11

「カイル、愛し子について知ってること全部教えて。」

『あい分かった。それでは我がなぜカナデを神の愛し子言う結論に至ったことから話そう。』


 カイルは奏の正面に座った。そして、ゆっくりと話し始めた。



≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄≄


『我は人間の感覚で長い時間をこの森で過ごしていた。この森は人間があまり近づかないすみやすい森だ。我はここで森の管理者のようなことをして過ごしていた。

そんな時、森の中で急に大きな魔力の歪みを感じた。様子を見に行ってみると、そこにカナデ、お主がいた。カナデの魔力は膨大でとても澄んでいて気持ちがよかった。それと同時に、人ならざる者の力をわずかに感じた。カナデの話を聞いて、我はカナデが神の愛し子だと確信したのだ。


神の愛し子とはその名の通り神に愛されている者のことを言う。歴代の愛し子はいずれも、この世界の者ではなかった。必ず別の世界から来た者なのだ。そして皆、黒目黒髪で膨大な魔力を持ち類まれなる知識で国を繁栄に導いたと聞く。

愛し子は同時に2人以上現れない。これはどういう意味か分かるか?』


 カイルに問われ、考えた。


 カイルの話をまとめると、愛し子は膨大な魔力と知識を持っていて国を繁栄させるってことだよね。そして愛し子は2人以上現れないってことは、必ず世界に存在する愛し子は1人ってことになるよね。・・・・ん?ちょっと待てよ。愛し子はたった1人で国を繁栄させる力がある。そして愛し子は2人以上存在しない。じゃあ愛し子がいる国は・・・・

「愛し子がいればどんなに弱い国でも最強になれる・・・・・・・。」


『経済的にも軍事的にも、な。愛し子にはそれだけの力がある。そしてお主はその力を持っている。』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る