第11話 一日の終わりにくらい
コロナのお陰で、お店などの出入り口には消毒用アルコールが置かれている。
出入りする人たちは皆、必ずといっていいほど手を消毒している。
私はできない。化学物質過敏症だから。
普段通う銀行もスーパーも、揮発した消毒用アルコールのせいだろうか。
どこへ行っても頭がぼーっとする。
症状が進むと真っ直ぐ歩くのが難しくなり、息切れしたり、吐き気や目眩や頭痛がすることもある。
暫く前から体調が悪い。
考え事がうまく出来ず、家事もまともに出来ず、酷いときは寝たきりだ。
こうなると家の中でもそうそう動かないから、体力が落ちて悪循環になる。
それでも食事を1品作れたり、掃除機をかけられたり、洗濯が出来たり、お風呂に入れたりすると、凄く頑張った気になる。
いや。『頑張った気になる』んじゃない。
頑張ったんだ。
体調が安定していても、化学物質に暴露すると直ぐに不安定になる。
いつまでこの状態が続くのか分からない恐怖に襲われる。
当たり前に出来るはずのことが叶わない。
それでも一日の終わりにくらい、何かひとつでも今日の自分を誉めたっていいんじゃないだろうか。
明日の朝、目覚めたら。
今日よりも体調が良くなっていることを想像しながら眠りにつこう。
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