第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 三十話 2戦目が始まりました。


 2戦目が始まりレオとアリシア、サリーの3人は打ち合わせ通りに敵陣地を攻めるため森の中を走っていた。


「どう、レオ君。なにか反応はあった?」


 走りながらサリーがレオに問いかける。


「いや、特にまだ反応は無いな。もう中央辺までは来てるしもう少し進んでみよう」


「確か、レオ君の魔力探知は半径50mの範囲しか分からないんですよね? そうなると、アレク君みたいに空から攻められてる場合は分からないかも……」


(確かに、アリシアの言う通りだ。今考えてみれば地上にいては魔力探知を最大限発揮出来ないな)


「それなら俺は空から進むから2人は地上から着いてきてくれ」


「あれ、レオ君って空飛べたっけ?」


 レオがそう言うとサリーが確認するように聞いてくる。


「あぁ、使えないことは無いよ。今まではあんまり使う機会が無かったけど」


 そうしてレオは詠唱をする。


「『天使の光翼エンジェル・ウィング』」


 レオが魔法を詠唱すると、その背中から淡く光る純白の翼が現れた。レオはその翼を数回羽ばたかせた後真上に飛び上空50m辺りで止まった。


「レオくーん! 反応あるー?」


 地上からサリーが問いかける。


「今はまだ無い! とりあえずこのまま進んでみるよ!」


 そう言ってレオは空を飛んで進む。


(やっぱり空は地上よりも視界が開けていいな。これなら魔力探知の届かない距離でも身体強化で視力を上げれば見えそうだ)


 そして、レオが2人の追いつけるペースでしばらく進むと前方の木の上に1つの魔力反応を見つける。その奥を見れば相手チームの魔力結晶と2人の生徒を見つけた。レオはこのことを2人に伝えるため一旦地上に降りる。


「今、魔力探知に1つ反応があった。ここを真っ直ぐに進んだところの木の上だ」


「となると、多分見張りの人かな?」


「あぁ、そう思って身体強化をかけて奥を見たら相手の陣地があったよ」


 レオ達はその場に少し隠れ大まかな作戦を立てた。


「とりあえず基本は打ち合わせ通りに俺が攻めて2人が後ろでサポート。俺1人で対応出来なくなってきたら状況を見てサリーも前線に上がる。これでいいか?」


 レオが確認すると2人は問題無いと言ったように頷く。そうして3人は作戦を決めるとまずは厄介な見張りを落としに行く。


「あの見張りは俺が落とすからそしたら2人は魔法で体を縛って動けなくしてくれ」


「「了解」」


 2人の返事を聞くとレオは先程の魔法をもう一度使い今度は木の少し上まで上昇し進んだ。


(見張りとの距離は約30m、あいつか)


 レオは上空を少し進むと魔力探知で見張りの場所をしっかりと確認しその後ろに回った。見張りの近くまで近づくと魔法を解きレオも同じ木の上に着陸する。


「よっ、悪いけど落とすぞ」


「なっ! お前は! ってうぁぁぁぁ!」


 背後にいきなり対戦相手が現れ相手の見張りが驚いている中レオはそんなのお構い無しに木の上から突き落とす。その木の下にはちょうど今2人が到着していた。


「2人ともー、落としたぞー!」


 レオは奥の敵陣地にいる生徒に聞こえないように2人に伝える。


「はーい」


「任せてください!」


 そう言って2人は落ちてきた敵の見張りを水魔法で縛りさらにその状態のまま氷魔法で木に縛り付けていた。


「よっと、うわ、これは身動き取れそうもないな……」


「動かれないよりはいいよ」


「まぁ、それもそうか。とりあえず先へ進もう」


 そうして3人はさらに奥にある敵陣値をめざして進む。




 あれから数分後3人は今敵陣地を視認できる位置で身を潜めていた。


「守りは2人か、サリーあの中に1戦目に見た奴っている?」


「ううん、いないかな」


 となると、首席の奴は今頃俺達の陣地へ攻めてるって事か。


「少しまずいな、一緒に攻めてる奴が次席だとしたらいくらあの2人でも少し振りかもしれない……」


「それでは1度アレクさんに連絡をしてみますか?」


「そうだな、一応伝えておいた方がいいかも」


 レオは通信用の魔力結晶を使いアレクに連絡をした。


『レオか、どうした?』


「いや、伝えておいた方いいと思ってな。そっちに2人攻めてる。その内の1人は首席だ」


『了解した。……噂をすれば、どうやら来たみたいだな』


 その時アレク達の方から魔法と魔法がぶつかった時の小さな爆発音が聞こえた。


「大丈夫か? アレク、お前確かブランハーツの生徒3人倒してたよな? そっちにいる奴って1戦目にアレクが倒した奴か?」


『こっちは大丈夫だ。そうだな、喜べレオそっちの守りはどうやら薄いようだぞ。何せこっち来たのがブランハーツのツートップだからな』


 そうしてアレクは通信の奥で楽しげに笑う。


「それってまずくないか!?」


『あぁ、正直に言うとかなり厳しいな。魔力結晶やダリスに気を使いながらでは大技も使えん。かと言って1人で相手のツートップを相手にするのもキツイからな、ダリスにいなくなってもらっては困る』


(あっちの状況は予想以上に悪いみたいだな。どうするか……)


『悪いそろそろ着るぞ、相手も本腰を入れてきたみたいだ』


「わかった、こっちでも何か作戦を立ててみる。それまで持ちこたえてくれよ!」


『ふっ、任せておけ』


 そうしてアレクからの通信は切れた。


「アレクさんはなんて言ってたんですか?」


「それが、俺達の陣地に攻めてるのが首席の人と次席の人らしい。アレクが1戦目に戦って顔を見てたみたいだ」


「それって結構不味くないかな?」


 サリーも俺と同じ意見のようだ。


「あぁ、とりあえずあっちで戦闘が始まったみたいだったから俺達で作戦を考えよう」


「他にアレク君はなんて言ってたの?」


「大技は魔力結晶やダリスに被害が出るかもしれないから使いづらいって。かと言ってダリスに居なくなられてもさすがに敵のツートップ相手は1人じゃキツイみたいだ」


 (改めて考えると結構厳しいな。俺達が早く相手の魔力結晶を壊せば問題無いが、相手もシンを倒すような奴だ。そんな奴が本腰を入れて攻めているなら壊される方が先の可能性もある)


「ねぇ、レオ君。アレク君は2対1はキツいって言ってたんだよね? それってつまり1対1なら勝てるってことかな?」


「それは、どうだろう。アレクに確認してみないと分からないけど……実際に首席の実力を少しでも知ってるサリーから見て2人が戦ったらどうなると思う?」


 俺はこの場で唯一2人の戦闘を見た事のあるサリーに聞く。


「正直、アレク君の魔法は強力すぎて分からないかな。けどどれも致命的なダメージになるとは思う。けど、それが今使えないとなると実力は互角って感じかな」


「と言うことは首席の人とアレクを1対1にするのが1番勝率が高そうだな。それなら何とかなりそうだ」


「何かいい方法があるんですか?」

 

「あぁ、取っておきの方法がね」


 そうしてレオは2人に思いついた策を説明する。


「確かに、少しレオ君の負担が大きいけどそれならアレク君と相手の主席の人を1対1にできる」


「私もその作戦に賛成です!」


 2人からの賛同も得たためこの作戦を行動に移す。


「とりあえず俺達も相手陣地に攻めるか。その後は少しの間2人に任さていいかな?」


「うん、任せて」


「サリーと2人なら大丈夫です!」


「了解。それじゃあ行こう!」


 そして3人はその場から立ち上がり再度走り始める。

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