43 白月 私は、死者と出会う。

 白月


 ……月夜の幽霊。


 私は、死者と出会う。


 みちるはその日の夜、不思議な、不思議な夢を見た。

 みちるは夢の中で、真っ暗な闇の中にいた。

 月のない夜。

 真っ暗な闇を見上げてそんなことを早苗は思った。私は今、月のない暗い夜の中にいるのだと思った。

 周囲にはなにも見えない。

 完全な闇だ。

 みちるはそんな真っ暗な闇の中で、本当にひとりぼっちだった。

 ひとりぼっちのみちるは、月のない夜の中で、泣き始めた。……それから、みちるは、ずっと、ずっとひとりぼっちでうずくまって、小さなく、丸くなって、子供みたいに泣き続けた。

 ……くん。……くん。……くん。

 もう納得したはずだった。

 それは、自分でもわかっているはずだった。

 ……くんはもう遠くに行ってしまったのだ。私のところには、もう二度と、……くんは帰ってきてはくれないのだと、……わかっていたはずだった。

 でも、みちるは悲しくて仕方がなかった。

 だからみちるは、真っ暗な夢の中で、ずっと一人で泣いていたのだ。 

 やがて、そんなみちるのひとりぼっちの夢の中にある一つの変化が訪れた。

 泣き疲れたみちるがふと顔をあげると、涙でにじむ視界の中に、遠くにぼんやりと淡く光る小さな白い光のようなものがみちるの目に写り込んだ。

 みちるは、あれはなんだろう? と疑問に思って、それから、なんとなく、その淡い白い光のところまで行ってみることにした。

 深い闇の中をみちるはそうして、一人でぼんやりとしながら、ふらふらとした足取りで歩き始めた。

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