第9話 自撮り

SNS時代の象徴でもあろう自撮り。

最近は盛れるアプリなどが充実し、撮影と同時に色々修正してくれるようだ。

インターネット上には男女ともに色白でパッチリ二重の大きな瞳、スタイルの良い美人が勢揃いだ。

本当に美人さんは沢山いるだろうし、少しでも良く見せようと努力している人もいるだろう。

今回は本人とは別人になっている場合の話である。



撮影角度を調整したり、色調くらいしか触れない私には分からない。

それって自撮りになるのか?

自分でカメラを向けて撮影するところまでは自撮りだろう。

疑問なのはその後だ。

「私を見て!」と載せられた、画像になったソレは自分なのか?

ソレを自撮りと言っていいのか?

何を撮ったんだ??



まだスマートフォンを持たせていない子供と、流行りネタを取りあげた会話で首を傾げてしまった。

子供に私の疑問を聞いてもらったが「考え方は古いけど、言いたいことは分かる」と答えてもらえて安心した。


今では殆んど見かけなくなった使い捨てカメラを持ち歩き、友人と顔を寄せあって撮りまくった学生時代。

フィルムと現像代を抑える為に、顔の角度や目線や髪の毛の流れる方向をいちいち気にして、いちいちアナログ修正してから撮影に挑む。

『自前』を活かすその努力が尊かった。


「アプリで盛りすぎて別人になった自撮りって、一体何を撮ったのだろう?」という質問に対して、「………自分がなりたい憧れの自分?」という回答がきた。

そんな話でコミュニケーションを取れる我が家は今日も平和である。

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