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 それは本当に立派なお魚(鮮やかな橙色をした大きな鯛)だった。

 そのお魚を見て、みちるは目を丸くして驚いた。(いったい、こんな森の奥で、どうやってこんなに立派で新鮮な鯛を白藤の宮は手に入れたのだろう? それがとても不思議だった)

「どうです? すごいでしょ?」

 大きな鯛を両手に持ってみちるに見せながら、にっこりと笑って白藤の宮はいう。

 どうやら白藤の宮はこの立派な鯛のお魚を見せて、初めからみちるを驚かせようと思っていたようだ。

 自分の思い通りに(いつも無表情の、あまり自分の感情を顔に出さない)みちるが驚いているので、白藤の宮はとても満足したような顔をしている。

「こんな立派なお魚、どいやって手に入れたんですか?」

 と驚いた顔のまま、みちるは言う。

「それは秘密です。私にはあなたの知らない秘密はまだまだたくさんあるんですよ」と少し時自慢げな顔をして(真っ白な割烹着姿の)白藤の宮はみちるに言った。

 二人は鳥の巣の小さな台所に立っている。

 白藤の宮は割烹着を着ているが、みちるは森まで旅をしてきたときの姿(薄い紫の着物)のままだった。

 二人は手を洗い、早速お食事の支度に取り掛かった。

 それから白藤の宮は料理がまったくできないと思っていたみちるが意外なほど、料理の手際がいいことに驚いて、てきぱきと手を動かし続けるみちるをまじまじと見つめた。

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