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『カナデ大丈夫か?』

 ギルドからの帰り、カイルが心配そうに背に乗る私に声をかける。私はいままでためていた物が一気にあふれ出して止まらなくなってしまっていた。カイルの背に乗ってからは、顔をカイルのサラサラの毛に埋めずっと泣いている状態だ。


『カナデ、こんな時で悪いが我の話を聞いてくれるか?』

 それは疑問ではなく確認のようだった。奏では何の反応もしない。カイルは気にせず続ける。

『おそらくカナデは神の愛し子だ。あ奴が探しているのもカナデ、お主だ。』


「えっ‥‥。カイル、それは……。」

どういうこと?続けようとして続けられなかった。あまりのことに頭が追い付かない・・・・。

『詳しい話は家についてからだ。飛ばすぞ。』



 しばらくして、奏とカイルは家に着いた。家と言っても、カイルが住んでいた洞窟を奏が住めるように少し改造した簡単なものだ。

『さて先ほどの続きだが、奏はほぼ間違いなく間の愛し子だ。』

 目の前が真っ暗になって、血の気がなくなるのを感じた。

聞き間違いじゃなかった・・・・・。勇者の次は愛し子として使われるの?

 

「・・・・ハッ、ヒューッヒューッ。」

 うまく、息が…できない・・・・・・。魔力が制御できない‥‥。

 魔力のコントロールが効かなくなり、洞窟の中は嵐が来たように風が吹き荒れた。

『落ち着けカナデ! 安心しろ! 我が必ずカナデを守る!! 今は魔力を落ち着かせろ!』


 遠くでカイルが叫んでいる声が聞こえた。カナデの意識は、そのまま真っ暗になった。



 目が覚めた時、外はもう暗くなっていた。帰ってきたのが昼過ぎだったから、6時間くらい寝てたのかな。そばにはカイルが寝そべっていた。カイルは私が起きた気配がしたのか、私が体を起こすとそばに寄ってきた。

『もう大丈夫か?』

 カイルは心配げに奏の顔を除きこんだ。カイルのやさしさに自然と笑みが漏れた。

 

「カイル、愛し子に……私について知ってること全部教えて。」

『もう大丈夫なのか?』

「うん。」

 私はカイルをまっすぐ見て、力強くうなずいた。もう腹はくくった。それに私は1人じゃない。カイルがいる。カイルと2人で自由に生きる!

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