第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 二十話 召喚しました。


 数日後、俺達はそれぞれポイントを貯め全員Dランクまで上がっていた。今は教室で討伐系の依頼を受けに行こうと5人で話していたところだ。


「そう言えばEランクの依頼は採取系しか無かったけどDランクはどうなんだ?」


 俺は気になっていたことを5人の中で1番冒険者歴の長いダリスに聞いた。


「さっきも話したが討伐系の依頼はDランクから受けれるんだ。まぁ内容は弱めの魔物の討伐だけどな」


「弱めって言うとゴブリンとかスライム辺りかな?」


 そう聞いたのはサリーだ。


「よく見かけるのはその辺だな。まぁ俺達ならそこまで苦戦はしないだろ」


「Cランクになるとまた変わってくるのか?」


 次に質問をしたのはアレクだ。


「あぁ、Cランクになると中型の魔物の群れとかそこまで強くない大型の魔物1体の討伐とかだ。あとはCランクから護衛依頼も出てくるな」


 なるほど、大体の依頼の仕組みはわかったな。


「それじゃあ最初はゴブリン辺りにするか。早速今日行くか?」


 俺の提案に全員今日は大丈夫と言うことで放課後ギルドに行くことにした。


 俺達の話が一段落したところでメルト先生が教室に入ってきた。今日は魔法学の授業だ。俺達はそれぞれ自分の席に戻る。


「そう言えば、今日の授業って何やるんだっけ?」


 俺は隣の席のアリシアに今日の授業について聞く。


「今日は無属性魔法についてです。ちゃんと先生の話聞いていないとダメですよ!」


 アリシアに怒られてしまった。まぁ怒ってる顔も可愛いんだけどね!


「ごめんごめん、次からは気をつけるよ」


「もう、ちゃんと反省してくださいね?」


 俺はうなずいた。俺とアリシアがそんなやり取りをしていると先生が話し始めた。


「今日は前回言った通り無属性魔法について教える。全員知ってると思うが無属性魔法には多くの種類がある。中でも一般的によく使われるのは『身体強化』『魔力弾バレット』『回復魔法ヒール』『付与魔法エンチャント』『防壁魔法シールド』この5つだな」


 先生は黒板に5つの魔法の名前を書いた。


「と言っても回復魔法ヒールは人によって得意不得意があるだろう。これに関しては一般的に使われると言うより知られているだな、使える奴の方が少ない」


 俺は先生が黒板に書く内容をノートに移していく。


「それ以外でも魔力弾バレット防壁魔法シールドをそのまま使う場合は少ない。大体属性を加えた方が強力だからな。この5つの中でいえばそのまま使うのは身体強化と付与魔法エンチャントぐらいだろう」


 確かに魔力弾バレット防壁魔法シールドをそのまま使う事はほとんど無いな。


「なので、今日教えるのは今上げた5つの中のどれでもない、召喚魔法だ。」


 先生がそう言った途端にクラスから小さい感性が上がった。


「全員知ってると思うが召喚魔法についても一応説明しておこう。と思ったが辞めた、そうだな誰かに答えてもらうか。それじゃあ…授業始まった後も喋ってたレオ。召喚魔法とはなんだ?」


 急に先生に指名されてしまった。


「えぇっと、召喚魔法とは専用の魔法陣を書き魔力を流すことで契約する魔物を召喚する魔法。契約した魔物は自身の使い魔となりその後は魔法陣を使わずに好きな時に呼び出せるようになる。であってます?」


 不安げに俺は先生に聞いた。


「チッ、正解だ本当に無駄に頭はいいな。今後は気をつけろよ」


 あの人今舌打ちしなかったか!?あと無駄にってなんだよ!それでも教師か!


「召喚魔法についてはレオが説明した通りだ。専用の魔法陣を使い魔物と契約し使い魔とする。今日はこの後全員それを実際にやってもらおうと思う」


 先生がそう言うとさっきの数倍の感性がクラスから上がった。まぁ使い魔は魔導師の夢でもあるからね。




 その後俺達Aクラスの生徒は前に詠唱魔法を練習した時と同じ第1演習場に集合していた。


「今からこの召喚魔法専用の魔法陣が書かれた紙を渡していく。全員に渡し終わったら俺の合図で魔力を流し始めてくれ」


 そうして先生が全員に魔法陣の書かれた紙を配り始めた。


「全員配られたか?それじゃあ最後に1つ。召喚される魔物は自分と相性のいい魔物が選ばれる。これからずっと一緒に生きていくパートナーとも呼べるような奴だ、大事にしろよ」


 そう言えば、先生の使い魔ってどんな魔物なんだろ う?授業が終わったら聞いてみるか。


「それじゃあ、各々始めていいぞ」


 先生のその合図でみんな魔法陣に魔力を流し始めた。周りに合わせ俺も魔法陣に魔力を流し始める。


(さーて、俺と契約してくれる魔物はどんな奴かな〜)


 俺は期待に胸を膨らませて、魔力を流し続け魔物が召喚されるのを待った。そうしてついに魔法陣が光りその中心から小さな魔物が召喚された。


「ガウッ!」


 えっと、この魔物は…


「おぉ、小さいが獅子の魔物かお前にピッタリなんじゃないか?」


 横からそう声をかけてきたのはメルト先生だ。


「やっぱりそうでよね。でも獅子の魔物ってこんなに小さいのいましたっけ?」


「恐らくまだ子供なんだろう。子供の魔物が召喚されるのは珍しいがこれからもっと成長していくって考えればいい事なんじゃないか?」


 なるほど、こいつはまだ子供なのか。確かに、それなら今後成長するかもしれないな。


「それに、子獅子の魔物はやんちゃだって聞いた事があるからなお前と相性はいいんじゃないか?」


「それ、絶対褒めてないですよね?」


「さぁな、あと、名前付けてやれよ」


 そうだった。契約する以上名前を決めないとな。


「うーん獅子か、獅子の魔物って言えば獅子王キング・レオンだよな…よし、お前の名前は今日からレオジュニアだ!でも、それだと呼ぶ時に長いか…」


 名前は決めたものの呼び方を悩んでいると。


「呼ぶならレオジュニアを略してニアでいいんじゃないか?」


 離れたところにいたアレクが俺の方へ来ていた。


「おぉ!それいいな!よろしくな、ニア」


「ガウッガウッ!」


 どうやら気に入ってもらえたみたいだ。


「そう言えばアレク、お前はもう契約したのか?」

 

 アレクの周りに使い魔らしき影が見えないため俺はそう聞いた。


「あぁ、バッチリな。来い、ホーク!」


 アレクが呼びだすと小さな風が渦巻く。その中から呼び出されたのは鷹の魔物だった。


「鷹か、なんかお前っぽいな」


「なんだ、その雑な感想は…」


 そうして俺とアレクが話していると他の3人も魔物と契約したらしく俺達の所へやってきた。


「皆も無事に契約できたのか?」


「あぁ、俺のはこいつだ」


 そう言ってダリスが呼び出したのは主人と同じぐらいの大きさはあるだろうかと言うぐらいの中型の熊だった。


「これは…熊か?」

「熊だな」

「おう、熊だ。名前はランドって言うんだぜ!」


 先生が召喚される魔物は自身と相性がいいって言ってたけど。なるほど、そういう事か何となくわかったぞ。


「アレクの時も思ったけど。なんかダリスっぽいな」


「あぁ、俺も先生の言っていたことがわかった気がするよ」


 どうやらアレクも俺の同じことを思ったようだ。


「そうだ、アリシアとサリーはどうだった?」


「私はこの子でした。おいで!」


 アリシアが使い魔を召喚すると水の球体が現れ中からイルカの魔物が出てきた。


「へぇ、イルカか。この子も何となく雰囲気がアリシアに似てるね。名前はなんて言うんだ?」


「ルカちゃんです。レオ君の子はなんて言うんですか?」


「こいつはレオジュニアって名前にしたんだけど長いからニアって呼んでるよ」


「ニアちゃん…可愛いぃ〜」


 そう言ってアリシアはニアを持ち上げ抱きしめた。


「ガウゥ〜」


 あんにゃろう、嬉しそうな顔しやがってぇ…


「そう怒るな、使い魔は子供みたいなものだろう。親が子供に嫉妬してどうする」


「別に嫉妬なんてしてないけどねっ!」


「はぁ、まぁそう言うことにしておいてやる」


 そう言う事も何もしてないからね!


「それより、サリーは何が召喚されたんだ?さっきから一言も喋っていないが」

 

 そう言えばさっきから一言も喋ってなかったな。


「えっと、私のは…」


「達?それって何体もいるってこと!?」


 ひとつの魔法陣で何体も召喚されるのは知らなかったな。


「それじゃあ、呼ぶね?みんな、おいで」


 そう言ってサリーが自分の使い魔を呼ぶと4体のプルんとした生物が現れた。


「サリー、これってもしかして…スライム?」


 そう、現れたのはスライムである。


「このスライム、それぞれ色が違うがまさか…」


「さすがアレク君。そうみたいなのこの子達それぞれ私と同じ属性の魔法が使えるみたいで」


 さっき先生も言っていた通り召喚された魔物は自分と相性がいいため使う魔法の属性も同じものの事が多いらしい。


 そう言えば、ニアはなんの属性が使えるんだ?


「ニア、お前はどの属性が使えるんだ?」


 俺がアリシアとじゃれていたニアに問いかける。


「ガウ、ガウッ!」


 俺の方に近づいてきたニアは俺の肩に乗り体を光らせた。


「お、やっぱりお前も俺と同じ光属性が使えるのか」


「ガウッガッ」


 どうやらまだ何か伝えたいらしいなんだ?


 俺がニアの行動を見守っていると今度は口から小さい火の玉を出した。


「ほう、火と光属性とは主に似て珍しい属性だな」


「へぇ、ニアちゃん2属性も使えるなんて凄いですね」


 そう言ってアリシアはニアの頭を撫でている。


 俺達が自分の使い魔を紹介していると先生がみんなの前に立ち言った。


「よし、一通り全員使い魔と契約したな。それじゃあ今日の授業はここまで。明後日は今日の復習をやったあと使い魔と一緒に魔法を使ってもらう。それじゃあ解散」


 先生の一言で生徒たちは全員教室に戻って行った。

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