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 雪が降っている。

 真っ白な雪。

 降り続く雪に覆われて、やがて世界は真っ白になった。


 若草姫は思わず足を滑らせてしまった。

「あ」

 と言ったときにはもう遅かった。

 暗い夜の中で若草姫は自分の足元に空いていた『大きな空洞』の中に落ちていった。

 落ちる。

 ……とても高い。

 どうしてこんなところに大きな穴が会いているんだろう?

 この高さから落ちたら、私は助からないかもしれない。

 もし助かっても、足を怪我してもう一歩も動けなくなってしまうかもしれない。

 そうしたら、もう木花姫に会えないかもしれない。

 そうしたらどうしよう?

 はってでも、会いに行こうか?

 大地の上を。

 まるで、……蛇のように。

 大地の上に落っこちるまでの間、その恐怖で気を失うまでの間に、若草姫はそんなことを考えていた。

 木花姫。

 ……どこにいるの?

 寂しいよ。

 苦しいよ。

 ……ひとりぼっちはもういやなんだよ。

 若草姫は泣いている。

 泣いている若草姫は、そのまま大地の上に落っこちた。

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