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「ほら、なにぼんやりしているの? 畑仕事を始めますよ」
白藤の宮をそう言われて背中をぽん、と叩かれたところで、若竹姫はようやく曇り空を見ることをやめて、(その小さな顔を下げて)白藤の宮を見た。
それから若竹姫は「はい。わかりました」と白藤の宮にそういった。
二人は畑仕事の道具を持って、鳥の巣の庭にある小さな畑に移動をした。
畑仕事のやりかたを簡単に教わってから、若竹姫は白藤の宮と一緒に畑仕事を始めた。
それから二人は黙々と畑仕事をした。
初めてやる畑仕事は、なんだかとっても楽しかった。
「若竹姫。あなた畑仕事がとっても上手ね。あなたはもっと手が不器用な人だと思っていました」
若竹姫の畑仕事ぶりを見て、感心したような顔をして白藤の宮は言った。
「そんなことありません」
少し照れながら、頬を薄く染めて若竹姫は言った。
若竹姫は体を使うことについては少しだけ自信があった。(剣術を学んだり、武道を学んだりしていたからだ。それに体は密かに時間を見つけては都の暮らしでなまったりしないようにきちんと鍛えていた)
「私はもうだめね。すぐに腕や腰が痛くなってしまうの」
とぽんぽんと自分の肩を叩きながら、その綺麗な顔に土の色の化粧をしているように見える白藤の宮はいう。
緑色の瓜を一つ手にとった若竹姫はそんな白藤の宮を見ながら、「なら、私が白藤の宮のぶんまで働きます」と小さく笑って若竹姫はそういった。
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