第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 二十一話 依頼を受けました。
放課後。俺達はギルドに来て良さそうな依頼を探していた。
Dランクだと討伐依頼はゴブリン3体かサーベル・ボア1体の討伐しかないか。さすがに5人でやるには簡単すぎるな。
「ダリス、そっちは何か良さそうな依頼あったか?」
俺はCランクの依頼を見ていたダリスに聞いた。
「そうだな、こっちで良さそうなのはサーベル・ボアの群れかワイルド・ベア1体の討伐だな」
「そのサーベル・ボアの群れって何匹なんだ?」
「ここには10匹〜15匹って書いてあるな」
その数なら初めての依頼にはちょうどいいかな。
「それならサーベル・ボアの群れの討伐でいいんじゃないか?」
俺は4人に確認を取るように聞いた。
「そうだな、それぐらいの数なら腕試しにはちょうどいいだろう」
俺と一緒にDランクの依頼を見ていたアレクがそう答える。
「私もそれで大丈夫だよ。サーベル・ボアならそこまで強くないし初めての依頼にはもってこいなんじゃないかな」
そうして使い魔であるスライムを抱きながら答えたのはサリーだ。
「私もそれで賛成です。サーベル・ボアぐらいなら私でも倒せそうですし」
アリシアもこの依頼で問題ないようだ。
「それじゃあこれにするか。ダリス、これってどうやって依頼受けるんだ?」
俺は経験者であるダリスに聞いた。
「それなら受付の人に見せれば受注してもらえるぞ」
俺はダリスから依頼受注のやり方を聞き受付の方へ体を向けた。どうやら今日はメイさんがいるようだ。
お、今日はメイさんいるっぽいな。知らない人だとちょっと緊張するし良かった。
「メイさん、こんにちは。このクエスト受けたいんですけど」
「あぁ、レオさん。こんにちは、確認しますね」
俺はメイさんにサーベル・ボアの群れの討伐依頼書を渡した。
「今回はソロでの受付でよろしいですか?」
「いや、5人パーティーで受けます」
「その場合はパーティーを組まなければならないのでこの紙にリーダーの名前とパーティーメンバーの名前を記入していただけますか?」
なるほど、パーティーを組むにも申請が必要なのか。てことは解散する時もまた書かないといけないのか?それだと少し面倒だな…
「あの、これって解散する時もまた何か書かないといけないんですか?」
「いえ、1度パーティーを組んでしまえば毎回依頼達成後に書類を書く必要は無いので大丈夫です」
うん、それならいいかな。パーティーリーダーについてはみんなと相談するか。
俺はみんなの元へ行きパーティーリーダーを決めなければいけないことを伝える。そしてリーダーは多数決で決めることになった。
「パーティーリーダーか、実力で言えばレオだと思うがな」
「いや、そこはアレクだろ!代表選抜戦の時も仕切ってたし!」
いきなり指名を受けてしまった俺は必死に対抗した。すると
「私もアレク君でいいと思うなぁ。そう言うの似合いそうだし」
理由はあれだがサリーも俺に賛同してくれた。
「そうか?仕切るなら敵の位置がわかるレオが適任な気もするが」
ダリスはどうやらアレク側らしい。ダリスの野郎、顔が笑ってやがる!あの顔は絶対に俺にやらせたいだけだ!
そうしてレオ派とアレク派に綺麗に分かれ最終決定権はアリシアに委ねられた。
「えっと、私も、リーダーはレオ君にやってもらいたいです」
なっ!アリシア!?
期待していたアリシアの答えは予想とは逆の物で結局俺はリーダーに決まってしまい他の4人は直ぐにパーティーメンバー欄に自分の名前を書いてしまった。
「はぁ、まぁ多数決なら仕方ないか」
俺は諦めリーダー欄に自分の名前を書きメイさんの所へ持っていった。
「はい、リーダーはレオさんですね。確認しました。依頼はサーベル・ボアの群れの討伐でよろしかったですか?」
メイさんの問に俺はうなずく。
「かしこまりました。それでは、お気をつけて頑張ってくださいね!」
そうして俺達はメイさんに送り出してもらい。依頼書に書いてあった森まで向かう。その森は王都の東門から出てすぐの森だったため急げば今日中には終わるだろう。
俺はギルドの端で
あの後東門付近に移動した俺達は森まで走ってきていた。東門から目的の森までは馬車でも10分程度のため身体強化を使って走れば20分もかからずに到着するのだ。
森に着いた俺は早速魔力探知を使い近くにサーベル・ボアがいないか確認する。
「どうだ、レオ。反応はあるか?」
「うん、あるよ。それも2体。右に20mぐらい進んだところと左に40m進んだ辺りに1体ずつ。それより奥はもう少し入ってみないと分からないかな」
俺は魔力探知に反応したサーベル・ボアの位置を4人に伝えた。
「十分だ。右の目標は俺がやろう」
「それじゃあ左は私が行こうかな」
そう言ってアレクとサリーが前に出た。
「あ、そうだ。みんなせっかくだから今日契約した使い魔達にも協力してもらわないか?」
俺がそう提案すると4人とも俺の提案に乗ってくれた。そして前に出た2人は早速自分の使い魔を召喚し一緒に目標のサーベル・ボアの元まで走った。
先に戦闘が始まったのは距離の近かったアレクの方だ。
「あいつか、ホーク」
アレクがホークを呼ぶとホークは静かにアレクの肩に止まった。
「あの魔物の左右に風魔法を放てるか?」
「クァッ!」
主であるアレクの頼みにホークは答えた。そしてアレクの肩から羽ばたき目の前のサーベル・ボアに向かって
自分目掛けて魔法が飛んできている事に気づいたサーベル・ボアは横に逃げようとするが
「上出来だ!」
サーベル・ボアが戸惑い動けずにいる間にアレクは目標との距離を縮め風の刃で首を切断した。
「まぁ、この程度の魔物ならこんなところか」
そう言ってアレクはちょうど今到着した3人と共に次の目標を目指す。次の獲物は左前方20mの辺にいる。こいつはサリーが相手するようだ。
「いい、みんな。あそこの魔物をみんなで囲って同時に魔法を撃ってくれる?」
サリーの要望にスライム達はプルんと体を揺らし答え、目標に気づかれないよう茂みの中をぴょんぴょんと飛び跳ねて進んで行った。
「なんかこれから起こることを考えず今の光景だけを見ると凄い和むな」
俺は思ったことを正直に口に出した。
「サリーのスライムちゃん達可愛いですよね」
アリシアもどうやら似たような事を思っていたらしい。俺とアリシアがそんな事を話しているとどうやらスライム達がサーベル・ボアのを囲める位置に着いたようだ。
「よし、それじゃあお願い」
サリーがそう合図するとスライム達は息の合った同時攻撃を見せた。
四方の茂みからいきなり魔法が飛んできたサーベル・ボアは当然驚いている。だが魔法が四方から飛んできているため逃げようにも逃げられないようだ。そしてスライム達の放った魔法は全て目標に着弾した。
「レオ君、どう?倒せたかな」
サリーが俺に確認してきたため俺は魔力探知を使いサーベル・ボアが生存しているか確認する。どうやらしっかりと倒せているようだ。
「うん、大丈夫。反応は消えてるよ」
「そっか、みんなありがとう。戻ってきていいよ」
そうしてサリーがスライム達を呼び戻すと4体のスライムは嬉しそうに茂みの向こうから飛び出してきた。
「はうぅ、やっぱり可愛いぃ〜」
俺の隣でサリーに駆け寄るスライム達を見ていたアリシアは可愛さのあまり手をぶんぶんさせていた。
俺からしたらアリシアも負けないぐらい可愛いけどな〜
その後少し進むと50m程先に開けた場所がありそこに6体のサーベル・ボアがいた。次は俺達の番だ。俺とアリシア、ダリスはそれぞれ使い魔を召喚した。
「よし、次は俺達の番だな。ニア!」
「ガウッ!」
「頑張りましょうねルカちゃん!」
「キュイ!」
「2体いるから1体ずつだな!」
「グオォ」
どうやらみんな初戦闘で張り切ってるみたいだな。
最初に動いたのはダリス達だ。ダリスは身体強化をかけてランドはそのまま同時に目標目掛けて走り出し魔法で牽制しながらサーベル・ボアに接近した。
「ウラァッ!」
「グオッ!」
そしてあろう事かどちらも目標に近づいたと思ったらそのまま殴り、吹っ飛ばした。
「うわ、いくら弱いと言っても魔物だぞ?普通の動物よりも耐久力は高いはずなのにそれを殴って吹っ飛ばすとかどんな筋力してんだよ…」
その主と使い魔の息の合った行動に俺とアレクは引いておりアリシアとサリーは苦笑いを浮かべていた。
「おっと、あいつらに気を取られてる場合じゃないな。俺達も行くぞニア」
「ガウッガウッ!」
そうして俺は
「ニア、今の内に火魔法で攻撃してくれるか?」
「ガウッ、ガァッ!」
ニアは俺の指示に従い口から自分の体と同じぐらいのサイズの
俺は2体のサーベル・ボアの反応が消えているのを確認するとニアを抱えて撫でてやった。
「よくやったな、ニア。上出来だぞ」
「ガウゥ!」
残りはアリシアだな。
「アリシア、大丈夫そう?」
「はい!ルカちゃんも手伝ってくれるので大丈夫です!」
そう言ってアリシアは詠唱をし目標に体を向け使い魔のルカちゃんと同時に魔法を放った。
「貫け、『
アリシアは代表選抜戦前から新技の練習で氷魔法を使っていたためその氷魔法は以前とは比べ物にならない程協力になっていた。
アリシアとルカちゃんの放った魔法はどちらもサーベル・ボアを捉え見事命中。しっかりと倒していた。
「レオ君!倒せました!」
「あぁ、見てたよ。魔法の威力も前より格段に上がってたね」
「はい、これもレオ君と一緒に新技の練習をしていたおかげです!」
そう言ってアリシアはニッコリと笑っていた。主人が嬉しそうなのに気づいたのか隣ではルカちゃんも嬉しそうに空中でクルクルと回っていた。
その後も俺達は順調にサーベル・ボアを討伐していき15体目を倒したところで依頼の数に達したためギルドに戻ることにした。
こうして俺達の初めての依頼は大成功に終わった。
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