36 百目の鬼。獣姫。
百目の鬼。獣姫。
見るものの思考によりその姿を変える鬼。幽霊。
白い幽霊の女の子はみちるを見て妖艶な笑みで笑い続けている。
みちるの知っている女の人のどの顔にも似ているように見える、(まるでゆらめいている陽炎のように、あるいは小さなろうそくに灯った火のように、その顔はゆらゆらとあらゆるみちるの知っている女の人の顔に変化する)そんな幽霊の女の子の顔を見ていて、ふとみちるは、この幽霊の女の子は、あの都で噂の『百目の鬼』なのではないか? ということに気がついた。
百目の鬼。
または『百目の獣姫』と呼ばれている、最近、都にある宮中を騒がせている不思議な鬼の女の子のこと。
見るものの心の中にある人の顔の形に変化をする顔を持たない不思議な鬼。
この鬼は人の魂をあの世に連れて行く鬼とされている。
……刀。
刀はどこに置いておいたっけ?
そんなことをみちるは思考する。
そういえば刀はお風呂に入るときに、囲炉裏のある部屋のすみっこのところに、荷物と一緒においたままになっていたはずだ。
そんなことを思い出して、自分の刀の差していない腰のあたりに手を回しながら、しまったな、と小さく笑ってみちるは思った。
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