33 幽霊 幽霊と出会う。

 幽霊


 幽霊と出会う。


 白い幽霊の女の子とみちるが出会ったのは、そんな眠れる鳥の巣の夜の時間の出来事だった。

 みちるが何者かの気配を感じて目を開けると、襖のところに一人の人間の形をした薄い黒い影があった。

 小さな子供の影。

 その影を見つけて、みちるはそっと音を立てないように気をつけながら布団の中から抜け出すと、ゆっくりとその影のあるところまで歩いて近づいていった。

 隣の布団の中では白藤の宮がすーすーと、とても気持ちの良い寝息を立てながら、ぐっすりとした深い眠りについていた。

(その白藤の宮の寝顔を少しだけ見つめてから、しばらくの間、体の動きを止めていたみちるはまた歩き出した)

 ……影はいつまでもその場所にあった。

 誰だろう?

 私の知っている子だろうか?

 そんなことをみちるは考える。

 みちるは襖のところまでたどり着いた。

 それからそっとその襖を開けようとして、襖の取手のところに手をかける。すると、そのみちるの動きに反応するようにして、影がゆっくりと動き出して、奥の間のとこから移動を始めた。

 みちるは慌てずに、そっと襖を開ける。

 それから顔だけを出して外の様子を確認した。

 すると、外はみちるの予想以上に明るかった。

 いつの間にか雨は上がっていて、空は晴れ、そこにはみちるがずっと見たいと思っていたとても明るい月と、空を埋め尽くすようなたくさんの星があった。

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