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すると白藤の宮は少しだけ不満そうに顔を膨らませて、「あら、そんなにまだ私は年老いていませんよ」と若竹姫に言った。
そんな白藤の宮を見て若竹姫は慌てて「すみません。そういう意味ではありません」と言った。
すると白藤の宮はにっこりと笑って「冗談ですよ。若竹姫」と言った。(その言葉を聞いて、若竹姫はほっと息をついて安心した)
それから白藤の宮は「ねえ、若竹姫。私と一つ、勝負をしましょうか?」と言った。
「勝負? ですか?」と若竹姫はいう。
「はい。勝負です。私とあなた。どっちがたくさんの瓜を収穫することができるか、勝負をしましょう。ね、楽しそうでしょう?」
そう言って、本当に楽しそうに笑いながら白藤の宮はいう。
(どうやら白藤の宮は畑仕事に絶対の自信を持っているようだった)
少しだけ悩んでから若竹姫は白藤の宮に「わかりました」とにっこりと笑ってそう言った。
「手加減はなしですよ」白藤の宮はいう。
「もちろんです」と若竹姫はいう。
それから二人は瓜取りの勝負をした。
それは、本当に楽しい(すごく幸せな)時間だった。
瓜取りの勝負には結局、若竹姫が勝った。
その籠の中にある明らかに自分よりも多い瓜の数を見て、白藤の宮は「私の負けですね」と言いながら、すごく(子供のように頬を膨らませながら)不満そうな顔をした。
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