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鳥の巣の小屋全体が上質な桐で作られているお風呂場はとてもいい匂いがした。(とても腕の良い都の宮大工さんが作ってくれたらしい)
新鮮な木の匂い。
それから贅沢なお湯の匂い。
白い湯気の中で、自分の体を丁寧に手ぬぐいで洗いながら、気持ちいい、とみちるは本当に心の底からそう思った。
四角い桐のお風呂の中にあるお湯はとてもちょうどいい湯加減だった。白藤の宮がみちるが今日、鳥の巣を訪れると知っていたから、きっと朝早くからいろいろとみちるをもてなすための用意をしてくれていたのだろう。この贅沢なお風呂もそのうちの一つだった。
体を洗い終えたみちるは、そっと湯船の中に手を入れて、そんなことを考える。
それからみちるは白藤の宮に感謝をしながら、湯船の中にその体をゆっくりとその足先から浸かっていった。
みちるがお風呂場まで移動するとき、まだ雨は降っていた。
(だけど、ずいぶんと雨は小雨になっていた)
白藤の宮がお風呂場に移動するときには、雨が止んでいるといいな、とそんなことを肩まで湯船に浸かりながら、みちるは思った。
それからみちるはお風呂場の格子状の窓から、雨の降っている夜の森の風景に目を向ける。
雨はまだ止んでいない。
……だから森の夜の空にはみちるの大好きな月も、星の光も、今はまだみることができなかった。
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