第8話 真一と長島…第3回 自主研修の昼食

真一と長島達が参加する第2回若手社員対象の自主研修が京都本社で行われた。真一にとっては通算で第3回の研修となる。今回の研修もあっという間に昼休みとなった。

真一と長島の2人は、誰もいない会議室で支給された仕出し弁当を食べる。


長島「なぁ、ホンマにご飯足りるか? 絶対足りんやろ?(笑)」

真一「足りてるで、大丈夫やって(笑)」

長島「しんちゃん、『あーん』してあげよか?(笑)」

真一「なぁ、誤解されるで。一応ここ会社やし…(笑)」

長島「ホンマに高校の時に幼なじみ(優香)から『あーん』してもらってへんの?」

真一「なんでやな?」

長島「そんなに仲良かったら、幼なじみからしてもらってると思うけどなぁ、幼なじみでも…」

真一「そんな事聞いて、何かりっちゃんの参考になるか?」

長島「私の顔見たら、幼なじみと重なって見えるんやろ? だったら、私がしんちゃんの為に一肌脱ごうかと…(笑)」

真一「いや、そんなことせんでもいいから…(笑)」

長島「なぁ、幼なじみ(優香)とは会ってへんの?」

真一「会ってないよ。どうしたん?」

長島「ううん、なんでもない」

真一「ところで、(彼氏との話)どうやったん?」

長島「あのな、しんちゃんが彼女と遠距離(恋愛)終わったって聞いて、私もなんか中途半端な付き合いやったから、けじめつけたっていうやつかな…」

真一「こんなことオレ言うていいのか…。りっちゃんが凹んでたんやったら、彼氏のこと好きやったんやろ?」

長島「しんちゃんやから、セクハラやないから大丈夫やで。嫌いではないけど、普通…友達っていう感覚かな…。だから彼氏ではないって思ったんや」

真一「そうやったんか…。気が晴れたんか?」

長島「ボチボチやな」

真一「そうか」

長島「なぁ、彼女と付き合ってたんなら、彼女と行くとこまで行ったんやろ?」

真一「どこへ?」

長島「したんやろ?」

真一「…何をやな?」

長島「もう、わからんかなぁ…。男と女がやるって言うたら、アレしかないやん(笑)」

真一「あのなぁ…」

長島「したんやろ?」

真一「してない…って言うたらウソになるなぁ。というか、別れた原因やからなぁ…。なんや、興味津々やな」

長島「いや、しんちゃんところはどんな感じやったんかと思って…」

真一「まぁ、一般的なんとちゃうか…。無茶はしてないから…」

長島「しんちゃんやから言うけど、なんかウチは私が積極的やったみたい(笑)」

真一「あ、そう…(苦笑) ウチもオレより彼女の方が積極的やったなぁ…」

長島「しんちゃんは積極的になれんのか?」

真一「オレ一人の問題やないから。相手がおっての話やからなぁ…。一方的にはちょっと…」

長島「ちゃんと相手のこと気遣ってるんや…。真面目やな…」

真一「相手を傷つけたくないから…」

長島「さすがやな…。だから、幼なじみ(優香)にしても元カノ(夏美)にしても、しんちゃんのこと想ってたんやな…」

真一「なんや、どないしたんや?」

長島「しんちゃん、今、病み上がりで長距離の運転はしんどいんやろ?」

真一「ちょっとしんどいなぁ…」

長島「今日は来れたんや」

真一「なんとか…」

長島「そうかぁ…。なぁ、完全復活したら京都で遊ばへんか?」

真一「なんや、同期の同い年にデートのお誘いですか?」

長島「そうじゃないけど、しんちゃんとゆっくり話がしたいんや」

真一「話すくらいは別にいつでもいいけど…。なんや、憂さ晴らしか?」

長島「まぁ、そんなとこや」

真一「また声かけてくれたら…」

長島「なぁ、研修終わったら帰るんやろ?」

真一「帰るで。何も用事ないし…。なんや?」

長島「研修終わってからも話できんかなぁ…?」

真一「明日は日曜日で休みやし、暇やけど…」

長島「泊まらへん?」

真一「どこで?」

長島「京都で」

真一「着替え持ってきてない…(笑)」

長島「明日またこっち来るのにしんどいもんなぁ…」

真一「電車でよかったら京都まで出てくるよ」

長島「お金使うから…。またにするわ」

真一「話したいんやろ? 聞くやんか。研修終わったらまた話聞くで」

長島「かまへんのか? 病み上がりの体で南町まで帰らんなんのに…」

真一「りっちゃんと話してたら、オレも元気もらってるから、どないかなる(どうにかなる)。」

長島「ゴメンね、しんちゃん」

真一「かまへんで。その顔で頼まれたら、断れんやんか。もう体に癖ついてるから…(笑)」

長島「なんか、しんちゃんの幼なじみ(優香)の気持ちがだんだんわかってきたような気がするわ(笑)」

真一「そうか…」

長島「じゃあ、終わったらゆっくり話そ、しんちゃん(笑)」

真一「わかった」

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