EPfin 愛あるエロは素晴らしい

 花が揺れるようないい匂い。きゃっきゃうふふ、というかわいらしいやり取り、こそないものの視界に収まらないくらいの肌色の量!

 そう、ここは女子更衣室。天国! エデン!! 桃源郷!!!

「……ちょっとユリ、ジロジロ見すぎ」

「えへへー、だってスミレかわいいんだもーん」

「昨日はせいらのおっぱいに夢中だったくせに」

「あれれ? もしかして妬いてるのー?」


「二人とも。もうそろそろ勤務時間よ。早く着替えなさい」


「はあい」

 またまたせいらさんに怒られちった。……確かにもうあと五分で点呼じゃん。急がないと。

 青い制服を身に纏って、丸い帽子を頭に乗せる。どこからどう見てもかっこいいおまわりさんだ。

「あ、ユリちゃんたちだ。おはよ~」

 カウンターには地域課に配属された水香ちゃん、それから純さんの姿もある。軽く手だけ振って、私たちは自分の仕事場に向かう。

 私たちの仕事場はここ、生活安全課。主に少年犯罪の予防や女性の犯罪被害を扱う部署だ。

「本日は五件、住民や学校からの通報、要請を受けている。京極さん、説明を」

「はい。まず早急に対処すべき事案としては」

 巡査部長になったスミレは前に出てちょっとしたとりまとめ役を担っている。

 例の事件の時、起訴までいってしまったものの、母親による洗脳によって錯乱状態であったとされて責任能力なしと判断された。今ではもう、町のために働く立派なおまわりさんだ。

「それでは、本日A班は商店街付近で聞き込みを。B班は……」

 そしてその隣には早くも警部補になったせいらが堂々と立って、部下に指示を出している。警部補だから、残念ながらかっこいい制服姿は拝めない。まあスーツを着ていてもその豊満なお胸はよく見えるけど。

「それでは各自取り掛かってください」

 せいらの命令で捜査員がそれぞれの持ち場に散っていく。さあ、仕事だ仕事だ~。

「私たちもさっさと片付けちゃおうか」

「もちろんそのつもりだよ。ささ、早く行こう」

 相方のスミレと一緒に小走りで捜査車両に乗り込む。基本的に緊急事案は管轄外なので、私たち生活安全課の車はほとんどがパトカーじゃないただの車だ。なんか警察って感じがしないよねこれ。

 ……ちなみに、私とスミレのバディは課の中でも相当な検挙率を誇っていて、これまでに月に二桁以上の性犯罪者や違法風俗店を摘発している。スミレのお母さんとも約束したしね。女性の安全を脅かすヤツは私が絶対に許さない。

「じゃあ出すよ」

「終わったら夜は激しくえっちさせてよー」

「あんたの働きによる」

 指輪をした手でハンドルをさばきながら、スミレはつんとした顔で流す。今日も今日とてつれないなあ。ま、私はスミレの夜の顔を知ってるんだけどね。にやにや。

 あ、そうそうそう。私たち実は同性婚したんだ。わざわざ渋谷区に行って式も挙げたし、当然一緒のうちに住んでる。そして当然「そういうこと」もちゃんとシてる。

「よぉし、じゃあ激しいえっちしてもらうために頑張りますかあ!」

 女性の性被害は許さない。えっちなことが大好き。別にこの二つは矛盾しない。

 私たちは今日も性犯罪者と戦いながら愛あるエロを嗜んでいる。

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