第2章 四大魔法学院対抗戦 後編 十九話 冒険者になりました。
受付に着くと受付嬢の人から俺とアリシアに謝罪がされた。
「先程は申し訳ありませんでした。普段は乱闘が起きる前にギルドマスターが対処してくれるのですが今は仕事で遠方まで出ておりまして」
「怪我も無かったので大丈夫ですよ。ギルドではさっきみたいな事がよくあるんですか?」
「昔はよくあったみたいなのですが最近では少なかったため私達も油断しておりました。先程の冒険者にはギルドマスターの方からキツく言い聞かせておきます」
「そうして貰えると助かります」
受付の人にそう返して俺は今日の本題に入った。
「あの、今日は俺達4人冒険者カード登録に来たんですけど」
「かしこまりました。登録に関してはあちらのカウンターで対応しますのであちらで少しお待ちください」
「わかりました」
そうして俺達は指示されたカウンターの方で受付の人が来るまで待っていた。数分後さっきの受付の人が両手に収まるぐらいの水晶玉を持ってやってきた。
「お待たせいたしました。それでは冒険者カードの登録を始めます。最初に少し冒険者カードについて説明しますね」
俺達は受付の人から冒険者カードの説明をざっくりと教えてもらった。冒険者カードには自身の名前、ランク、属性、魔力量、所持金、が表示されるらしい。
「ランクは下からE、D、C、B、A、Sとなっています。基本はAランクが最上位になりますが大きな功績を残し国に認められた者が稀にSランクに昇格できます」
なるほど、とりあえずはAランクを目指せばいいんのか。
「この国でもSランクはうちのギルマスだけなんですよ。その実力は魔法師団隊長レベルだとか」
「なるほど、Sランクはこの国でも最強の一角に入るレベルというわけか」
「はい、そうなんです。あ、話を戻しますね!ランクは上がれば上がるほど受けれる依頼も難易度の高い物となります。その他に指名依頼と言うものを受けれるようになります」
「指名依頼、ですか?」
「はい、指名依頼とはBランク以上から受け付ける事が出来てその名の通り依頼者の方が冒険者を指名して依頼する事です。」
なるほどランクが上がれば上がるほど世間からもその実力を認められるということか。
「それでは今から冒険者登録を始めますね。まず最初にこの紙に名前と属性を書いてもらいます。その後にこの水晶に触れてもらって魔力量を測ります。最後に冒険者カードを渡すのでそれに魔力量の数値が反映されたらまた見せに来てください。その情報をギルドの方でも保管して終了になります」
「この水晶も魔法学院の魔力結晶と同じように魔力量の数値がわかるんですか?」
「いえ、この水晶では直接数値まで調べる事は出来ません。ですがこの水晶と冒険者カードは繋がっておりこの水晶に触れた後に冒険者カードに触れてもらうとカードの方に魔力量が数値として表示されるようになっています」
なるほど、この水晶と冒険者カード自体が魔道具というわけか。
「冒険者カードの方に記載されている情報は個人情報になりますのでこちらから公開する事はありませんのでご安心ください。それでは名前と属性を書き終わった人から順に水晶に触れてください」
そうして俺達は順番に名前と属性を書いた紙を提出した。
「はい、アレックスさんですねお預かりします。あれ?この名前どこかで聞いたような…あ!もしかしてあの神童と呼ばれる4属性持ちの?」
「その呼ばれ方はあまり好きでは無いがそうだな。俺で間違いない」
「噂は聞いています。なんでもあのアストレア学院でも上位の成績だとか」
「この程度で驚いていたら身が持たんぞ、この後はもっととんでもない奴がいるからな」
「そんな、アレックスさんより凄い人なんてそんな簡単にいるはずないじゃ無いですか」
そう言って受付嬢の人は微笑んでいた。
「まぁいい。実際にその目で見ればわかるだろう。次はこの水晶に触れればいいんだったか?」
「はい、水晶に触れてもらえればその後冒険者カードをお渡しした際にカードの方に魔力量が表示されます」
「わかった」
その後俺の順番が来て受付嬢の人に紙を渡した。
「はい、レオナルドさんですね。お預かりしま…なっ!光と闇属性!?こ、こんなの聞いたことも無いですよ!」
あはは、やっぱりこう言う反応されるよなー…
「まさか、貴方があのアストレア学院首席入学者の光闇属性を使うという?」
この人、さては噂好きだな?
「えぇ、多分そうですけど…そんなに噂になってるんですか?」
「もちろん、王都の学院を首席で入学した人は冒険者や軍の間では少し話題になるんです。それが今年は光と闇属性を持ってるって言うんですから例年以上に噂になってますよ」
なるほど、そうだったのか。なんか自分が軍の人達の話題になってると思うと少し嬉しいな。
その後アレク、サリー、アリシア、俺の順で水晶に触れていき全員冒険者カードを受け取った。
俺が冒険者カードを受け取るとさっきまでいた受付の方から大きな声がした。どうやら受付嬢の人がアレクの冒険者カードを確認して驚いているらしい。
「12700って、魔法師団の副隊長レベルじゃないですか!それで4属性持ちって……」
「ん?入試で測った時より10増えているな。まぁ、こんな物だろう。」
「いやいや、1万超えって魔法師団の副隊長よりも多いですからね!?」
「この程度で驚いていたらこの後が身が持たんぞ」
「ま、まさかそんな。これ以上の人が居るわけないじゃないですか〜ね、ねぇ?」
「まぁそれに関しても自分の目で見るのが手っ取り早いだろう」
そうしてサリーとアリシアも表示された魔力量を受付嬢の人に見せに行き順番に登録を終わらせていった。
「レオ君!レオ君!見てください、魔力量が入試の時より少し上がってました!」
「お、ほんとだ。10上がってるね」
「はい!レオ君はどうでした?」
「いや、俺は入試の時と変わらずだよ。小さい頃にあれだけ上げたからその反動かな」
俺はそう言って少し苦笑いをした。
「それでも、やっぱり凄い量ですね…」
「そんな事言ったらアレクの方が純粋な量だったら俺なんかより凄いよ。俺と同じ事をせずに1万を超えてるからね」
「た、確かに…そう考えてみるとやっぱりアレクくんって凄い才能の持ち主なんですね。でも、それでも私はレオ君の方が凄いと思いますよ?」
「そ、そう?」
「はい!だって、それだけ苦しい努力をしてきたんですよ?それを続けられただけで私は凄いと思います!」
「そっか、ありがとうアリシア。とりあえず俺も受付嬢の人に見せてくるよ」
「はい、こっちで2人とも待ってますね!」
「あぁ、わかった」
そして俺は受付嬢の人に自分の冒険者カードを見せた。
「はい、レオナルドさんですね。確認しま……なるほど、アレックスさんが言っていたのはこう言う事でしたか、なんかもう凄すぎて声になりませんね」
そう言って若干引かれてしまった。何故!?
「とりあえずこれで皆さんの冒険者登録は終了です。これからよろしくお願いします。皆さんのランクはEからのスタートになりますが皆さんほどの実力者ならすぐにCランクぐらいまで行っちゃいそうですね」
そう言って受付嬢の人は少し疲れたような顔をしながら笑っていた。
「あの、1つ聞いておきたいんですけど、Eランクの場合でもCランクの依頼って受けることはできるんですか?」
「いえ、受けられる依頼は自分のランクの1つ上のランクまでとなっております。なのでCランクの依頼を受けたい場合はDランクになる必要がありますね」
「なるほど、現状のEランクではDランクの依頼までしか受けられないということか。その下に制限は?」
「いえ、自身より下のランクのクエストに関しては制限は無いですね。と言ってもCランク以上の人がDランク以下の依頼を受けることはあまりないですが」
確かに、Cランクの依頼が達成できるならわざわざそれより低い報酬の依頼を受けることはないか。
「あ、ちなみにパーティーを組んだ場合はメンバーの過半数のランクが反映されるのでCランク3人Dランク2人などで組んだ場合そのパーティーのランクはCランクとなります」
お、それはいいな。パーティーを組めば難易度の高い依頼でも達成しやすくなるし、何よりみんなで依頼を受けることができる。
「そう言えば、ご挨拶がまだでしたね。私の名前はメイ。このギルドの受付嬢をしています。依頼を受けに来た際に私が居れば対応させていただきます」
「はい、今日はありがとうございます。それじゃあ、また今度依頼を受けに来ますね」
「はい、よろしくお願いします」
そうして俺達は冒険者となり、ギルドを出た。
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