弱小貴族家の息子、思いがけずに成り上がる。〜必死の努力の結果覚醒した時間と空間魔法に規格外の魔力量を合わせて学院生活を無双する!〜
第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 三十八話 アストレアVSソルヴァレス①
第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 三十八話 アストレアVSソルヴァレス①
試合が始まり10分が経過した頃、アレクは魔力結晶の前で1人考えこんでいた。
(10分が経っても何も反応無し、レオにも相手の魔力反応があれば連絡するよう言ったが未だ連絡無しか……)
「ダリス、サリー。そっちは何か反応あったか?」
『いや、無いな。俺の方には何も見えないぞ』
『私の方も同じかな、使い魔の子達にも見張らせてるけど何も見えないみたい』
「分かった。引き続き頼む」
アレクは通信を切る。
(どこにも反応は無し。妙だな……2戦目までなら今頃攻めか守り、どちらかに反応があってもいい頃だ)
その時アレクに通信が入る。
『アレク、俺だ』
「レオか、何か反応があったか?」
アレクに入った通信はレオからだった。アレクはレオに状況を聞く。
『あぁ、相手の陣地が見えたんだけどその場所がな……』
「どこにあったんだ?」
『……断崖絶壁の、崖の上だ。俺も空を飛ぶ方法はあるけど隙が多すぎるからな、壊すのに時間がかかるかもしれない』
「敵の反応は?」
『キョウヤが1人だ。多分、誰かまでは分からないけど俺達がいるってことも気づいてると思う』
(なるほど、やはり攻めと守りの割り振りは2戦目と同じか)
「分かった。こっちは任せろ、お前が勝つまで守りきる」
『あぁ、頼んだぞ』
そうしてレオとの通信は切れた。
(あっちはレオが何とかするだろう。問題はこちらだな、守りがキョウヤだけなら当然攻めは他の4人か)
「気合いを入れなければな。……ん?」
アレクがそう呟くと再度通信が入る、相手はサリーだ。
「どうした、何かあったのか?」
『今スーちゃんの視界に入ったんだけどそっちに猛スピードで敵が向かってる!』
そして、サリーの言葉とほぼ同時にアレクの周りに突風が吹いた。
「クッ、そう来たか……」
そう言ってアレクは頭上を見上げた。そこには小さめながら、人4人程度ならば十分に乗れる大きさの岩のが存在していた。
やがて、その船から2人の人影が降ってくる。柳色の着物を着た少女と深紅の色をした着物を着た少女、カエデとサクラだ。
「ほな、うちから行くで」
最初に攻撃を仕掛けてきたのはサクラだ。
サクラは空中で自身の腰に指された刀を構えそのまま中を蹴る。
「『業火の太刀・居合 閃紅』!」
目にも止まらぬ速さで抜かれた刃はアレク諸共魔力結晶を狙う。
「させるか『
サクラの居合の一撃に対抗するようにアレクは巨大で頑丈な壁を作り上げる。
ガギィィィイン!
2人の魔法がぶつかると周囲に鉄同士をぶつけたような音が響き渡る。
自身の攻撃が完全に止められたことを理解したサクラは一旦後方に下がり体制を立て直す。
「聞いてた通り、一筋縄ではいかないようやなぁ」
サクラが呟くとサクラとほぼ同時に船から降りたカエデが風魔法をクッションにゆっくりと降りる。
カエデ降りるとそれに続くようにユキノとシロウも船から降り、シロウが地面に着地すると同時にその船は消えた。
「ご苦労やったね、シロウ」
「ほんとですよ、あれだけの大きさの壊れづらい船を作るのにどれだけの体力と魔力を消費したか……何はともあれ僕は少し休ませてもらいます」
そう言うとシロウはふらふらと近場の木にもたれかかった。
「それじゃあ、うちらも行かせてもらうで?」
カエデは2対の扇を構える。
「いいだろう、相手にとって不足なしだ!」
アレクがそう言うとユキノも2人と並び立った。
そして、示し合わせたようにサクラとユキノが同時に距離を詰めてくる。カエデは2人の後ろから魔法で牽制をしてくるようだ。
「無駄だ!」
アレクはカエデの放ってきた風魔法よりさらに多くの水魔法でカエデの攻撃を防ぎつつサクラとユキノの進路にも魔法を放ち足を止まらせた。
その一瞬の隙をつきアレクはサクラの懐に入り込む。
「油断大敵だ」
アレクは右手に圧縮して集めた魔力でサクラに攻撃をする。そう、この技は1戦目でアレクが見せたブランハーツ魔法学院次席のゼノンを一撃で倒したとんでもない技だ。
「クッ……ガハッ!」
ギリギリの所で刀で防いだサクラだったがそれでも衝撃を抑えきれず、そのままカエデよりさらに後方にある木に衝突した。
「サクラちゃん!」
カエデが叫ぶように呼ぶと何とか片手をヒラヒラとさせ無事な事を伝える。
「『氷刃乱舞・滅』!」
そんな中、ユキノはアレクがサクラを攻撃している隙に背後に回り込み攻撃を仕掛けていた。だが……そのユキノの攻撃もアレクによって阻止されてしまう。
「『
背後からのユキノの氷の刃を振り向きざまに放った熱と風の合わせ技で全て溶かす。
「なっ……!」
驚くユキノだが仕方の無いことだ普通の火魔法でもなかなか溶かされないユキノの魔法を熱魔法で溶かされたのである、こんなことは初めてだ。だが、アレクもその隙を見逃すようなやつではない。
「凍れ、『
アレクが詠唱をした瞬間、水を大量に浴びたユキノの体は一瞬で氷漬けにされる。
「少し、そこで大人しくしてくれると助かる」
そうしてアレクはカエデの方に体を向ける。
「さて、残りはお前1人だが?」
「強いとは思っていたんやけど、まさかここまで強いとは思わんかったわ」
「それならここで大人しくしていて貰えるとありがたいのだがな」
「それがそうもいかへんのよ」
「ならばいいだろう。1対1だ、この試合が終わるまで相手をしてやる」
「お手柔らかになぁ」
両者は顔に笑みを浮かべる。
こうして2人の、次席同士の戦闘は再度火蓋が切られた。
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