「その女の人はどんな顔をしてますか?」

「少しだけ、白藤の宮に似ています」今気が付いたばかりのことを、みちるは言う。

「私に?」

「はい。初めはそうは思わなかったんですけど、今はそう思います。もしかしたら、実際には顔や姿はそれほど似ている、と言うわけでは無いのかもしれないですけど、雰囲気がよく似ています。そのせいで、なんとなく顔も白藤の宮に似ているような気がします」みちるは言う。

「私に、ですか?」と自分の綺麗な形をした鼻のあたりを指さして白藤の宮は言う。

「はい。とてもよく似ています」にっこりと笑ってみちるは言った。

「その玉ちゃんと出会ったときのことを教えてくれませんか? もし二人だけの大切な秘密だと言うのなら、無理に教えてくれなくてもいいんですけど」と教えてもらいたそうな顔をして白藤の宮はみちるに言う。

「別に構いませんよ」くすっと笑いながらみちるは言う。

 それからみちるは花火職人の女の子、玉と出会ったときのことを白藤の宮にお話しした。

(別に構いません、と言ったのだけど、白藤の宮に玉の話をしようとして、二人の出会いの記憶を思い出しているときに、ふとみちるは、確かにこの思い出は、あまり人には話したくない、と言う自分の感情がそこに隠れていることに気がついて自分でも少しだけ驚いた)

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