第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 二十二話 始まりました。


 あれから1ヶ月。俺達5人は学院から呼び出され学院長室へと来ていた。


「失礼します。学院長、お話があると聞いたのですが……」


 代表してアレクが学院長に挨拶をする。


「あぁ、よく来てくれた。話というのは来週まで迫っている四大魔法学院対抗戦についてだ。各学院の学院長との会談で大まかなルールが決まったから伝えておこうと思ってね」


 学院長は優しそうに微笑みながら話し始めた。


「そのルールだが今年も例年通り2戦行い獲得した得点を競う。違うのはその内容だ」


「1戦目が全学院総当たりで行われるサバイバル形式の勝負。勝敗は最終的により多くの得点を持っていた学院の勝ちだ。得点は相手の代表を1人倒すと10点、そして最後まで残った場合その代表の学院に50ポイント入る」


 どうやら相手を倒し最後まで勝ち残った時に得点が1番高い学院が勝利らしい。


「次に2戦目はトーナメント形式の学院対抗戦だ。これは君たちが選抜試験で行った陣取り戦に似ているな。ルールはお互いの陣地にある魔力結晶を壊す。これだけだ」


 なるほど、代表選抜戦の時は旗を取り合うだったが今回はその旗が魔力結晶に変わり先に破壊した方が勝ちということか。簡単そうなルールで良かった……


「そして1戦目2戦目の得点を総合して1番高い学院が優勝となる。2戦目の得点については詳しい数は当日にならないと分からんがね。簡単だろう?」


「学院長、1つ質問いいですか?」


 俺は学院長の説明で疑問に思った箇所があり質問をした。


「2戦目の得点が当日にならないと分からないのには何か理由があるんですか?」


 俺が学院長に質問をすると学院長は優しそうに笑い答えてくれた。


「おぉ、いい質問だな。その通り2戦目の得点が事前に決められていないのには理由がある。例えば1戦目でどこかの学院が10人以上倒してしまい100点を取ったとする。なのに2戦目の得点が予め決まっていて1位を取ったとしても50点しか貰えなかったら優勝出来んだろう?」


 確かに、1位になったとしても優勝できないと結果が決まっていたらつまらないな。


「万が一そう言った事があっても対応できるように今年の2戦目は事前に得点を決めていないのだよ」


 と言うことは1戦目で大敗しても大逆転できるチャンスは残されてるってことか。これは面白くなりそうだな。


「まぁ大体のルールはこんなところだ。細かい説明は当日に発表されるだろう。それと、今日君たちを呼んだのには他の理由もあってな。アストレア学院代表としての証であるバッジが完成したから渡したかったんだ」


 そうして学院長自ら俺達にバッジを渡してくれた。


「改めて、君たちはこの誇り高きアストレア学院の代表だ。正々堂々全力で戦い必ず優勝してくれ。去年は3位という結果ではあったが今年の代表である君たちなら必ず優勝できると信じている」

 

「「「「「はい!」」」」」


 俺達は学院長からのありがたい激励の言葉を貰い必ず1位の座を勝ち取ってくる事を誓った。


 その後俺達はそれぞれの特訓の成果を報告し大まかな作戦を考えより息を合わせた連携ができるようにギリギリまで特訓をした。




 ――2日後、俺達は会場である4カ国の中心に位置する大きな森、ヴォーレオス大森林に来ていた。その大きさはアストレア学院が管理する森より一回りは大きく20人の代表者が同時に入るには十分な大きさだった。


 デカイな、ウィルダーナの森の倍はありそうだ。


 そんな事を俺が考えていると拡声の魔力結晶を使い放送がされた。どうやらそろそろ第1戦目が始まるようだ。


「お前ら、準備が出来たらそれぞれ50m以上感覚を開けて森に入れ」


 そう俺たち5人に指示を出したのはメルト先生だ。


「バッジは付けたか?ルールはさっき説明された通り選抜試験の時と大体同じだ。正々堂々全力で暴れて来い!」


 そう言って先生は俺達を送り出してくれた。


「全くあの人は、言ってることがめちゃくちゃだな」


 そう言いつつもアレクは楽しそうに笑っていた。


「まぁ魔力結晶のおかげで怪我はしない訳だしこんな時でも無いと滅多に本気は出せないからな」


 今回の対抗戦ではヴォーレオス大森林を四角で囲む用に「幻想の箱庭」と言う魔力結晶が配置されている。その魔力結晶の効果は四角く囲った中限定で怪我をしてもその怪我は幻かのように痛みもなく外傷も現れないと言う代物だ。


 俺達は1戦目が始まる前に最後の作戦会議をした。


「とりあえず始まった後に合流するのは俺とアリシアとダリスでいいか?」


「あぁ、3人は固まって行動しレオの魔力探知で浮いている敵を探し倒してくれ」


「おう!任せとけ」


「2人に負けないぐらい倒しますね!」


「あぁ、期待している。何かあったら魔力結晶で呼んでくれ。俺とサリーは単独でひたすら暴れ回る」


 そして、第1戦目開始まで残り1分。


「ここからは別行動だな」


「2戦目前の準備運動ぐらいにはなるといいがな」


「私も久しぶりに本気出しちゃおうかな」


「みんなで最後まで残りましょう!」


「それじゃあみんな、全力で暴れてくるか」


 そうしてレオ達はそれぞれ別の場所から森の中へ入っていく。


『時間になりましたので只今より四大魔法学院対抗戦1戦目を始めます!制限時間は1時間、それでは開始ぃ!』


 そして、魔力結晶からの放送で遂に、四大魔法学院対抗戦が始まった。



 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る