第1章 入学編

第1章 幼少期編 一話 夢


 儀式が終わった後、一先ず俺達4人は教会を後にし屋敷へと帰った。


 俺は家に着くとぐったりとしたまま部屋へと向かいベッドへと飛び込む。


 あの後教会で復活した兄さん達に質問攻めにされたがその場は夕食の時に詳しく話そうと言うことで何とか父さんが収めてくれた。


 じゃあ何でそんなにぐったりしてるのかって? 問題はその後だ。


 父さんがその場を収めてくれた後それに納得した兄さん達が次に何をしたかと言うと俺を盛大に褒め称えてくれた。

 それだけならまだいいのだがその時同時に方を組まれたり頭をわしゃわしゃされたり最後には神父さんも混じって胴上げまでされてしまった。

 年の離れた兄さん達2人と大人である神父さんにそうされたことにより現在俺の頭の中は2つの意味でぐちゃぐちゃだ。


 


「まさか胴上げまでしてくれるなんて……嬉しいけど3人とも高く上げすぎだよ。おかげでただでさえ頭の中が整理しきれずぐちゃぐちゃだったのに物理的にもぐちゃぐちゃになった気分だ」


 とりあえず夕飯まで時間もあるし少し寝よう。起きた頃にはこの頭痛も収まってるだろうし。

 この魔法で何ができるのか少し試したかったけど今はその元気も無いや……


 そうして俺は布団を被り目を閉じた。


 ◇◆◇◆◇◆


  微睡みの中聞き覚えのある声が聞こえた。

 何度も耳にしたことのある声だ。

 その声に呼ばれている気がして俺は目を覚ました。


「――オ様、レオ様!起きてください。お夕飯の準備ができましたよ」

「うぅ、カレン? わざわざ起こしに来てくれたの?」


  この子はカレンうちで働いているメイドさんだ。

 まだ若いのによく働いてくれていると母さんたちもよく感謝している。いつも優しく接してくれて俺にとってはお姉さんみたいな存在だ。


「もちろんです、それが私の役目ですから!」


 そう言ってカレンは誇らしげに胸を貼る。


「もうみんな集まってるの?」


「はい、皆様もう集まっていますよ。だから早くベッドから出てください」


 俺はカレンに両手を引っ張られベッドから引っ張り出されるが起きたばかりだからか上手く立てずよろけてしまう。


「うわっ!」

「もう、大丈夫ですか? 手繋ぎましょうか?」


 カレンは心配してそう言ってくれるが流石に手を繋いで皆の所に行くのは少し恥ずかしいため断った。


「うぅ、ついこの間までは繋いでくれたのに。レオ様の成長が嬉しいようで悲しいよぅ……」

「何してるのカレン、置いてくよー」

「い、今行きますから! ちょっと待ってくださいぃ〜!」


 僕が急いで食堂に向かうと既にみんな座って準備ができていた。

 そして僕が座ると父さんがゆっくりと話し始める。


「皆揃ったな、それじゃあ食べようか」


 父さんの合図でその場の全員が同時に手を合わせ食事を始める。

 

「そう言えば、レオちゃんの魔力属性はどの属性だったの?」


 夕飯を食べ始めて少したった頃母さんが俺達4人に聞いてきた。


「その事なんだが俺達もびっくりしたよ。何しろレオの属性が光と闇だったんだ!」

「「えぇ!?」」


 父さんがそう返すと質問をした母さんと俺の隣に座っていたカレンが同時に声を上げた。他の使用人の人達は兄さん達と同じ反応をしている人や小さく感性をあげる人等その反応は様々だ。


「1つでも希少なのに。凄いわレオちゃん!」

「さすがレオ様です!」


 ちょうど対面の席に座っている母さんは大喜びだ。カレンなんて思いっきり抱きついて来ている。これはこれで嬉しいけど苦しいし恥ずかしいからやっぱり今すぐ辞めて欲しい……


 その後も使用人の人達からも祝福の言葉を貰い父さんや兄さんたちも改めて祝福をしてくれた。


「皆……本当にありがとう!」


 その日はそのまま誕生日のお祝いも兼ねた小さなパーティーとなった。

 パーティーが進む中俺は父さんにこれからやりたいことを話す。


「父さん、俺これから少しずつこの魔法で何ができるのか試してみたいんだ。魔法についてももっと勉強して15歳になったら魔法学院に入りたい! これから必死に努力して魔法師団に入って父さんみたいな立派な魔法使いになる。それが俺の夢なんだ」


「レオ……そうか、お前ってやつは本当によくできた息子だよ。お前は我がリヴァイス家の誇りだ!」


 そう言って父さんは泣き始めてしまう。

 父さんにつられたのか母さんとカレンまで泣き始めてしまってその場の収拾がつかなくなりそうなので今日はお開きとなった。


  一方その頃アラン兄さん達はと言うと


「俺達も置いていかれないように頑張らなきゃな。ロイス」

「そうだね兄さん、弟には負けてられないよ。と言っても家の事は長男の兄さんに任せて俺は軍を目指すけどね」

「な、それはないだろロイス! 今の流れは一緒に頑張っていこう! って感じだったじゃないか!」

「俺は体を動かす方が好きだから。書類仕事はごめんだよ」

「そ、そんなぁ……」

「ははっ、まぁ何はともあれ弟があんな凄い才能を持っていてくれて良かったよ。俺達は魔法の才能は無かったから」

「あぁ、そうだな。レオのこれからの成長が楽しみだ」



 ◇◆◇◆◇◆



 夕食の後部屋に戻った俺はさっきまで寝ていたこともありまだ眠れずにいた。


「必死に努力するとは言ったもののまずは何からやろう。とりあえず光魔法と闇魔法については基本属性よりも分からないことが多いし色々試してみるしかないよなぁ」


 そんな事を考えていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。

 こんな時間に誰だろう? 父さんと使用人の人達はまだ食堂で飲んでいたし母さんも妹を寝かせなきゃいけないから違うだろう。


「入っていいよ」

「失礼します。部屋の明かりが付いていたので、まだ起きていたんですか? レオ様」


 そう言って入ってきたのはカレンだった。


「今日は本当におめでとうございます」

「ありがとう、カレン」


 ちょうどいい機会だと思い俺はカレンに不安に思っていた事を聞いてみることにした。


「ねぇ、カレン。俺は本当に魔法師団に入れると思う?」

「私には魔法の一般常識程度の知識しか無いので分かりませんがレオ様ならきっと入れます。だってこんなに凄い魔法の才能があるんですから!」


 カレンにそう言ってもらえてなんだか少し気持ちが楽になった気がする。


「ありがとう。カレン俺もっとやる気が出てきたよ」

「ふふっ、私も楽しみに待ってますね。それまでレオ様の面倒は私がしっかりと見ますから!」

「うん、これからもよろしくね。それじゃあおやすみ」

「はい、お休みなさいレオ様」


 よし、カレンのおかげでやる気も出たし明日からどんどん魔法を使うぞ!


 そう意気込み今日はもう寝ることにした。

 

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