第2章 四大魔法学院対抗戦 前編 九話 思わぬ攻撃を食らいました。


 俺が屋敷に帰ると庭の掃除をしていたカレンが出迎えてくれた。


「お帰りなさいませ、レオ様。そう言えば王城からレオ様宛にお手紙が届いていましたが何かあったんですか?」


 あの後アリシアも王城から手紙を送られるはずって言ってたけど、もう届いてたのか。


「ただいまカレン。それについては俺も今日アリシアから話を聞いたんだ。どうにも国王様が俺に会いたいらしくて」

「国王様が?」

「ほら、1ヶ月くらい前に王都の前で魔物に襲われてるアリシア達を助けたろ?その件についてお礼がしたいみたいなんだ」

「なるほど、そう言う事でしたか」

「とりあえずアラン兄さんにもこの事を伝えてくるよ」


 そう言って俺はアラン兄さんが居るという書斎に向かった。

 アラン兄さんに王城に行くことを伝え終えて俺が部屋に戻ろうとするとアラン兄さんに引き止められた。


「ちょっと休んでいかないか?俺も今から少し休憩しようと思ってたんだ」


 アラン兄さんとゆっくり体を落ち着けて話せるのは夕飯の時ぐらいしか無いからな少しぐらいならいいか。


「うん、そうさせてもらうよ」

「最近学校はどうだ?」

「楽しくやってるよ、友達もできたしね」

「そっか、それなら良かった」

「アラン兄さんは?もう仕事も慣れた?」

「うーん、まぁぼちぼちな。まだ分からないことだらけでみんなに手伝って貰いながら何とかやってるよ」


 そう言ってアラン兄さんは優しく微笑んだ。そうして出されたお茶を飲みながら2人で久しぶりの談笑を楽しんでいると書斎の扉を叩きカレンが入ってきた。


「お話中の所申し訳ありません。夕飯の準備ができた様なのでお呼びにまいりました」

「あぁ、ありがとう。今行くよ。そうだ、レオ王城に呼ばれたこと一応父さんにも報告しておいた方がいいぞ」

「そうだね。夕飯を食べた後にでもあっちの屋敷に行ってみるよ」


 そうして俺はアラン兄さんと共にリビングへ向かった。


 夕飯を食べた後、俺は国王に呼ばれたことを父さんに伝えるためリヴァイス家領地の屋敷に来ていた。

 本来なら王都から実家の屋敷までは馬車で1時間程かかるが『転移門ゲート』の魔法を使えば1分もかからずに行くことができる。


 屋敷の扉を開けて入るとエントランスにはちょうどノアが居た。


「レオ様!ご帰宅なされたのですか?」

「いや、父さんに伝えておくことがあってね。それが終わったらすぐ帰るよ」

「そうですか、お父様なら書斎にいらっしゃいます」

「わかった。ありがとう」


 俺は書斎に向かいドアを叩いた。


「父さん、レオだけど。今大丈夫?」

「!レオか、入っていいぞ」

「失礼します。父さん、今日は伝えとこうと思った事があって」

「?どうした、何かあったか?」

「いや、俺に何かあった訳じゃないんだけど…実はさ」


 そうして俺は、父さんに1ヶ月前アリシア達を助けたことやその件でお礼がしたいと王城に呼ばれたことを話した。


「なるほど。事情はだいたいわかったが、レオ?父さんアリシア様を助けたなんてそんな話何も聞いてないんだが?」

「あれ、言ってなかったっけ?」


 そう言えば、屋敷の事とかで忘れてて父さんにはなんだかんだ言ってなかったな…


「まぁいい、もう夕飯は済ませたのか?」

「うん、あっちで食べてきたよ。今日はこの件を伝えに来ただけだから」

「そうか、気をつけて帰れよ。と言ってもお前の魔法なら心配ないと思うが。あと、アランにも落ち着いたら顔を出すよう伝えておいてくれ」

「わかった、アラン兄さんに伝えておくよ。それじゃ」

「あぁ、またな」


 そう言って俺は書斎から出ると転移門ゲートを開き王都の屋敷に帰った。


 翌日、今日は2回目の魔法学の授業だ。前回は自己紹介とかこの授業に着いてや今後の授業の進め方でなんだかんだ終わってしまった。


 本格的な授業は今日が最初だし、楽しみだな〜

前回は魔法陣と詠唱についてから始めるって言ってたけど…


 そこで授業開始のチャイムが鳴り眠そうな顔をしてメルト先生が入ってきた。


「全員揃ってるな、それじゃ授業始めるぞ〜

今日は前回言った通り魔法陣と詠唱についてだな。まずは魔法陣から始める。早速だが、魔法陣には2つの種類がある。その使用方法と違いについて…アルカードわかるか?」

「はい」


 指名されたアレクは全員に聞こえるようにその使用方法と違いを説明した。


「魔法陣には攻撃の際に使う魔法陣と武器やアイテムに魔法を付与エンチャントする際に使う魔法陣があります。」

「正解だ。それで違いは?」

「この2つの魔法陣の大きな違いは書いてある術式にあります。攻撃に使用する魔法陣には魔法を安定させ操作しやすくするための術式が付与エンチャントに使う魔法陣には魔法を固定、定着させるための術式。この術式の違いが2つの魔法陣の大きな違いです。」

「完璧だ。まぁこれに関しては基礎中の基礎だからなこの学院に合格した者に限らず一般人でも大抵の人は知っているだろう。じゃあ次は…」


 そうして先生は次の問題を黒板に書き始めた。


「それじゃあ次は詠唱についてだ。詠唱はそれを行うことで使用する魔法の威力を上げ大きさを操作することだ。それじゃあ、なぜ詠唱をすると威力が上がり大きさを変えられるか。リヴァイス答えてみろ」

「はい、魔法とは使用者のイメージによってその威力や大きさが変わります。イメージが明確であればそのイメージが魔法にも反映され、大きさや威力が変わります。詠唱は基本自分のイメージがしやすい様に工夫して行い短いほど難易度が上がるとされています。」

「正解だ。魔法陣と詠唱については2人に説明してもらった通りだ」


 問題を答えた俺は席に座る。そうすると隣のアリシアから肩を叩かれ呼ばれた。


「レオ君、詠唱が短いと威力や大きさが低く小さくなるのは知ってるんですけど、それなら短い方が詠唱自体は簡単ですよね。どうして難しくなるんですか?」

「それについては今から先生が説明すると思うよ」


 俺がアリシアにそう伝えると先生がその説明を始めた。


「今リヴァイスが言っていたが詠唱は短くなる程難しくなる。一般的には詠唱が短いと威力は低く大きさは小さくなるため簡単だとされているがそれは正確ではない。」

「確かに短ければイメージはしずらい。だがそれを踏まえてしっかりとしたイメージが出来れば短くより強力な魔法が使えるということだ。」

「こないだのリヴァイスとベリスの模擬戦を見ていたやつならわかると思うがこの2人は1度も長文詠唱をしていない。」


 そう、俺とブリッツはあの模擬戦で1度も長文詠唱をしていない。

 その理由は詠唱を必要としない無属性魔法や付与エンチャント魔法を多様していたこともあるが普通の魔法を使う場合でも2人とも短文詠唱で魔法を使っていたからだ。


「2人を含めこのクラスにも何人か短文詠唱が出来る奴がいるだろう苦手な奴はそいつらに聞いてみるのもいい勉強になるかもな」


 まぁ詠唱にはその人の英称のしやすい型みたいなのがあるからな個人差はあれど骨みたいなのは教えられるだろう。


「レオ君、今度私にも短文詠唱を教えてくれませんか?私詠唱は少し苦手で…」

「あぁ、俺なんかで良ければいつでも教えるよ」

「ホントですか!ありがとうございます!」

 

 そうして俺がアリシアに短文詠唱を教えると約束をすると早速その場はやってきた。


「それじゃあこの後は今習った事を演習場で実践してみるか。全員5分後に第1演習場に集合するように」


 先生はそう言って教室から演習場へ向かった。

先生が教室を出た後それに続くように他のクラスメイト達は皆一斉に演習場へ向かい始めた。


「ちょうどいい機会だからこの後一緒にやってみようか」

「はい!お願いします!」


 俺がアリシアにそう提案すると満面の笑顔で返事をしてくれた。


 うっ!今の笑顔は少し破壊力が強すぎる…


 そうして俺はアリシアの思わぬ攻撃に耐えながらずっと俺たちのやり取りをニコニコと笑って見ていたサリーとアレクとダリスを誘い5人で演習場へと向かった。

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