その後1(王女視点)
何とか王国に帰ってきたクリスティーナ達は、応接室で談笑していた。
「うまくあの女を消せたな! 王女様の最後の一撃はすごかったぜ! なっ、ジーク!」
「えぇ、キースの言う通りです。彼女は視界に入るだけでも鬱陶しかったですからね。いなくなってとってもすっきりしています。王女殿下、お見事でございました。」
「フフフ。それほどでもありなせんわよ。わたくしはこの国の王女として、そして聖女として国の害になるであろう物を排除したにすぎませんわ!そういえば先ほどお父様にお聞きしたのですが、今回の功績は、ここにいる4人のみの功績になるそうですわ!」
「まじかっ! やったぜ!」
「キース、はしゃぎすぎですよ。ですが、とてもうれしいですね。」
わたくしたちが話している間、ベルン様はずっと物思いにふけっていた。それに気づいたジーク様が心配そうに声をかけた。
「ベルンハルト、どうしました? 先ほどから何か考えているようですが……。」
ベルン様の様子に気づいたキース様も、心配そうにベルン様を見た。
「本当に、良かったのかなって。あの人を、殺して・・・。」
ベルンハルトは、1つ1つ言葉を選ぶようにいった。
「まぁ! ではベルン様は、あの女を殺さないほうがよかったとお思いですの! あの女はこの国どころか、この世界の人間ですらない異邦人ですのよ! 生かしておいたところで、何をしでかすかわからない危険人物でしたのよ!」
わたくしはベルン様の言葉に憤慨し、少し詰め寄りながら言った。
まったく、ベルン様はお優しいから、きっとあの女に情がうつったに違いありませんわ! ほんっと死んでも目障りな女ですわ。それにこの国に女性の英雄は2人もいりませんわ! わたくし1人で十分ですわ!
ベルン様は、うろたえながらも言い続けた。
「だって、何か、おかしい。ぼく、いま、魔法が、まったく、使えないんだ。帰ってる、途中から、違和感は、あった。けど、なんとか、つかえて、いた。でも、いまは、まったく、使え、ないんだ!違和感、感じ、始めたの、王女様が、あの女、刺した、後。だから、もしかして、って思って……。」
わたくしは、怒りで頭に血が上るのを感じた。けれどここは我慢よクリスティーナ。ここはか弱い女を演じなくては!
わたくしは保護欲をわかせるため、目を潤ませた。ここで少し上目遣いをするのも忘れない。
「言いがかりですわ! あなたは、あなたが魔法を使えないのはわたくしのせいだと言いたいんですの? わたくしはこの国のために、恐怖に打ち勝ってあの女にとどめを刺したというのに…‥。」
今にも泣きそうな声で言った。
「王女様の言う通りだぞベルン。」
「私も同意です。ベルンハルト、たとえ考えていても言っていいことと悪いことがあります。よりにもよって、王女殿下にそのような疑いをかけるなど・・・・・。恥を知りなさい! ほらっ、早く王女殿下に謝罪なさい。」
キース様とジーク様はわたくしの演技に引っかかったようだ。わたくしを守るようにベルン様を責めた。
「それに、あなたが魔法を使えないのは、あなた自身の問題ではありませんの?その証拠にわたくしは聖女の力が使えましてよ…‥。」
そう言って、手をかざして力を使おうとした。けれど、いつまでたっても何も起こらなかった。
「どうしてですの! なぜ力が使えないのですの!?」
わたくしは困惑した。キース様とジーク様がわたくしの異変を察して、剣を持ってわたくしのそばに来ようとした。けれどそれはかなわなかった。なぜなら、2人が剣を握ろうとすると、雷に打たれたように手がしびれて握れないのだといった。
わたくしは急いでお父様のいる執務室へ、急いで向かった。
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