第3章 新領地開拓編 四十七話 勉強
マナの案内で書庫に到着した俺は入って直ぐ、その広さに驚いた。
「凄い広さだね、2階まであるのか」
「ここの書庫は御屋敷の一番端っこにあるんですよ! 2階にも入口があるのでどちらからでも入れるんです!」
マナが少し興奮気味に説明してくれる。
「ゼルさんの言う通り、この広さなら何かしら役立つ本が見つかりそうだな」
「レオ様は何の本を探しに来たんですか?」
「建築系の本とか他にも新しい魔法に役立ちそうな事が書いてある本を探そうと思ってね。そう言う2人は何の本を探しに?」
「私達はマナちゃんのお勉強をしに来たんです。学校の宿題で分からない所があるみたいなのでついでに終わらせてしまおうと思って」
なるほど、確かにここなら初等部までの内容の教科書等も置いてあるだろう。静かな空間も勉強するには最適だ。
「そっか、それじゃあマナ、勉強頑張ってね。カレンでも分からない所があったらお兄ちゃんに聞いてもいいからな」
「なっ、さすがの私でも初等部ぐらいの勉強ならできますよ! レオ様酷い!」
「わかりました! 直ぐにお兄様に聞きます!」
「マナちゃんまで!?」
「冗談だよカレン。それじゃあ俺はまず上を探してるから」
2人にそう言い残し俺は2階へ続く階段へ歩き始めた。
◇◆◇◆◇◆
「うーん、参考になりそうな物はちらほら有るけどこの広さの中から建築系の本を探すのは一苦労だな」
2階に上がり本を探し初めてから既に30分は経っているだろうか。やっと2階の半分まで探し終えたが未だに建築系の本は見つけられていない。
「次はここか、えっとここは……農園や植物に関しての本が多いな」
植物なら創造魔法で活かせる物があるかもしれないな。
そう思った俺はさっきまでとは違い何冊か良さそうな本を異空間収納にしまって机のある1階へ降りた。
俺が1階へ降りると真ん中の机で2人はまだ勉強をしている。そんな2人を見ているとマナがこちらに気づいたようで大きく手を振り俺を呼んだ。
「どうしたのマナ?」
「お兄様、ここの問題分かりますか? カレンじゃ分からないみたいで……」
マナの言葉を聞き俺は先程それぐらいならできると言っていた人物をジトーっとした目で見つめる。
「い、いえ、これには訳があるんですよ? 最初の方は分かっていたんですけど少し応用が入ってくるとよく思い出せないというか、その……」
確かに、カレンの言う通り序盤の問題は殆ど解けているようだ。
「まぁ、それは本当みたいだしそう言う所もカレンらしいと言ったららしいけどね……」
「ほ、本当は分かるんですよ? ただちょっと思い出せないだけなんですからね?」
そんなカレンは置いといて、俺はもう一度マナに見せられた問題に目を向ける。
「そうだね、この問題ならこのやり方で解けるはずだよ」
そうして俺はマナにその問題の解き方を教える。
これでも座学では学年2位だからね。アリシア程では無いけどそこそこ勉強もできるのだ。
「あっ、本当だ。出来ました! 出来ましたお兄様!」
「うん、同じような解き方をすればその後の問題も殆ど解けると思うよ」
「はい! ありがとうございます!」
そう言ってマナは再度宿題と思われるその問題に取り掛かった。
さてと、俺も自分のことをやるか。
俺は2人の座る机の隣の机に座り異空間収納から先程しまった何冊かの本を取り出す。
この辺りに書いてあるのは王都や他の街や村の中にも植えられている様な一般的な樹木や花についてか。花はあんまり役立ちそうな物は無いかな。樹木は使える用途が多そうだから覚えておこう。
その後も持ってきた本を何冊か読むがどれも木の種類や花の種類が違うだけであまり役立ちそうな物は載っていなかった。
そうして読み進めること数十分、持ってきた本の中で残るは最後の1冊となった。
これは……花と樹木以外の植物についてか。へぇ、他の国でしか生産されてない種類とかも載ってるんだ。
しばらくその本を見ていると何種類か気になる物を見つけた。
竹? ヤマト王国でしか生産されてないのか、こっちにもあまり出回って無いみたいだし見たことがないのも仕方が無いな。
引っ張られる事には強いけど横からの力には弱い。うーん、俺にはあんまり使えそうに無いかな。まぁ一応覚えておいても損は無いか。
そうして残りのページも読み進めたが今後どこかで役に立ちそうな物は数種類しか見つからなかった。
「ふぅ、とりあえず植物はこれぐらいかな。この感じだと他の本も同じような内容だろうし」
俺は本を戻しに行こうと椅子から立ち上がる。すると、隣の机でマナの勉強を見ていたカレンから声をかけられた。
「レオ様、そろそろ昼食の準備が出来るようなので一緒に行きませんか?」
あれ、もうそんな時間か。余程本を読むのに集中してたんだろうな。
確かに時計を見ると後20分程で12時になろうとしていた。少し早い気もするが昼食を取るにはいい時間だろう。
「わかった。この本だけ戻してくるから2人とも少し待ってて」
そう言って俺は2階へ上がり持ち出した本を元の場所に戻し2人と共に食堂まで向かった。
◇◆◇◆◇◆
昼食を終えた俺は書庫へ戻り次は1階の棚を見て回っていた。昼食の時に父さんに聞いてみたらどうやら建築や生産系の本は1階の棚にあるそうだ。
「お、ここの棚か。植物系よりも種類は少ないな」
俺はその中から先程と同じような何冊か取り出し異空間収納にしまう。だが、さっきとは違い今すぐに読む訳では無い。
「よし、とりあえずはこれぐらいでいいかな」
数冊の本をしまい終えた俺はそのまま書庫を出て朝確認作業を行っていた裏庭へ向かう。午前中に読んだ植物系の本の中からいくつか創造できるものがあるか確かめるためだ。
ちなみに、今何冊かの本を収納したのは明日以降に王都の屋敷で読むためだ。事前に父さんには持ち帰る許可を貰っている。
裏庭に着くと早速俺は午前中に読んだ本の中から記憶にある木を数本創り出す。
「『
石壁同様手を前に出し詠唱をすると地面から猛スピードで木が生え始め俺の身長の倍はあるだろうかという所まで伸びた後その成長を止めた。
「へぇ、これは凄いな。強度次第では戦闘でもいろんな場面で使い道がありそうだ」
そうして俺は木に近づくとその表面を叩き強度を確かめる。
「これぐらいの強度なら乗ったりする分には耐えられそうだな。さすがに剣とか魔法の攻撃は耐えられそうにないけど」
だが、それだとしても障害物や足場としては十分だろう。
俺は一旦創り出した木を破壊し少し時間を置いた後他の植物も問題なく創り出せるか試した。
数十分後、思い出せる限りの物はある程度創り出したがその殆どが障害物や何かしらのサポートとして使えそうだ。
「植物系は割と役に立つ物が多いのか。後で他の本も見たり今度ギルドの依頼で森に行った時少し見てみるのもいいかもしれないな」
その後、1時間程今の知識量でできることを試した後部屋に戻り帰宅のための荷物を少し纏めた。
荷物をまとめ終えると何だかんだ来た時より半分以上荷物が減っていることに気づく。
まぁいつ帰ってきてもいいようにある程度の荷物はこっちに置いておくしこんなものか。
さすがにさっきお昼を食べたばかりだし夕食まではまだまだ時間があるからさっき持ってきた本でも少し読んでようかな。
そうして、本を読んだりマナとカレンに誘われてお菓子を食べたりしている内に時間はあっという間に過ぎていき外の空は既に茜色に染まっていた。
窓の外を眺めているとちょうどカレンが夕食の準備が出来たことを知らせに来る。
もうそんな時間か。
俺は部屋を出てカレンと2人で食堂まで向かう。
食堂に入るとすぐに目に入ったのはボロボロになったロイス兄さんだ。恐らくゼルさんに手酷くにやられたのだろう。
他の面々はと言えば母さんとマナ、カレンの3人はやはり騒がしく父さんとゼルさんは夜ということも有り少しお酒を飲んでいるようだ。
そのおかげか夜の食堂は昼の時よりも遥かに賑やかで楽しい場となっている。
やっぱり、王都の屋敷の皆と食べる夕飯も美味しいけどやっぱり家族の皆と食べるのが1番だな。
その後も暫くの間賑やかな夕食は続いたがその楽しい空間も終わりを迎え、俺とアラン兄さん、カレンの3人は荷物を持ち王都の屋敷へと帰る。と言っても1度来てしまえば俺の
「それじゃあ父さんまた近い間にレオと2人で来るよ。外壁の事に着いても色々決めなきゃいけない事が多いからね」
「わかった。帰り道は……レオの魔法だから大丈夫か」
「ははっ、そうだね」
そうしてみんなに別れの挨拶を告げ俺は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます