12
「おはようカイル。今から散歩(見回り)に行くんだけど、一緒に行かない?」
『うむ、ゆこう。くぁーー。』
カイルは大きなあくびをしながら、のっそりと起き上がった。そして奏とカイルは一緒に洞窟の外に出た。
カイルから衝撃の事実を知らされて1週間がたった。私とカイルはまだ間の森にいる。けれど、洞窟の中はがらんとしている。奏がカイルと暮らすようになってからの洞窟は、奏が住みやすいように少しずつ改造していたので、実用性は今よりはあった。けれど今は、寝るためだけの場所と化していた。
カイルとはあの後いろいろなことについて話し合った。その結果、愛し子を探しに誰かこの森を訪れたら2人で旅に出ることになった。そして私は決めた!! もう、うじうじ悩まない! 過去は変えられないけど、私はあのころとは違う。前を向いていくって決めた。
『ん? 血の匂いがするぞ。』
散歩という見回りを始めてから、少し経った頃カイルが何かに気づいた。
「? 魔物の匂い?」
「いや、これは人間の血だ。近いぞ。どうする?」
「どうするって…‥…」
ここは割と洞窟に近いし……。血の匂いがするならケガしてるはずだよね。軽く手当てして森から出せばいいよね。ひどいけがじゃなくても様子見は必要だし。
奏はけが人のところまで、カイルの後をついていった。
カイルの後を追っていくと、銀色の髪をしたきれいな顔立ちの冒険者風の男が血だらけで倒れていた。奏は男の顔に見とれながらも、傷の確認をした。かなりの重傷だ。いったん洞窟で治療したほうがいいかもしれない。
男をカイルの背中に乗せる時、男の服に見覚えがあるのに気が付いた。それもつい昨日会ったばかりの人物だ。
「ねぇ、カイル。私の記憶違いだと思うんだけど、この服昨日ルイが来てた服じゃないよね?」
『? 何を言っているカナデ。こやつは昨日会ったルイとかいう男だぞ。』
とんでもない爆弾を落とされた。
「ルイ、自分のことAランクの冒険者って言ってたよね。」
『うむ、言っておったな。』
「この魔の森はAランクの冒険者でも危ない危険な場所だよね。」
『う、うむ。ちなみにカナデは例外だが、Sランクの冒険者でも1人は相当危ないぞ。』
「こんな危険な森に単身乗り込んでくる奴がある―――――――――!!!!!」
魔の森に奏の声がこだました。
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