そのみちるの言葉を聞いて、あからさまに白藤の宮は残念と言うような顔をした。

「そうですか。女の人ですか」と白藤の宮はみちるに言った。

「はい。とても素敵な女の子です」とみちるは言う。

 少し興味がなくなった、という顔をしていた白藤の宮だったけど、少ししてからなんだかとてもそのみちるの友達の花火職人の女の人に興味が湧いてきたようで、「みちる。その女の人はどんな女の人ですか?」と好奇心旺盛な子供のような顔をして(目がきらきらと輝いていた)みちるを見ながら白い歯を見せてそう言った。

「どんな、と言われても、別に普通の女の子ですよ。私とおんなじで、とくになにかとても特徴のある女の子というわけではありません。すごく素敵な女の子であることは間違い無いですけど、どこにでもいる普通の都で暮らしている女の子です」みちるは言った。

「年はいくつくらいの人ですか?」白藤の宮はいう。

「私と同い年の子です」みちるは言う。

「その年でもう花火職人として働いているのですか?」まあ、と驚いた顔をして白藤の宮は言う。

「はい。そうです。今年の都のお祭りの黄泉送りの花火も、その女の子が作った花火が上がるんですよ。みんなのために誠意いっぱい頑張るんだって言ってました」白藤の宮の顔を見ながら、みちるはいう。

 なんだか白藤の宮の顔とその花火職人の女の子の顔が重なり合うように見えて、みちるは少しだけ驚いた。

 そういえば、二人はずいぶんと雰囲気が似ている気がする。(白藤の宮になんとなく似ている、そういうところにも惹かれて、みちるは自分が彼女と友達になったのかもしれないと、このとき初めてそう思った)

「その女性はなんという名前の女の子なんですか?」白藤の宮は言う。

「玉と言います」とみちるは言う。

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