景色。

先輩は、僕のカメラを覗いて

「私も撮ってみたいなぁ。」

と呟いた。

「撮ってみます?あ、でも僕以外でお願いしますね?」

そう言ってカメラを渡す。

「さ〜あ!撮るぞ!」

気合いを入れている先輩も可愛くて。

見とれているといきなり走り出した先輩。

「あ!ちょっと!先輩!」

慌てて僕は後を追いかける。


先輩は、どんな景色を撮るんだろう?

そうやって考えているだけでわくわくする。


花や、雲、友達、鳥…1枚1枚楽しそうに撮っていく先輩が、可愛くて仕方がなかった。


「よっし!いっぱい撮れたよ!」

「いっぱい撮ってましたね、見ますか?」

「見よう見よう!!」

しばらく見ていると、

「あ!ここから先は…だめ!」

「え?」

次の写真を見てみると、僕が写っていた。

「あ、約束破ったんですか?」

「あはは〜、約束ってなんだっけ〜…。」

「いいですよ、先輩が見てる景色ですから。」

僕は少し嬉しくなった。


でも、先輩の撮った友達の写真には必ずと言っていいほど映る、男の先輩が居た。



「この先輩の事……好きなのかな。」

僕は先輩に聞こえないくらいの声で呟いた。



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