彼女に逢いたい〜the day we meet〜

僕は柳田兼也(やなぎだかねや)。


僕には彼女がいた。


彼女の名前は凛。交通事故で亡くなった。


そして僕は毎日ぼーっとしていて抜け殻みたいになってた。


バイトも辞めてしまった。


彼女に逢いたい。


またあの日の約束を果たしたい。


そう思う毎日だった。





さすがに今日は食料を買いに行った。


あまり食欲もわかないけどとりあえずカップ麺でも買っておいた。


彼女の事を考えていても彼女は戻ってこない。


そんな事わかっていたさ。


だけど何よりも大切な存在だったのだ。





今日も真っ暗な中ずっと病んだようにしていた。


彼女の大好きな笑顔。


思い出しては涙が出る。


いつもニコニコしていて優しく、僕が悩んでいても相談にのってくれる僕の心の支えだった。


でもいない。


ただ部屋には時計の音が鳴るだけ。





そして約束。


それは僕がいろいろと安定したら結婚しようと言った事だった。


指輪が2つ。


指輪を見て涙がこぼれ、涙が指輪に濡れ眩い光を放つ。そして変な男が出てきた。


「お前は...?」


「私は指輪のなにかしらだ。」


「なんだよなにかしらて。」


「お前が買ったこの指輪は世界に4つしかない奇跡の指輪だ。科学でも判明できない物だ。」


「ほぉ。」


「そこでだ。私が目覚めたのは毎日毎日お前が落ち込んでるのもイライラすんだよ。」


「なんだと!!俺の気持ちがお前にわかるのか!!」


「わからん!!」


「はぁ〜。なんか怒る気力もない。」


「ただ。お前が可哀想に思えたのもある。なのでお前の願いを叶えてあげようと思ったのだ。」


「まじか!?亡くなった彼女に逢わせてくれるのか!?」


「お前次第だ。」


この男は怪しいが希望は見えた気がする。


「ただし条件がある。」


「なんだってする!条件はなんだ!?」


「300万用意しろ。」


「300万!?」


僕はバイトも辞めていたから今の現状すごく厳しかったのだ。


「300万か。わかった。頑張って働いて集める。でもお前を信じていいんだよな?」


「大丈夫だ。」


そして僕は毎日毎日夜勤の仕事をしていた。







5年後...


「集まった!300万だ!おい出てこい!」


そして指輪からまた男が出てきた。


「おっ。集まったか。やるじゃないか。」


「これで俺の彼女に逢わせてくれるんだな!?」


「もちろんだ。」


すると男は鏡を出しそこに亡くなった彼女が映っていた。


「俺だよ凛!兼也だ!」


「兼也くん。もう一度逢いたかった。」


「さあ彼女を鏡から出してくれよ!」


「逢わせる事ができてもそれはできない。」


「はっ!?こいつ騙したな!」


「兼也くん。いいの。これで。」


「なんでだよ!また一緒に遊園地行ったり、スポーツしたり、海に行ったりしたくないのかよ!凛も!」


そして彼女から涙が流れる。


「私は兼也くんとは一緒に生きていけない。それは他の不幸な人達と不公平になるから。それはこちらの神様とお約束をしていたの。」


「えっ!?この変なおじさんが神様か!?」


「こらっ!神様に向かって何言うかコラ!とりあえず凛ちゃん今のうちに言いたいこと言いなさい。」


そして凛は頷いた。


「私は兼也くんがここまでして逢ってくれたのは本当に嬉しかったよ。でも兼也くんと本当は一緒に生きて子供を作ったり私も仕事をして兼也くんをサポートして生活していきたかったていう後悔はあるよ。でも兼也くんの為を考えて兼也くんには新しい彼女を作ってそして大事な奥さんを作って欲しいの。私は天国で見守るしか...ないけど...」


「そんなこと...できるかよ...!」


僕と凛は号泣していた。


「でも大丈夫。兼也くんなら。きっと。さよなら...兼也...くん...」


「待て!!まだ話したい事がいっぱいあるんだよ!!」


そして彼女は消えた。


「ゔぁーーー!!!なんでだ!なんで!こんなの!」


僕は床を叩きまくった。


「騙してすまないね。指輪から出たように思えたと思うが実は天国から来たのだよ。そしてこの300万は君が使いなさい。よく頑張ったね。」


「神様...」


そして神様はそっと消えていった。


僕は眠くなり眠ってしまった。









3年後...


「じゃあ仕事行ってくるな。」


「はい。いってらっしゃい。」


僕には今奥さんと子供がいる。


仕事も順調に会社員になって頑張って働いている。


ただ何か忘れている。


300万円もなぜ貯金していたか。


何か抜けている気がする。


他に愛していた人がいたのではなかったか。


でもなにか暖かく、気持ちは安定していたからきっと気のせいという事でいてもいいのだろうと思っていた。


でも今なぜか涙がひとつこぼれた。


とりあえず仕事に行こう。


家族の為にも。





























彼女に逢いたい〜the day we meet〜   終


















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