まだそんな間柄やないやんか」
長島「そんな間柄にはなれない?」
真一「そんな間柄になりたいんか?」
長島「しんちゃんは、まだ私のことわからへんのやろ?」
真一「まぁね…。ゴメン、少し時間がほしいなぁ…」
長島「私は待つよ。しんちゃんに納得してもらわんとなぁ…」
真一「ホンマにオレでええんか(良いのか)?」
長島「うん…。元カノみたいに積極的やろ?(笑)」
真一「…ノーコメント」
長島「また顔赤いし(笑) かわいいなぁ」
真一「朝からうるさいなぁ…」
長島「今日はどうする?」
真一「オレは予定ないよ」
長島「じゃあ、ウチでゆっくりしよっか」
真一「あぁ…。りっちゃんは予定ないんか?」
長島「ないよ。あるとしたら、しんちゃんと一緒にいたいかな…」
真一「そうか…」
長島「迷惑?」
真一「いや、りっちゃんのガス抜きが出来たら、オレはそれでいいから…」
長島「ガス抜きは…」
真一「何?」
長島と真一が見つめる。
真一「なぁ、りっちゃんの目的は何なん?
オレがりっちゃんの愚痴を聞いたらいいのではないの? そうじゃなくて、オレがとりあえずおったらいいのか、それとも… 」
長島「それとも…?」
真一「…体が目的か?」
長島「私は、しんちゃんが目的やから、しんちゃんの体も含むよ。なぁ、しんちゃんは私ではダメ?」
真一「アカンということではない。ただ、まだりっちゃんのこと、詳しく知りたいだけや」
長島「そうかぁ。私の何が知りたいの?」
真一「例えば、性格とか…。りっちゃんは優しくて積極的で、頼りがいのある同級生…って思ってる」
長島「しんちゃんは、相手とか周りの人のことをよう考えてるなぁ。自分のことは考えへんの?」
真一「よう(よく)言われる」
長島「しんちゃん、たまには自分のこと考えなよ。例えば、今とか…」
真一「今?」
長島「そう、今」
真一「りっちゃんのことか?」
長島「…私はしんちゃんの彼氏にはなれない?」
真一「まだ近いとはいえ、もっと近くに
長島「いても優柔不断やったから…」
真一「合コンとか行かへんの?」
長島「中々なのよ」
真一「そうか…」
長島「あのな、昨日の夜、しんちゃんの背中にもたれながら寝てたら、ぐっすり寝れてなぁ、安心してたんや」
真一「そうか…。汗くさかったやろ?」
長島「ううん、大丈夫。はじめは『同期の同い年』としか見てへんかった。けど、しんちゃんとメールとか研修のお弁当食べてるときとかに話を聞いていたら、ちょっと見方が変わったんや。真面目やし、相手の事考えて動いてるんやなぁ…って。キチッとケジメもつけてるし。昨日だって私を襲わへんかったやろ? 普通なら襲ってるやん。それを何もしないんやから。私、ただの同期の同い年には見えなくなってるんや」
真一「そうか…」
長島「幼なじみ(優香)に似てるのは尚更やったんかも…(笑)」
真一「りっちゃんがそんなこと考えてたなんてなぁ…。オレから見てりっちゃんは、一言で言えば『幼なじみ(優香)にうりふたつ』なのは顔だけやなくて、思いやりの心を持ってるところ。考え方も似てるんかなぁ…って。違うところは、積極的なところかな…。まぁ幼なじみのことはともかく、積極的なところがいいところなんやろなぁ…」
長島「しんちゃんにとって、私は幼なじみの代わりになる?」
真一「幼なじみの代わり?」
長島「うん」
真一「オレ、りっちゃんのこと『幼なじみの代わり』なんて思ったことないで。ただ似てるだけで、りっちゃんはりっちゃんやんか❗」
長島「そうかぁ…。真顔で言われたらドキッとした。ホンマに真面目やわ、しんちゃんは」
真一「オレ一人の問題ならともかく、オレ一人の問題やないからなぁ…」
長島「しんちゃん…」
真一「でも、もう少し時間は欲しい」
長島「わかった。待ってる。しんちゃん、よく考えてな」
真一は長島の想いを汲んで、長島から時間をもらって、長島のことを考えることにした。
その後、長島のマンションで2人は雑談に花が咲いていた。
長島「なぁ、お昼やわ」
真一「ホンマやなぁ」
長島「お昼ご飯、何する?」
真一「何食べたい?」
長島「しんちゃんは何食べたい? 私は思いつかんなぁ…(笑)」
真一「特にこだわりはないなぁ…。なんでも食べるで」
長島「どっか食べに行く?」
真一「うーん…、そうか強いて言えば…」
長島「何?」
真一「りっちゃんの料理食べたいかも…。オムライスとか適当でいいけど…」
長島「オムライスかぁ、いいかも。作るわ」
長島はオムライスを作り始めた。
長島「オムライスできたよ」
真一は配膳を手伝う。そして2人は昼食のオムライスを頬張る。
真一「うん、うまい」
長島「ホンマ? ちゃんとできてる?」
真一「うん。ちょうどいいで」
長島「よかった(笑)」
2人は無我夢中でオムライスを食べた。
真一「ごちそうさまでした」
長島「お粗末さまでした」
真一が食器を片付け、長島はさっさと食器を洗う。
食べ終わってリビングで寛ぐ2人。
真一と長島はリビングでいろんな話をした。仕事のこと、自分のこと、友達のこと…、話は尽きなかった。真一は長島がどんな女性なのか?…も見ていた。
そんなこんなで話をしているうちに、夕方になり、真一はそろそろ帰る頃になった。
長島「しんちゃん」
真一「ん?」
長島「また会えへん?」
真一「都合がよかったらかまへんよ」
長島「わかった。またメールするわ」
真一「うん」
そして真一は、長島のマンションを出て、京都本社に戻り、車に乗って帰っていった。
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